『汚れつちまつた悲しみに…』- 詩・中原中也- 汚れつちまつた悲しみに今日も小雪の降りかかる汚れつちまつた悲しみに今日も風さへ吹きすぎる汚れつちまつた悲しみはたとえば狐の革衣汚れつちまつた悲しみは小雪のかかってちぢこまる汚れつちまつた悲しみはなにのぞむなくねがふなく汚れつちまつた悲しみは倦怠のうちに死を夢む汚れつちまつた悲しみにいたいたしくも怖気づき汚れつちまつた悲しみになすところもなく日は暮れる…- 中原中也『汚れつちまつた悲しみに…』より。
『恩寵』- 詩・いえす- かわいた日常を切り裂いた狂気がきみを隔離措置とした置かれた苦い時刻をふたりは同時にのんだその瞬間、きみとわたしの時間は一気に逆流をはじめたさらなる空白への拉致神よこの杯を、あなたがくださった恩寵だと言い張るならわたしたちに残された義務はもはや待つことしかないのでしょうか- いえす『恩寵』8月13日 閉鎖病棟にて。
『美(ヤハウェ)』- 詩・いえす- 美というものがわたしには得がたいものにみえる美がわたしに微笑んでくれるとわたしはしあわせになる美はしかし、一瞬わたしに微笑んでくれるかとみえて美はすぐに霧のようにどこかに消えてしまう美、それは早朝 陽が昇るときの一瞬の輝き美、それはあなた美、永遠に輝きをやめることなく美、永久に手の届くはずもない美、それは無限美、愛に似た無上の煌(きら)めき- いえす『美(ヤハウェ)』8月15日 閉鎖病棟にて。