第82話 絆を力に! 重なる道と魂 | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

作者「最初に言っておく! 絵はおまけだ!

    ……というわけでどうぞ」




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「みんな!」

「大丈夫!?」

 僕達が駆けつけた時には、ひまわりみたいなデジモン――サンフラウモン達が傷だらけになって倒れていた。

 その中心で吠えているデジモンが一体。オレンジ色の鱗の恐竜型デジモンだ。2本足で立っていて、背中には銀色に光る刃が一列に並んでいる。

 僕はデジヴァイスを向けてデータを読み取った。


『スピノモン。ジャングルに生息する恐竜型デジモン。デジタルワールドに生息している恐竜型デジモンの中でも最大・最強のパワーを誇る。大きな特徴となっている背中のブレードは、強い防御力と攻撃力をあわせもっている。必殺技は、背中のブレードを一斉に発射する《ソニックスラッシュレイン》と、体内の金属を過熱しプラズマ化させて打ち出す《ブループロミネンス》。背中のブレードは無尽蔵に生えてくるために、弾切れを期待しないほうが良い』


 スピノモンか。見た事のないデジモンって事は、拓也お兄ちゃん達の記憶から出来たデジモンじゃない。

 でもどちらにしろ、オリンポス十二神族の手下だってことは間違いない。

 僕はデジヴァイスを右手に持ちながら、周りのサンフラウモン達を見た。ほとんどのサンフラウモンはデジコードまで浮かび上がっていて、とても動けそうにない。こんな所で戦ったら味方まで巻き込んじゃうよ。

「どうしよう。なんとかみんなを避難させないと」

 そう言う僕の肩に、トモヒロが手を置いた。

「そっちは僕達に任せて。エンジェ、いける?」

「うん!」

 エンジェがトモヒロの腕から飛び出した。


「パタモン! 進化!」

「エンジェモン!」


 進化すると、本当にこっちの世界のエンジェモンと見分けがつかない。

 エンジェが背中の羽で飛び上がり、両手を広げた。

「《ヒーリングエアー》!」

 エンジェの体から光の雨が降り注いだ。

 それを浴びたサンフラウモン達の傷がまばたきする間に治っていく。

「……すごい」

 思わずつぶやいた。こんな風に傷を治せる技もあるんだ。

「さあ、今のうちに逃げて!」

 トモヒロとエンジェに言われて、サンフラウモン達が慌てて逃げていく。

 これでもう思いっきり戦える!


「スピリット・エボリューション!」

「ブリザーモン!」

 

 敵は強力な攻撃力と防御力を持っている。それならこっちもパワーで勝負だ!

 僕は斧を両手に、スピノモンめがけて走り出した。

 スピノモンが顔を下に向け、背を曲げた。背中の刃が一斉に発射される。

「《アヴァランチステップ》!」

 それを斧で振り払いながら突き進む。弾切れがなくたって、敵のふところに潜り込めば攻撃は当たらない。

 至近距離まで来た所で、両手を地について伏せる。後はこのまま敵を叩き斬るだけ!


