第91話 とりあえずホールドアップ 暇乞(いとまごい)の一時! | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 森の空き地にアグニモン、チャックモン、フェアリモン、ブリッツモン、レーベモンの俺、の五人が並んでいる。

 揃って両手を高く上げてホールドアップして、神妙な顔で前を見ている。

 その視線の先には、十闘士に銃を向ける巧の姿。



「……別に手は上げなくてもいいんだけど」

「いや、やっぱり銃を向けられたら両手を上げたくなるよ」

 俺は必死に笑いをこらえながら答えた。
 巧の後ろでボコモン達3人や葉月達が笑い転げているから余計に笑わないでいるのが大変だ。

 確かに、十闘士が揃って両手を高く上げてホールドアップしている所なんて二度とお目にかかれないよな。



「よし、これで最後っと」

 巧がフロストモンに向かって引き金を引いて、作業が終わった。なんでも「バレット・スキャン」とかいう機能だそうで、俺達のデータを戦いに活用できるらしい。

 葉月も笑いが収まった所で作業に参加して、同じデータを銃に保存した。

「じゃあ、これでお別れかな」

 俺達も進化を解いて、巧達と向き合った。ほんの数日しか一緒にいられなかったけど、別れるのはさみしい。

「気をつけて帰れよ」

 俺が言うと、巧が苦笑した。

「巧の場合、『気をつけて』もどうにもならないからな」

 リオモンが的確に突っ込む。巧の今後にこっそり合掌。不幸も戦闘も色々あるだろうけど、頑張れ。


 泉の方を見ると、葉月達の前でため息をついていた。

「あーあ。これでまた女の子が私一人になっちゃうわね。もう少しゆっくりできればいいのに」

「ありがとー。でも向こうにいる仲間が私の事ものすごーーーく心配してるだろうから、帰ってあげないとねー」

「そうね。特に約一名が落ち着かずにイライラウロウロしているのが想像できるもの」


 葉月とピクシモンの言葉に、巧の肩が跳ね上がった。そのまま動かなくなる。

「……巧?」

 リオモンが巧の顔の前で手を振る。

「俺、このまま帰ったらヤバい目に遭いそうな気がする。今までになくそんな予感がする」

 巧が妙に早口になった。

 素早い動きで俺の腕をつかむ。

「なあ、俺もうちょっとこっちにいてもいいかな? あと何日かくらいでいいから……」

「え、で、でも……」

 何が起こっているのか全く分からない。俺は巧の手をほどこうとしながら口ごもった。

 そこに葉月が現れて、巧の服のえりをがっしりとつかむ。

「さーて、時空のゆがみが消えないうちに帰らないとねー」

 葉月は笑顔で言ってるけど、さっきまでと違う。明らかに怖いことを企んでいる。

「待て! 早まるな!」

 巧が必死にえりを引きはがそうとする。

 しかし葉月は容赦ない。

「ピクシモーン」

「はいはい。フェアリーマジック」

 ピクシモンが巧に手のひらを向けると、巧の体が重力に逆らって宙に浮かんだ。

 それを楽々とゆがみのそばまで引っ張っていく葉月。

「巧……あいつの怒りがこれ以上増える前に帰っとこうぜ」

 リオモンが巧に親指を立てた。


「あのまま元の世界に返していいんでしょうか?」

 エンジェモンがためらいながら俺に聞く。

 俺もあいまいに笑いながら答える。

「いいんじゃないかな、多分」

 エンジェモンもあいまいに頷いて、ゆがみにロッドを向けた。

 ゆがみが大きくなり、風が服や髪をはためかせる。

 手を振る4人がゆがみに吸い込まれていく。巧だけは若干涙目だったけど、俺は励ましの意味も込めて手を振りかえした。

 その姿も小さくなって、ゆがみと一緒に消えた。


「これでまた一件落着だな! ゆがみも少なくなってきたんじゃないか?」

 純平が気楽そうに頭の後ろで手を組んだ。

 反対に信也は難しい顔をしている。

「俺、これだけで終わるとは思えないんだよな。今にもっととんでもないことが起こるような」

「信也、少しは肩の力抜いたら? 緊張しすぎるとそれだけで疲れちゃうよ」

 友樹が信也の肩をもむ。


「そういえば」

 泉が声をあげて、俺は振り向いた。

「どうした?」

「大したことじゃないけど。十二神族との戦いだったのに、なんで私のダブルスピリットは起きなかったんだろうって思って」

 言われてみればそうだ。泉のデジヴァイスには2つの風のスピリットも、補助になる水のスピリットも、ダブルスピリットのプログラムも全部そろっていたはずなのに。

「もしかして……泉が他の女の子と仲良くしてたからラーナモンがすねてたとか?」

 俺の想像に泉がひきつった笑顔を浮かべた。

「いくらなんでも考えすぎじゃない? そんなこと……」

「「あり得る」」


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はい、以上でメモリーズとのコラボ終了です。パラレルさんありがとうございました!

巧と葉月に五人の闘士のデータ一式をおみやげにしましたので、もし使いたい技があれば本編でお使いください。


続いてのコラボはお二方のうち片方となるわけですが……お二方ともコラボ導入を書いていただいてからずいぶん待たせてしまっていて大変申し訳ないです(汗)
これは土下座どころか砂利の上でのスライディング土下座くらいしなきゃならんと思うくらい申し訳ないです←
期待に応えるべく誠心誠意執筆を進めておりますのでご容赦くださいませ。

新しいパソコンも本日買ってきましたので、執筆速度は回復するはずです! キーボードで書けるってやっぱ最高♪


さて、コラボには関係のないことですが、話数三桁がいよいよ見えてきました。書き始めた頃は「100話位で終わるかなー」と思っていましたが、いまだに終わりそうにないですね(笑)
コラボが終わったら100話記念でまた何かやろうとは思っています。