突然の
最初に立ち直ったのは女の子だった。
「チャオー、ってイタリア語よねー。ところで『異世界』ってどーゆーこと?」
私はデジモン達を見てから答える。
「きっとあなた達も『デジタルワールド』って呼ばれる世界から来たんでしょ。ここはあなた達がいたのとは違うデジタルワールド。最近時空がおかしくなってるせいで、あなた達みたいな異世界からのお客さんが多いの」
「俺達がいたデジタルワールドとは違うデジタルワールド……それなら人間がD-トリガー持ってなくても不思議じゃないか」
男の子が立ち上がって、納得したように腕組みする。頭につけているゴーグルが土で汚れてるけど、そこには触れないでおこう。
「そうだ、詳しい話の前に、名前を教えてもらえない? 私は織本泉。中学1年生よ」
私が話を振ると、男の子が最初に答えた。
「俺は刃坊巧。中2だ。で、こっちは俺のパートナーで」
男の子――巧が隣にいたトカゲみたいなデジモンを手で示す。
「俺はリオモン。よろしくな」
次は女の子と妖精みたいなデジモンの番。
「私は金城葉月。同じく中学2年生。よろしくねー」
「アタシは葉月のパートナーのピクシモン。泉のパートナーはどこにいるの?」
最後は質問を投げられた。
前にパートナー持ちの人と会った時も困ったんだけど、どう説明すればいいんだろう?
「うーん、実際に見てもらうのが早いかな」
私はポケットからデジヴァイスを出した。左手にデジコードを浮かび上がらせる。
興味しんしんといった顔で、4人が見つめてくる。とっくに慣れた動きのはずなんだけど、じっと見られてると変に緊張する。
でも結局、進化に緊張も何もしている暇はなかった。
厚い雲でもかかったみたいに、辺りが急に暗くなった。
「え?」
思わず見上げた空に見えたのは。
「……島か?」
「いや、○ピュタだな」
リオモンのつぶやきに、巧が妙に自信満々に答える。
確かに私達の上にあったのは、どこかのアニメでみたような空中に浮かぶ森だった。違うのは胴体から三つの出っ張りがでていて、それが鳥の頭と翼みたいに見える所。
大きさはまだ遠くてよく分からないけど、だんだん近づいてくるのを見ると、本当に空中都市くらいあるんじゃないかと思う。
……うん。
「近づいて、きてるわよね?」
「見間違いじゃないよーね……」
そっと葉月に確認すると、顔をひきつらせながら答えてくれた。
巨大な森は、私達が見ている間にも地上に落下してくる。
私達の真上に。
「早く逃げないとっ!」
ピクシモンの声で、みんな我に返って全力逃走した。
「なんで異世界に来て早々こうなるんだよ!?」
リオモンの半分悲鳴のような声。
「巧のせいよ、間違いなくー!」
「って、俺かよ!?」
葉月と巧が何か言いあってる……さっきの土下座といい、何か訳でもあるのかしら?
そうしている間にも、森は大きくなってくる。空のほとんどが影で塗りつぶされた。
このままじゃ間に合わない!
私は持っていたデジヴァイスでデジコードを読み取った。
「スピリット・エボリューション!」
「フェアリモン!」
ピクシモンが目を丸くした。
「人間がデジモンになった!? どうして!?」
「後で説明するから!」
私は飛びながら早口に答える。今は逃げるのが先!
「そうだな。俺達も行くぞ!」
巧がいつの間にか赤色の銃を持っていた。
それを自分のパートナーに向ける。
「えっ、向ける方向が違――」
私が言う暇もなく。「
撃った。
「リオモン進化――ヴルムモン」
進化した。
リオモンが赤い翼の竜に進化した。
「撃ったのに? 大丈夫で? 進化した!?」
私の頭に「?」と「!」がいくつも浮かんだ。
「後でせつめーするから。ピクシモンも行くよー、進化弾」
葉月が私と同じことを言って、黄緑色の銃をピクシモンに向けて撃った。
「ピクシモン進化――エルフモン」
今度はピクシモンが長い金髪の女性の姿に変わった。
疑問は後にして、とにかく全員のスピードは上がった。
巧はヴルムモンの背に乗って、葉月はエルフモンに抱えられて、森が落ちてくる範囲から逃げる。
森が風を切って落下する音が聞こえる。辺りは夜のように暗くなっていく。高い木の枝がへし折られて、雨のように降り注いでくる。
それでも、すぐ目の前に日の差す空間が広がっていた。
「よし、ぎりぎりセー」
巧の言葉が変な所で切れた。
振り返ると、巧がスローモーションのようにヴルムモンの背から落ちる所だった。その額には一抱えもありそうな太い木の枝が激突していた。折れた枝の一本が、クリーンヒットしたらしい。
ヴルムモンを始めみんなが慌てて止まろうとする。でも、全力のスピードはすぐには止められない。
巧だけを影の下に残して、他が安全圏に飛び出す形になった。
「っ! くそっ!」
巧が額を押さえながら立ちあがって、こっちに走りだそうとする。
その前に、森に押しつぶされた。
呆然とする私の横を、地響きとともに土ぼこりが吹き抜けた。
目の前にはそびえたつような土の山。巧の指一本すら見えない。
「……嘘でしょ」
私は今起きたことが信じられないでいた。
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題名が既にオチだったような(笑)
まあ巧なら、「ラ○ュタ級に大きな何か」に押し潰されても……ね?
信也「んな無茶な」←本編に出番がないので出てきた
えー、さて、明日は8月1日ですね。
去年はすっかり忘れ去っていたので、今年は忘れずに準備しましたよ。
信也「放出し損ねてた画像を張っただけだけどな」
それを言うなっ!(汗)
っと、明日の12時に予約投稿してあるのでよかったら見てください。