 僕は、スピノモンの本当の狙いに気づいてなかった。


 一瞬斧を地面に置いた瞬間を、無防備になった瞬間をスピノモンは見逃さなかった。

 死角になっていた口の中には、もう高熱の金属が待ち構えていて。


 視界が青くなると同時に、自分のまとっていた冷気が熱気に変わった。




「友樹! しっかりして!」

 トモヒロの声に僕はゆっくり目を開けた。何だか視界が黄緑色に見える。

 まばたきをして、意識をはっきりさせる。トモヒロが助け起こしてくれて、やっと今の状況が分かった。

 進化はさっきのダメージで解けていた。ポケットからデジヴァイスと、中庭で拾った大樹の葉がこぼれ落ちている。

 スピノモンの相手はエンジェがしていた。敵が撃ちだす刃を、空中を飛びまわってかわしている。でも、勢いに押されて全く攻撃できないでいる。

「せめて、エンジェ以外のデジモンがいればクロスオーブできるのに……」

 トモヒロが悔しそうにエンジェの戦いを見ている。

 その姿が2年前の僕と重なった。

 進化が出来なくて、拓也お兄ちゃん達とロイヤルナイツの戦いを見ているだけだった僕。

 進化するだけが戦いじゃない、なんて言ったって、やっぱり本当は進化して一緒に戦いたかった。

 だから、ここであきらめたくないんだ。今ここに戦う力があるのなら、それを精いっぱい使って戦いたいんだ。

 2年前と同じままでいたくないから。



「エンジェ!」

 トモヒロの高い声で、僕ははっとエンジェを見た。

 刃で羽を切り裂かれ、エンジェモンが羽毛を舞い散らせながら光の繭に包まれる。

 パタモンに戻ったエンジェを、トモヒロが受け止めた。

「大丈夫か!?」

「うん……ちょっとかすっただけ。まだ戦えるよ」

 心配するトモヒロに、エンジェが精いっぱい強がってみせる。

「ボクはまだトモヒロに会ったばっかりなんだよ? もっといっぱい話したいし、一緒に冒険したい。だからこんな所で負けたりしないよ!」

 トモヒロは少し驚いた顔でエンジェを見ている。


 そんな僕達3人に、スピノモンがようしゃなくプラズマ化した金属を撃ちだした。


「まだ僕に戦う力が残ってるのなら」

「ボクは、トモヒロや、パタモンや、大好きなみんなと一緒にいたいから」

「逃げたくない!」



 その声にこたえるように、二つの輝きが生まれた。

 一つは地面から舞い上がった大樹の木の葉。

 もう一つはエンジェの耳かざり。

 それが光の壁になって、スピノモンの攻撃を跳ね返した。


『……備えあればうれいなし。受け取れ』

 聞き覚えのある声が、木の葉から聞こえてくる。葉が二つに増えて、一組のスピリットに形を変えた。

 食いしん坊の十闘士は、僕の知らない間にプレゼントをくれていたみたいだ。

 僕は小さく笑ってから手を伸ばして、その光を受け止めた。


 耳かざりの光の元は、埋めこまれた4つの宝石だった。

「進化……するのか?」

 トモヒロのつぶやきに、エンジェがうなずいた。

「うん。トモヒロの気持ちが、みんなの気持ちがボクに力をくれる」



「アルボルモン、僕がんばるよ!」

「トモヒロ、見てて!」





「ダブルスピリット・エボリューション!」








星流の二番目のたな-フロストモン

「フロストモン!」









「クロスロード・エボリューション!」





「サクヤモン!」



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はい、オリジナルデジモンであるフロストモン登場回でした。アルボルモンの出番が恐ろしく短いですが、奴に言わせるセリフが思いつかないので(笑)


絵のベースはヴァイクモンです。総製作時間は……覚えてませんが相当長くかかりました。台座に乗せようとか思いついた時点で、手間が大変な事になるって気づくべきだった……。


外見と設定の一部はだいぶ前(←)にいただいたアイディアの中から、ぱろっともんさんのものを使わせていただきました。

……選考基準があまりにもナニデアレでしたけど(汗)

いただいたアイディアの中で一番ましに書けたのがぱろっともんさんのやつだった、という……。完成した絵も結構細かい所ぼかしてごまかしてます。

パラレルさんのとキラさんのアイディアの絵は、恥ずかしくてここには出せません。すみません(汗)


この場をお借りしてお三方にお礼申し上げます。アイディアを寄せてくださり、ありがとうございました。

細かいデータは次回上げます。


そしてもう一つ。エンジェのクロスロード・エボリューションですね。

こちらはキラさんから無茶b……もとい、要望をもらったオリジナル進化です。全て任せると言われたのであれこれ勝手に設定作りました(笑)

発動条件はトモヒロのデジヴァイスとエンジェの耳かざりの二つのアイテムがある事です。パワーの源は「世界を越えた友情(的な何か)」です。トモヒロとエンジェのとか、エンジェとこっちのパタモンのとか。

とまあ、発動条件はあくまで私のイメージなので、好きに改変しちゃって大丈夫です(笑)


さて、後書きが長くなりましたが。

進化までは今回で辿りつけたけど、これあと一回で終わる気がしな(ry

書きたいもの、これで割と削ってるんですけどね……。


今回初登場のデジモン(これもキャラ紹介でまとめるべきなのかな……?)


サンフラウモン

スピノモン

サクヤモン