第79話 水晶の城にて! 合流と消えた気配 | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
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 僕達4人がエンジェモンの城に着いた時には、城の周りも森も落ち着いていた。

 と言っても、時空のゆがみは相変わらず大きな口をいくつも開けている。今は敵も自分達の世界に戻ったけど、いつまた攻撃をしかけて来るか分からない。
 それで城のみんなは、ゆがみを見張ったり、傷の手当てをしたり、休んだり、それぞれ次の戦いに備えていた。
 門の前にいたデジモンが、僕達を見つけて勢いよく走ってきた。

「信也はーん、友樹はーん! よくぞ無事じゃったのう!」

「ちょっと帰りが遅かっただけなのにね~」

 涙目になりながら叫んでいるのがボコモン。そのはるか後ろをよたよた走ってくるのがネーモン。

「ボコモン、ネーモンも元気そうで良かった!」

 僕が笑うと、ボコモンが嬉しそうに何度も頷いた。

「あれ、もしかして、二人の後ろにいるのって……」

 ネーモンの視線がキラ達に向く。

 ボコモンも瞬きしながらキラとエアを見る。

「もしかして、また異世界からの人間じゃマキ?」

 僕の視線がボコモン達からキラに行って、またボコモン達に戻る。

「『また』って事は……」

 僕のつぶやきに、ボコモンが頷く。

「さっきも泉はんが、異世界から来たって言う人間とパタモンを連れて来たんじゃハラ。エンジェモンに知らせると言って城の中に入っていったんだぞい」

「おかげで純平が凹んでるんだけどね~」

 ネーモンが言いながら門の方を振り返る。

 見ると、門のそばで純平さんが座り込んでため息をついていた。

「純平のやつ、泉が男と一緒に戻ってきたから凹んでるのか?」

 キラが言って、僕はあいまいに頷く。

「そう、みたい……。でもキラ、純平さんに初めて会うのに、よく分かったね」

「え?」

 そこで気づいたみたいに、キラが慌てて目をそらす。

「あ、いや、何でもない! それより、異世界から来た人間とパタモンっていったら」

「トモヒロとエンジェだね!」

 キラとエアが明るい表情で頷きあった。

 うーん、何かごまかされたような……気のせいかな?





―――





 ボコモン達に連れられて城の奥に行くと、楽しそうに話す声が聞こえてきた。

 床に座って話しているのは、キラと同い年くらいの白シャツの人と、……なぜかパタモンが二人。

「トモヒロ!」

「エンジェ!」

 キラとエアがそれぞれ名前を呼んで駆け寄る。向こうもそれに気づいて振り向いた。

 まず白シャツの人――トモヒロが嬉しそうな顔で立ち上がった。

「元気そうだな!」

 トモヒロの言葉にキラが苦笑する。

「さすがにあんだけの数相手にしたら疲れたけどな……」

 エアの方はと言うと、パタモン二人に駆け寄った後、困ったように立ち止まった。僕もそこに近寄る。

「えっと、こっちがエンジェだよね?」

 エアが片方を指差して確認する。

 パタモン達は大きさも動きもそっくりだ。まるで二人の間に鏡でも置いたみたいに似ている。

 だけど、見分けるのは簡単。

「ボコモンと同じ腹巻きをしてるのが僕達の世界のパタモンで、腹巻きをしてない方が『エンジェ』だよね!」

 僕がしゃがみこんで言うと、パタモン達が嬉しそうに答えた。

「その通りです~」

「ボク達、進化しても同じ姿なんだよ!」

「ねー!」

 最後は二人で顔を見合わせて笑い合う。すっかり仲良しになったみたいだ。


「そう言えば、元の世界に戻る方法だけど……」

 キラが思い出したように手を叩いた。

「それについてはわしから説明するぞい!」

 ボコモンが腹巻きからいつもの本を取りだした。

「城の周りに出来た時空のゆがみは、十二神族がこの城を攻めるために作ったものじゃハラ。じゃが、強引に時空をつなげているせいで、十二神族の世界とこの世界、二つの世界以外にも影響が出ているようなんじゃ」

「つまり、僕達の世界とこの世界をつなぐゆがみが出来ちゃったって事だよね?」

 トモヒロがまとめる。

 パタモンが後に続く。

「でも、十二神族の世界につながるゆがみ以外は、すごくゆらゆらしてるです。ぼくが頑張ればエンジェ達が来た時みたいにきっちりさせられると思うんですが……」

「そのためには、パタモンが安心して力を発揮できる状況を作らんといかんのじゃマキ。じゃから、キラはん達が来たゆがみの周りで戦うわけにはいかんのじゃ」

 うーん、話がややこしくなってきたけど。

「要するに、あのあたりにいる敵を一掃すればいいってことだろ!」

 キラが明るく言った。ボコモンも大きく頷く。

「そのとーり! わしとしても、大事な息子娘を戦いの場に出すことはできんからのう」

「ははは……」

 最後の親バカに思わず苦笑いした。

「とにかく、今日はここで休ませてもらおうよ。エンジェとエアも疲れてるし」

 トモヒロがキラに提案した。確かに、エンジェとエアは安心して気が抜けたのか眠たそうだ。


 そこでやっと気づいた。

 一緒に来てたはずの信也がいない。

「ネーモン、信也見なかった?」

 そばにいたネーモンに聞くと、ネーモンは首をかしげて考え込んだ。

「んーと、さっき一人でこの部屋を出てったけど? 『見張りに行ってくる』って言ってた」

 どうしたんだろう。勝手にいなくなるなんて信也らしくない。

 僕が部屋を出ようとすると、キラに呼びとめられた。

「信也探しなら俺も行くよ。この辺りの地理も調べておきたいし」

 いつの間にかネーモンとの話を聞いていたみたいだ。

「じゃあ、お願い」

 僕とキラは二手に分かれて信也を探しに行った。



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先日の怪我の件ではお騒がせしました。もう大丈夫です。

ただ、今後忙しくなりそうなので、書けるうちに前倒しで投稿していこうと思っています。


無理してるわけじゃない。小説書かないと禁断症状が出るんです!