第85話 うわさをすれば!? 不幸の襲来 | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 突然のイタリア語なぞのことば に全員がきょとんとして、質問が止まった。

 最初に立ち直ったのは女の子だった。

「チャオー、ってイタリア語よねー。ところで『異世界』ってどーゆーこと?」

 私はデジモン達を見てから答える。

「きっとあなた達も『デジタルワールド』って呼ばれる世界から来たんでしょ。ここはあなた達がいたのとは違うデジタルワールド。最近時空がおかしくなってるせいで、あなた達みたいな異世界からのお客さんが多いの」

「俺達がいたデジタルワールドとは違うデジタルワールド……それなら人間がD-トリガー持ってなくても不思議じゃないか」
 男の子が立ち上がって、納得したように腕組みする。頭につけているゴーグルが土で汚れてるけど、そこには触れないでおこう。

「そうだ、詳しい話の前に、名前を教えてもらえない? 私は織本泉。中学1年生よ」

 私が話を振ると、男の子が最初に答えた。

「俺は刃坊巧。中2だ。で、こっちは俺のパートナーで」

 男の子――巧が隣にいたトカゲみたいなデジモンを手で示す。

「俺はリオモン。よろしくな」

 次は女の子と妖精みたいなデジモンの番。

「私は金城葉月。同じく中学2年生。よろしくねー」

「アタシは葉月のパートナーのピクシモン。泉のパートナーはどこにいるの?」

 最後は質問を投げられた。

 前にパートナー持ちの人と会った時も困ったんだけど、どう説明すればいいんだろう?

「うーん、実際に見てもらうのが早いかな」

 私はポケットからデジヴァイスを出した。左手にデジコードを浮かび上がらせる。

 興味しんしんといった顔で、4人が見つめてくる。とっくに慣れた動きのはずなんだけど、じっと見られてると変に緊張する。



 でも結局、進化に緊張も何もしている暇はなかった。


 厚い雲でもかかったみたいに、辺りが急に暗くなった。

「え?」

 思わず見上げた空に見えたのは。

「……島か?」

「いや、○ピュタだな」
 リオモンのつぶやきに、巧が妙に自信満々に答える。

 確かに私達の上にあったのは、どこかのアニメでみたような空中に浮かぶ森だった。違うのは胴体から三つの出っ張りがでていて、それが鳥の頭と翼みたいに見える所。

 大きさはまだ遠くてよく分からないけど、だんだん近づいてくるのを見ると、本当に空中都市くらいあるんじゃないかと思う。

 ……うん。

「近づいて、きてるわよね?」

「見間違いじゃないよーね……」

 そっと葉月に確認すると、顔をひきつらせながら答えてくれた。

 巨大な森は、私達が見ている間にも地上に落下してくる。

 私達の真上に。

「早く逃げないとっ!」

 ピクシモンの声で、みんな我に返って全力逃走した。

「なんで異世界に来て早々こうなるんだよ!?」

 リオモンの半分悲鳴のような声。

「巧のせいよ、間違いなくー!」

「って、俺かよ!?」

 葉月と巧が何か言いあってる……さっきの土下座といい、何か訳でもあるのかしら?

 そうしている間にも、森は大きくなってくる。空のほとんどが影で塗りつぶされた。

 このままじゃ間に合わない!

 私は持っていたデジヴァイスでデジコードを読み取った。


「スピリット・エボリューション!」

「フェアリモン!」


 ピクシモンが目を丸くした。

「人間がデジモンになった!? どうして!?」

「後で説明するから!」

 私は飛びながら早口に答える。今は逃げるのが先!

「そうだな。俺達も行くぞ!」

 巧がいつの間にか赤色の銃を持っていた。

 それを自分のパートナーに向ける。

「えっ、向ける方向が違――」

 私が言う暇もなく。

進化弾エボリューション・バレット !」

 撃った。

「リオモン進化――ヴルムモン」

 進化した。


 リオモンが赤い翼の竜に進化した。

「撃ったのに? 大丈夫で? 進化した!?」

 私の頭に「?」と「!」がいくつも浮かんだ。

「後でせつめーするから。ピクシモンも行くよー、進化弾」

 葉月が私と同じことを言って、黄緑色の銃をピクシモンに向けて撃った。


「ピクシモン進化――エルフモン」

 今度はピクシモンが長い金髪の女性の姿に変わった。

 疑問は後にして、とにかく全員のスピードは上がった。

 巧はヴルムモンの背に乗って、葉月はエルフモンに抱えられて、森が落ちてくる範囲から逃げる。

 森が風を切って落下する音が聞こえる。辺りは夜のように暗くなっていく。高い木の枝がへし折られて、雨のように降り注いでくる。

 それでも、すぐ目の前に日の差す空間が広がっていた。

「よし、ぎりぎりセー」

 巧の言葉が変な所で切れた。

 振り返ると、巧がスローモーションのようにヴルムモンの背から落ちる所だった。その額には一抱えもありそうな太い木の枝が激突していた。折れた枝の一本が、クリーンヒットしたらしい。

 ヴルムモンを始めみんなが慌てて止まろうとする。でも、全力のスピードはすぐには止められない。

 巧だけを影の下に残して、他が安全圏に飛び出す形になった。

「っ! くそっ!」

 巧が額を押さえながら立ちあがって、こっちに走りだそうとする。


 その前に、森に押しつぶされた。


 呆然とする私の横を、地響きとともに土ぼこりが吹き抜けた。

 目の前にはそびえたつような土の山。巧の指一本すら見えない。

「……嘘でしょ」

 私は今起きたことが信じられないでいた。




☆★☆★☆★



題名が既にオチだったような(笑)
まあ巧なら、「ラ○ュタ級に大きな何か」に押し潰されても……ね?


信也「んな無茶な」←本編に出番がないので出てきた


えー、さて、明日は8月1日ですね。

去年はすっかり忘れ去っていたので、今年は忘れずに準備しましたよ。


信也「放出し損ねてた画像を張っただけだけどな」


それを言うなっ!(汗)

っと、明日の12時に予約投稿してあるのでよかったら見てください。