〔16〕フレイドラモン地割れからの脱出 | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
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 荒野の中を一本、乱暴な線が走っている。ちょうど巨大な爪が地面をえぐっていったかのように、深く細く、地平線の果てまで続いている。

 その底で、拓也は泣きじゃくる友樹をなだめていた。

「なあ、俺が悪かったって。泣かれると俺だってどうしたらいいか分かんないよ」

 拓也の声が聞こえているのかいないのか、友樹はぐずぐずと鼻をすすっている。

「大輔はなぐさめに行かなくていいの?」

 ブイモンの言葉に、大輔は立ったまま眉尻を下げる。

「いやあ、俺も泣いてるやつの相手ってあんまししたことないからな……。伊織みたいに凹んでても話の通じる相手ならいいんだけど」

 涙の滝を流す3年生を見ていると、つくづく火田伊織は特殊なんだと思ってしまう大輔だった。


 それにしても、一番の問題は友樹が泣き止むかどうかではない。

「これ、登るのは大変だよな……」

「大変っていうより無理だろ」

 空を見上げてつぶやく大輔に、ブイモンが突っ込む。

 目の前には断崖絶壁。手をかけられそうな出っ張りも少ない。ネーモンが無謀にもよじ登ろうとしたが、3歩目で手元が崩れて頭から落ちた。

「助けてもらおう!」

「誰が来るんだよ」

 ブイモンの叫びに、大輔が突っ込む。

 荒野ルートに来たメンバーは全員落ちてきてしまった。頼みの綱は泉達だが、さっきケンカしたばかりだし、異変に気付くには時間がかかるだろう。

 目を回しているネーモンを蹴飛ばし、ボコモンがため息をついた。

「これじゃ、ロケットでもない限り帰れんぞい」

「そうだよな、ロケットでもないと……ロケット……それだあっ!」

 大輔の大声に、ボコモンもブイモンも飛び上がった。ついでに友樹が驚いて泣きやんだ。

「ブイモン、フレイドラモンにアーマー進化だ!」

 その言葉に、ブイモンも大輔の意図を察した。

「おう! 任せとけ!」


「デジメンタル・アップ!」

「ブイモン、アーマー進化!」


「燃え上がる勇気、フレイドラモン!」



「《ファイアァ……ロケットォ》!」

 フレイドラモンが全身をたぎらせ、土煙を上げて跳ぶ。火の粉をまき散らしながら、その体は空めがけて駆ける。大輔達が見守る中、その姿は小さくなっていく。

 小さく。

 小さく。

 …………。

 大きく。

 大き、グシャッ。
 フレイドラモンロケットは墜落した。アーマー進化が解ける。

「文字通り火力が足りなかったようじゃな」

「そんなあ」

 ボコモンの分析に、大輔がへたり込む。

 その横に歩み寄るブイモン。

「ごめん、大輔。俺が空を飛べないばっかりに……」

「気にするな、ブイモン! たまたま空を飛べないとどうにもならない状況になって、たまたま唯一進化できるお前が飛べないってだけだ! お前のせいじゃない!」

「大輔……! ありがとう!」

 涙目になったブイモンが大輔に飛びつく。この瞬間、二人は絆が深まったのを感じた。


 それを複雑そうな顔で見つめる拓也達4人。「ブイモンが飛べれば万事解決だったよね」ということに変わりはないわけで、つまり大輔の言葉はフォローになってない。

 しかし、それを二人に告げるのはこくというものである。

「……さて、次の手でも考えようか」

 拓也が何気なく言って、友樹とボコモンとネーモンとで作戦会議を始めた。

 『本宮劇場』をやっていた大輔とブイモンも、そそくさと輪に入ろうとする。

 その行く手にふと影が差した。

 見上げると、谷のふちから出ている顔が一つ。逆光だが、バンダナを巻いたその人物には見覚えがある。

「道理で地の底から声が響いてくると思った。珍しいキノコでも採れるのか?」

 無表情の中に呆れを織り込んだ表情と声。

「輝二ーーーー!」

「よく来てくれた!」

「助けてくれなはれー!」

 一同が心から喜びの声を上げる。

 愛想のない輝二が、今だけはヒーローに見えた。



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今回何をやったかと言われると、ギャグをやったとしか言いようがないです。あ、アニメより早く輝二が登場しました←

いや、ギャグも大事なんですよ。話の筋だけだと素っ気なくなっちゃいますから。特に私の書く話の場合は!