〔44〕水棲デジモンとの乱闘 | 星流の二番目のたな

星流の二番目のたな

デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 タケルの家から竹芝ふ頭へ、大輔達は走る。テイルモンはヒカリの足元を猫のように駆け、チビモンは大輔の肩にしがみついている。

 レインボーブリッジの遊歩道にさしかかったところで、純平が悲鳴をあげた。

「ち、ちょっと待ってくれよ~」

 純平はその場で立ち止まり、息をぜいぜいさせる。大輔はその場で足踏みした。

「タケル達は今も戦ってるんだ。のんびりしてる場合かよ!」

「でも、お台場から竹芝まで徒歩なんて無茶だ!」

 純平のいう事も一理ある。

 竹芝とお台場の間には海がある。竹芝へ渡るには、レインボーブリッジを渡るか豊洲方面を経由するか。どちらにせよ車でも二十分近くかかる道のりだ。走っていくには無理がある。

 と、北の方から爆発音が聞こえた。全員が欄干にしがみつき、海の向こうに目をこらす。

 ふ頭に停泊している船から黒い煙が上がっていた。ここからだと点にしか見えないが、煙は空に向かってもうもうと立ちこめている。戦いの流れ弾が当たったのだろう。そばに巨大なデジモンがいるのも見える。

「まずいよ、だいすけ! はしってたら まにあわない!」

 チビモンが大輔の肩をぺしぺし叩いた。戦いは激しさを増しているようだ。

 大輔は橋の左右を見回した。テレビ等の呼びかけのおかげで、レインボーブリッジの遊歩道は人気が少ない。大輔達と同じように海を見ている人もいるが、離れているし大輔達のことは見ていない。

「ここでなら進化しても目立たない」

 テイルモンの言葉にみんながデジヴァイスを取り出す。チビモンも大輔の肩から降りて、体に力を込めた。ブイモンに進化する。


「ブイモン進化ー!」

「エクスブイモン!」



「デジメンタル・アップ!」

「テイルモン、アーマー進化!」


「微笑みの光、ネフェルティモン!」


「スピリット・エボリューション!」

「アグニモン!」

「ヴォルフモン!」

「チャックモン!」

「フェアリモン!」

「ブリッツモン!」


 エクスブイモンは腕に、ネフェルティモンは背にそれぞれのパートナーを乗せて飛んだ。フェアリモンとブリッツモンがそれに続く。

 チャックモンは海を凍らせ、その上をスキーで駆ける。通った後にできた氷の道を、アグニモンとヴォルフモンが走った。

 徒歩なら回り道のルートも、デジモンの足で直線距離ならば速い。みるみるうちに戦場の様子が見えてきた。

 最初に目についたのは、海から半身を出しているイカデジモンだった。黒い悪魔型デジモンの肩から白い触手が伸びている。外見から相手を判断するのは良くないが、見るからに凶悪だ。

 そばの遊覧船から煙が出ていて、甲板には叩き潰された跡があった。あのデジモンのしわざだろう。

「《ハープーンバルカン!》」

「《オキシジェンホーミング》!」

 海中から二発のミサイルが敵に命中し、爆発した。

「イッカクモン、サブマリモン!」

「伊織ー!」

 エクスブイモンと大輔の呼びかけに、サブマリモンに乗り組んだ伊織が手を振った。

「大輔、ヒカリちゃん!」

 空からも声がした。見上げれば、ホルスモンに乗った京とエンジェモンの姿が。京は、他にも見慣れないデジモンが来ているのを見て、目を丸くする。

「色々聞きたいとこだけど、今はこのデジモンと戦うのが先! 手伝って! 泉先輩達は向こうにいる!」

 京が指さす方を見る。ふ頭の公園から戦いを見ている仲間の姿があった。

「大輔、どうする?」

 パートナーに聞かれて、大輔は少し考えた。エクスブイモンは飛べるが、大輔を抱えたままだと戦いづらい。

「俺はふ頭に行く! 頼んだぞ、エクスブイモン!」

 大輔はエクスブイモンの手から離れて、凍った海面に飛び降りた。チャックモンが作ってくれた道を、ふ頭に向かって走る。


 船着き場に着いた所で、太一が手を伸ばして引き上げてくれた。

「無事に奇跡の紋章とデジメンタルを取り戻してきたんだな」

 大輔の首に下がったタグと紋章を見て、太一がほっと肩の力を抜く。

「はい。デジメンタルは封印されちゃったんですけど」

 大輔は腕にはまった輪を軽く持ち上げる。

「それより、何があったんですか!?」

「俺達にもまだよく分からないんだ。とにかく光子郎達のところに行こう」

 聞くと、太一は大輔を連れて公園まで戻った。

 海の見える公園には、タケル、ノートパソコンを抱えた光子郎、その横にかばんを抱えた賢。通学かばんを足元に放り出している丈もいた。

「丈先輩も来てたんですね」

 イッカクモンがいる時点で予想はしていたことだったが。

「たまたまこの近くで模試をやっててね。だからすぐに駆けつけられたんだ」

「駆けつけたって、じゃあ模試は?」

「この騒ぎで中止だよ」

 大輔の疑問に、丈は端的に返した。

 海に目をやると、デジモン達が交戦しているのがよく見えた。敵一体に対して十一体。数の上では圧倒的に勝っているのに、攻撃がこたえている様子がない。

「あいつはマリンデビモン。完全体です」

 光子郎がノートパソコンを片手に説明してくれる。

「このタイミングで現れたことや強さから考えて、世界を融合させようとしている敵の一味だと思います」

「……デーモンか」

「え?」

 大輔の言葉を、タケルが聞き返す。

 仲間達に向き直って、大輔が口を開く。

「俺、向こうで敵に会ったんです。そいつが、ボスの名前はデーモンで、俺達が半年後の未来で封印したデジモンだって」

「半年後……」

 タケルがはっと顔を上げる。

「もし、僕達がその半年でもっと力をつけた後でデーモンと戦ったのなら、今の戦力でぶつかるのは無謀なんじゃないかな」

 タケルの言葉に、一同の視線が戦いに向いた。全員全力で戦っているのに、勝てる気配がない。アーマー体や成熟期が集まっても完全体には勝てないのか。

「俺達が、アグモン達を完全体に進化させられる力があれば、苦戦なんてしないはずなのに」

 太一が悔しそうにこぶしを握る。その目がはっと大輔に向いた。

「そうだ――! 大輔、紋章だ! 紋章の力を使えば、エクスブイモンを完全体に進化させられる!」

 大輔が胸元の紋章を手に取る。金色の紋章が太陽を反射して光った。

「紋章で、完全体に……」

 賢が一人つぶやいた。抱えているかばんが動いたのに気づいたのは、賢本人だけだった。




◇◆◇◆◇◆




大輔、ブイモン、ヒカリ、テイルモン、太一、光子郎、丈、イッカクモン、タケル、パタモン、京、ホークモン、伊織、アルマジモン、賢、拓也、輝二、友樹、泉、純平。総計20名。

……数の暴力だ(筆者に対する)。名前しか出せてないキャラがちょいちょいいる。

せっかく明日映画公開だし、できればアグモンとテントモンも出したかったんですけど、ムリムリ(笑)


何はともあれ、明日は小説UPどころじゃなくなるので今日中に! と思って一気に書き上げました。(朝パラレルさんのUPを見て、考えることは同じかー、と思いましたよ(笑))

思えば昨年の8/1から1年4か月待っていた新作ですね。チケットも確保しましたし、どんな作品になっているか楽しみです! 多分ネタバレしない程度にリポートします。