- 遠く見える金網、それを伝う
深緑のツタ
こんなに朝の空気が蒼いのに
わたしの心魂は微かに痛む、小さな小さな
擦り傷につまずいています
わたしの吸う息、あなたの吐く息
うまくあわせられなくて
あなたの笑顔さえ思い出すのが苦しくなります
鬱なのは理解(わか)っています
でもいまはなにを見ても石灰のように苦いのです
こんなに朝の風がやわらかで
空にはツバメも泳いでいるのに
それだのに
細かい棘の突き出た暗い深い穴のなかに
わたしは安眠の地をさがそうとしています
病気なのは理解(わか)っています
でもいつまでなのでしょうか
この鋭い棘たちと毎日
顔をつきあわせながら生きていくのは…
- いえす『つぶやき』
8月11日 閉鎖病棟にて。


