〔25〕地下の捜索拓也&純平 | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 一方の拓也達も、突然の揺れに襲われていた。

 ミノモンが激しく揺られて、振り子のように振り回されている。

「緊急事態! 緊急事態! 見学者のみなさんは、係員の誘導に従って避難するミノ!」

 揺れが小さくなった所で、ミノモンに続いて早足。緑色の光が照らす避難口から外へ。

 土煙が盛大に上がる中、コクワモンやゴブリモン達が必死に戦っている。相手は大量の、ハグルモン。

 拓也がミノモンの頭をひっつかんだ。

「おい! お前ハグルモンなんて知らないって言ったじゃないかっ!」

「ホ、ホントに知らなかったミノ! むかーし、この工場ができた頃にハグルモンを使ってたとは聞いてたけど、最近はコクワモンが来たから、いらなくなったって聞いてたミノ!」

 ミノモンが小さい手を振ってじたばたする。

「おい、あの倉庫から出てきてるぜ!」

 純平が指さした先は敷地の端。古ぼけたプレハブ倉庫の入り口が全開になっていて、そこからハグルモンが続々と現れる。泉が納得したように、あごに指を当てる。

「捨てないでしまいこんでいたのね」

「だからそう言ってるミノ!」

「言ってねえよ!」

 すかさず拓也のツッコミが入った。


「とにかく、みんなを助けないと!」

 友樹がデジヴァイスを取り出す。泉もそれに続く。

「俺と純平は、原因を調べてみる! ここは頼むぞ!」

 拓也の言葉に頷いて、二人がデジコードを読み込む。


「スピリット・エボリューション!」

「チャックモン!」

「フェアリモン!」


 戦いの場を二人に任せ、拓也達は倉庫へと走った。

「ひゃあああぁ~」

 頭をひっつかまれたままのミノモンを道連れに。

 がれきや建物の陰に身を隠しながら、近づく。通気用に開いた窓から中に潜り込んだ。すぐに手近な木箱の裏に身を隠す。

 二十畳ほどある倉庫の中には、ハグルモンが平たく積み上げられていた。中央の床に穴が開けられている。そこから大量の配線が、生き物のように伸びていた。それがハグルモンの背中に接続され、光りだす。数秒もしないうちにハグルモンは目を覚まし、動き出していた。

 様子を観察し、純平が解決法を探る。

「あの線がハグルモンに充電してるんだな。コードを切っても、あんなに次々出てくるんじゃなあ。電源を見つけるしかないな」

 拓也が後を引き取り、片手でミノモンを吊り上げる。

「おい、あのエネルギー源に心当たりは?」

「えーとえーと……こ、工場の地下に自家発電装置があるミノ。多分そこからコードが伸びてるミノ~!」

 ミノモンは半分泣きそうになりながら答えた。

「よし、そこまで案内してもらうぜ!」

「は、はい~!」

 純平の遠慮ない言葉に、いよいよ目が潤みだすミノモンであった。




 工場内もハグルモンと戦うデジモン達であふれていた。ミノモンの指示で通路と階段を使い、戦いを回避する。

 ミノモンは観念したのか、自分で拓也の肩につかまっている。(拓也につかまれたまま走られ、散々振り回されるよりましである)

