- 地球が滅びようというときに
わたしの心魂は哀しいセレナーデを奏で始める
世界が死んでしまおうというときに
わたしは自らを吊り下げる首縄をせっせと準備し始める
非常口のない罪のありように
わたしは笑いがとまらず
蒼いかまいたちがわたしの傷口をさらに深く切り刻む
鮮血が吹き出る
そのときわたしの心魂の底に溜まっていたなにかも吹き出る
和解せねばならなかったのは
けっしてあの日目撃し幼い心魂を切り裂いた過去の記憶ではなく
とうに過ぎ去った内なるわたしと生きてるわたし
わたし自身、無垢ないのちとして
母の胎を自由に泳いだはるか昔もあったのに
いつの間にこんないくつもの重荷をかついできてしまったんだろう
地球が滅びると同時に
わたしは自由な無限のなかに吊り下げられる
そのとき審きの主はどこにも姿が見当たらなかった
- いえす『世界の終わりのセレナーデ』
8月9日 闘病の床にて。


