第81話 二人の闘士の共闘! 作戦と意地と | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
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「スピリット・エボリューション!」

「アグニモン!」

「ミッシング・スピリット・エボリューション!」

「スターブライトソードモン!」


 視界が開けると、俺のすぐ後ろに見慣れないデジモンが立っていた。

 身長はアグニモンより少し高い。時代劇に出てきそうなはかま姿のデジモンだ。腰まで伸びた金色の髪が特に目を引く。夜なのに細かな所まで見えるのは、彼が持っている白銀の剣が輝いているからだった。

「これがキラの世界の伝説の闘士ってわけか」

 俺が敵に目を戻しながら言うと、SBソードモンスターブライトソードモンの笑う声がした。

「まあね。時間があれば詳しく説明できるんだけど。今は戦いに集中するよ!」

「言われなくても!」

 俺とSBソードモンがそれぞれの敵に向かって駆けだした。


 俺が距離を詰めるのを見て、スカルサタモンがにやついた。

「俺達三兄弟の話を聞いてないのか? ヒューマンスピリットで倒せる相手だと思ったら大間違いだぜ!」

 言い終わると同時に杖の先を向けてくる。

「《ネイルボーン》!」

 先端の黄色い宝球から電撃が放たれる。

 俺は横にステップを踏んでかわす。

 息つく暇もなく、杖が目の前に迫る。

 俺は後ろに跳んで、距離を取る。

 フットワークを活かして、俺は回避に集中した。

「隙あり!」

 スカルサタモンが杖を横に振った。杖のかぎ爪が俺の足を捕らえる。

「くっ」

 勢いをそがれて、俺はその場に転がされた。スカルサタモンが俺に宝玉を向けた。

「《スターダスト・スラッシュ》!」

 光る斬撃と共に、スカルサタモンが視界から吹き飛んだ。

 その向こうには剣を振り抜いた姿勢のSBソードモン。

「どうした? 敵にやられてたんじゃ勝負にもならないぞ?」

 俺は顔をしかめて立ち上がると、両腕に炎を込めた。

「《バーニングサラマンダー》!」

 炎がSBソードモンの横を駆け抜ける。

 ちょうどSBソードモンを殴ろうとしていたスカルサタモンが、炎の球にのけぞった。

 少し驚くSBソードモンに、俺はにやりと笑った。

「これで貸し借り無しだな」

 俺の言葉にSBソードモンも笑う。

「そうみたいだね。……さて、そろそろ終わりにしようか」

 SBソードモンの言葉に、スカルサタモン達が呆れたような声を出した。

「『終わりにする』だあ? 俺達に大してダメージも与えられてないお前達が?」

「ちょっと様子見てただけだよ」

 俺は答える間にも右足に炎を集中させていた。

「《バーニングシュート》!」

 狙い澄ました一撃が、スカルサタモンの杖を弾き飛ばした。

 敵の攻撃は全部あの杖を使っている。それなら。


「武器さえ奪えばこっちのもんだ!」


 スカルサタモンの顔に焦りの色が浮かぶ。

 SBソードモンが剣を握り直す。

「まあ、俺の方は武器を奪うまでもないけどね。前のスカルサタモンと同じだって分かれば、後は一番強い攻撃で叩くだけ!」

 俺とSBソードモンの体がデジコードに包まれた。


「スライド・エボリューション!」

「ヴリトラモン!」

「ミッシング・スライド・エボリューション!」

「エクストリーム・ムーンドラモン!」


 俺の横に二本足で立った白いドラゴンが現れた。立ち姿はヴリトラモンに似ているけど、全身が白い鱗に覆われていて、映画か何かにでも出てきそうな外見だ。

 ちょっと気に入らないけど、俺とキラの考えている作戦は同じらしい。

 つまり、ビーストスピリットの勢いで一気に決める!

「《フレイムストーム》!」

「《マリンライト・ストリーム》!」

 敵を炎の渦が包み、蒼い光が貫いた。

「ビーストスピリットごときに……」

「……俺達がやられるだと?」

 最後の言葉を残して、スカルサタモン達にデジコードが浮かび上がる。

「後は任せてよ」

 キラがSBソードモンに戻って、デジヴァイスを手に取った。


「荒ぶる星月の輝きが、暗黒に沈みし悲哀の心を浄化する! デジコード・スキャン!」


 二つのデジタマが夜空に消えていった。

 俺達も進化を解く。

「さて、勝負は俺の勝ちかな?」

「はあ!?」

 キラのセリフに、俺は反射的に叫んだ。

 キラが伸びをしながら笑う。

「だって、俺の方がとどめさすの速かったし」

「どう見たらそうなるんだよ! デジコードが浮かんだのは同時だっただろ!」

 噛みつく俺を、キラは面白がってるみたいに笑って見ている。

 うー、からかわれてるみたいで何かむかつく!


「信也! キラ!」


 純平が大声を出して走ってきたのはその時だった。全速力だし、焦っているように見える。

「よかった……ここにいたのか……」

 俺達のそばに来て、必死に息を整える純平。

「何かあったのか?」

 俺が聞くと、純平は息をつきながら頷く。

「城に敵が攻めてきたんだ。二人にも手伝ってもらわないと……」

「でも敵なら今俺達が」

 キラが言いかけて、何かに気づいて目を丸くした。

「しまった、陽動作戦だったんだ!」

 純平も息が整ってきて、顔を上げた。

「ああ。キラと信也が戦っている間に、反対側から攻め込まれたんだ」

 そう言われてみれば、俺達にわざわざケンカを売ってきた時点でおかしかった。

 だって敵の目的は――。

「木のスピリットだ! 木のスピリットが危ない!」

 俺の声にキラと純平が顔を引き締めた。

「友樹とトモヒロ達が先に戦ってくれてる。俺達も早く!」

 純平の言葉に急かされて、俺達は城の反対側に走り出した。



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あれ? キラさんと信也って案外チームワークがよ←「よくない!」by信也

さいですか……。


あーっ! やっぱりというかなんというか、友樹サイドの話まで入れなかったっ!

アレ書きたいコレ書きたいってやってるとどんどん長くなります……。
うーん、あと2話でまとめたいなあ。(願望)




P.S.キャラ紹介の記事の信也の絵を差し変えました。前よりは良くなったと思うんだ、うん。