『凍える唇 - 閉鎖病棟便り』- 詩・いえす- ここでは、わたしは氷になってしまったほうがよいのですここは"ヤマアラシのディレンマ"などという甘美な言葉は通用しない世界わたしはひとり沈潜して自らの心魂だけを見つめながら自らの優しさ、感情、表情といった心魂を"詩"という世界のなかでだけ解凍するのですそれがわたしのここで生き抜けるすべなのです神よ、キリストよ、この重荷をともに担ってください神よ、キリストよ、このようにしかあり得ないわたしをお赦しください- いえす『凍える唇 - 閉鎖病棟便り』8月8日 闘病の床にて。
『眠れない夜のモノローグ』- 詩・いえす- 子猫が一匹 子猫が二匹 子猫が三匹 子猫が四匹 子猫が五匹 子猫が六匹 子猫が七匹 子猫が八匹 子猫が九匹 子猫が……………………………………………………そして九百九十九匹目の子猫を数え終わったときわたしの頬と枕はしとど涙に濡れそぼっていた神よそしてわたしの愛しき人よわたしがわたし自身であるところの罪をどうか赦しておくれわたしはわたし自身の棘をかろうじて持ちこたえるからだのにわたしの心魂の夜景はどうしてこんなにも難解な眺めを映すのだろう誰か教えておくれ神よ教えておくれ- いえす『眠れない夜のモノローグ』7月27日 闘病の床より。
『ゴルゴタのよる』- 詩・いえす- 砕け散った薔薇が鮮血のなかに横たわっている真紅に凍結した心魂がそのときガランと震えたナシトゲラレタ…曇天の空が十字を切って崩れる刹那その間隙をぬうように最期の破片が美しい"個"をえがいてわたしの中心に突き刺さり孤絶の嵐吹きすさぶ荒涼とした静寂のなかに厳粛なる完結と蘇生に向かって立った- いえす『ゴルゴタのよる』8月30日 閉鎖病棟にて。