 その状態のまま、ミノモンが小首を傾げる。

「でも、なんで今になってハグルモンが?」

「きっと、発電装置の設定を、いじったやつが、いるんだ」

 若干息をあげながら、純平が答える。拓也が「やつ」に思い当たり、顔をしかめた。

「ケルベロモン!」

「かもな。行ってみれば分か」

「発電室が見えたミノ!」

 純平の言葉を遮り、ミノモンが声をあげた。廊下の突き当たりに鉄製の両開きの扉が構えていた。

 そのまま飛び込もうとする拓也の腕を、純平が慌ててつかむ。

「いきなり突っ込んでどうするんだよ! 本当にケルベロモンがいたら俺達じゃ戦えないぜ」

 考えがそこまで至っていなかったらしく、拓也が一瞬言葉に詰まる。

「ぐっ……でも、泉も友樹も外での戦いで精一杯だぜ。俺達が解決しないと」

「だったら大輔を探してこようぜ。建物のどこかにいるはずだ」

 純平は当然のように大輔の名前を出した。

「いや、でもあいつは!」

 思わず口走ってから、拓也は口をつぐんだ。純平が不思議そうな顔をする。

「大輔は、何だよ?」

 言えるわけがなかった。大輔が拓也の進化を妨害したかもしれない、なんて。拓也でさえまだ半信半疑なのだ。

 それに、その疑惑を話せば、情報の出所まで突かれるのは目に見えていた。会った事は秘密にしておくと約束した。神原拓也は、約束を簡単に破れる少年ではなかった。

「……ほら、毎回大輔を頼るのも悪いだろ。ちょっと中見るだけなら、な?」

「まあ、確かにな」
 拓也の言葉に、純平は渋々拓也の腕を離した。大輔に頼りきりになりたくないのは、純平も同じだった。


 拓也が鉄扉に近づき、静かにドアノブを回す。肩を当て体重をかけると、扉は音もなく開いた。20センチ程の隙間を作り、そこから注意深く頭を押し込む。
 内部はコンサートホールほどの大きさで、円柱形の吹き抜け空間になっていた。中心に穴が開いていて、地下から天井まで金属の柱が突き抜けている。柱というよりあれは。

「電池?」

「そうミノ。発生させた電気をあそこにためてあるミノ」

 小声の拓也に、同じく小声でミノモンが答える。いつの間にか拓也の頭に乗っかっている。拓也が上目づかいに頭上のミノモンを見た。

「発生させたって、どこから?」

「それは僕にも分からないミノ」

「……まあ、今は関係ないか」

 突っ込みたいのを我慢して、拓也は巨大電池に視線を戻す。

 電池の元にデジモンが立っていた。黒い四足はケルベロモンに間違いない。

 純平が拓也の背中を小突いてくる。今大事なところだってのに。拓也は純平の手を振り払った。

 ケルベロモンの目の前だけ、電池の壁が赤く焼けている。ケルベロモンが口を開き、緑の炎を吐いた。

「《ヘルファイアー》!」

 熱された壁から湯気が吹き上がる。鼻をつく臭いが拓也達の場所までただよってくる。熱された壁が一枚はがれ落ちた。

「あいつ、一体何やってるんだ?」

 つぶやく拓也の肩を、また純平が叩く。拓也は顔をしかめて、後ろも見ずに振り払う。

「よし……もう少し!」

 ケルベロモンの独り言が聞こえた。そこで拓也にも察しがついた。あいつ、外で乱闘を起こしている間に、電池を壊そうとしているのか?

 純平が拓也に体当たりしてきた。拓也の口からぐえ、と声が漏れる。

「お前、なにす」

 振り返る前に、純平に押されて部屋に転がり込んだ。打った肩を押さえて顔を上げると、廊下にはハグルモンの群れ。視界を埋め尽くさんばかりである。

「おい純平! なんでこんなに集まってくる前に言わなかったんだよ!」

「だから、さっきから知らせようとしてただろ!」

 拓也が叫べば純平も負けじと叫ぶ。

「お前ら! のぞいてやがったな!」

 ケルベロモンが振り向いて、拓也達をにらむ。拓也は顔を引き締めて立ち上がった。

「ケルベロモン! ここで何をやってるんだ!」

 正直な問いに、ケルベロモンは鼻で笑った。

「へっ、ペラペラとしゃべると思ったか? 《インフェルノゲート》!」

 突如、拓也達の足元に穴が開いた。墨を広げたような暗い穴だ。反応する間もなく、拓也達は重力に引かれて落ちる。

「うわあああ!」

「そこで永遠に大人しくしてな!」

 ケルベロモンの言葉を最後に、頭上の穴は閉じた。



◇◆◇◆◇◆




お待たせいたしましたー。半月ぶりの更新はユナイトでございました。アニメのようにコクワモンと手を組むタイミングがなかったので、ミノモン出ずっぱりです。

今回大輔を出せませんでしたが……じ、次回はばっちり活躍しますのでっ!(汗)


15thの「くせ者」のHPはようやく半減しましたね。このペースだと来月頭にはまたデジタマにたどり着けると思いますが……今度こそ割れますよね、公式様!