〔27〕無敵雷鳴! ブリッツモン | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

「スピリット・エボリューション!」

「ブリッツモン!」


 床に開いた円形の門から、青いデジモンが飛び出した。カブトムシのような角と翅をもつ人型デジモンだ。脇に拓也を抱えている。大輔の横に着地し、拓也を床に降ろした。

「待たせたな」

「純平か!」

「ああ! どうだかっこいいだろ」

 嬉しそうに胸を張るブリッツモン。その向こうで白い門が閉じた。

 低いうなり声にはっと振り向けば、目を吊り上げたケルベロモンが大輔達をにらんでいる。

「お前……そのスピリットは俺の物だ! 返せ!」

「違う! スピリットは俺を選んだ。お前の物じゃない!」
 ブリッツモンが叫び返して、相手に殴りかかった。

 金属のぶつかる音を聞きながら、大輔は倒れていたブイモンに駆け寄った。大輔が手を貸して、ブイモンが起き上がる。

「大丈夫か、ブイモン?」

「ああ。まだ戦える!」

 パートナーの力強い声に、大輔も頷いた。

「よし。ならこれでいくぜ!」

 大輔は実体化したままのデジメンタルを高く掲げた。


「デジメンタル・アップ!」

「ブイモン、アーマー進化!」


「轟く友情、ライドラモン!」


 ケルベロモンが口元をゆがめ、両手の巨大な銃を持ち上げた。

「《ヘルファイアー》!」

 濃緑色の炎が次々と撃ち出され、ブリッツモンとライドラモンを襲う。

 しかし、二人は翅や脚力を駆使して軽々と攻撃を避ける。

「《ライトニングブレード》!」

 ライドラモンの青い雷が、敵の銃を上へ弾いた。巨大な砲塔に引っぱられ、ケルベロモンはバランスを崩す。

 そこにすかさず接近するブリッツモン。頭部の角で黄色の雷が弾けている。

「《ライトニング・ボンバー》!」

 勢いのついた頭突きに、ケルベロモンは吹き飛ばされた。壁に体と両腕を激しく打ち付ける。

 それが立ち上がってくる前に、二人の雷使いが並んだ。

「同時攻撃だ」

「おう!」

 ライドラモンの言葉にブリッツモンが答える。

「《ブルーサンダー》!」

「《ミョルニルサンダー》!」

 ライドラモンの背から青い雷が、ブリッツモンのこぶしから黄色の雷がほとばしる。それは敵に迫る中で混ざり合い、膨れ上がり炸裂した。

「やった!」

 大輔がガッツポーズをする。

 が、直後その目が見開かれた。

 体中に傷を負いながらも、ケルベロモンはまだ立っている。金色の目が憎々しげにこちらをにらんでいる。

「調子に乗ってられるのもここまでだ。スピリットを、俺によこ」


 黄色の電撃がケルベロモンの胸を貫いた。


「ライドラモン!?」

「違う、俺じゃない!」

 大輔の叫びに、ライドラモンも戸惑ったように辺りを見回す。

 その間にもケルベロモンが床に倒れ伏し、その体がデジコードに包まれる。デジコードは天井へと伸びていき、後には四足に戻ったケルベロモンだけが残った。

 ケルベロモンが苦しげに頭をもたげる。

「待ってくれ! 俺はまだ……失敗していない! スピリットを、あんたに」

 最後まで言う前に力尽きた。その体が一瞬弾け、デジタマへと収束した。

 ケルベロモンから抜け出たデジコードを目で追った大輔は、吹き抜けの最上階の通路に細長い人影を見た、気がした。

「誰だ!」

 大輔が天井に向けて声を張る。ブリッツモンが翅を広げ、通路へと飛んだ。しかし、しばらく見回した後戻ってくる。

「誰もいなかったぜ」

「そっか……」

 気のせいだったのだろうか。でも、それにしてはケルベロモンの言っていることも変だったような。

 どうも腑に落ちない大輔に、拓也が笑って声をかけた。

「とにかく、ケルベロモンは倒したんだし泉達と合流しようぜ。ミノモンもいつの間にかどっか行っちゃったしさ。あいつちょっと目を離したすきに。逃げ足は速いんだよな~」

「ああ、うん。それもそうだな。地上に戻るか」

 妙にのんきな拓也に、大輔も表情を緩めた。




 地上に戻ってみると、ハグルモンは全員機能を停止していた。あちこちにハグルモンが転がっている横で、デジモン達が互いに手当をしている。

「拓也、純平大輔ブイモン!」

 泉がほっとした表情で駆け寄ってくる。友樹もその後を追ってきた。全員無事だったようだ。

「泉ちゃん、ケルベロモンは俺が倒したぜ!」

 純平が聞かれてもいないのにデジヴァイスを取り出し、自分の進化がいかにかっこよかったか力説し始めた。大輔はそれに苦笑する。

 これで輝二、友樹、泉、純平がスピリットを手に入れた。後は拓也がスピリットを手に入れれば。

「あ、そうだ。俺一個言いたいことがあるんだけど」

 と、その拓也が気楽な口調で話しかけてきた。全員が何気なく視線を向ける。

 拓也はポケットに両手を入れたまま、さらりと言った。

「俺、ここからの旅は別行動にするよ」




◇◆◇◆◇◆




ケルベロモンは思ったよりあっさりやられてしまいました。フロ02のセミスピリット組でも思うんですけど、技が一個しかない敵って書きづらいです(汗)しかもジンロウモードのフォルムだとセミスピリット組みたいな格闘描写もしづらいし……ううむ。


ふらふらっと気が向いて、こちゃこちゃっとバナー的な何かを作ってみたんですけど、使うかどうするか考え中。