第78話 予測不能の真実! 会話と一応の和解 | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

「ご迷惑をおかけして、大変申し訳ありませんでした!」

 信也は今、全力で土下座している。


 相手はアルフォースブイドラモン――だった男の人とデジモン。見間違いじゃなくて、本当に「僕達以外の人間」だ。

 どうしてこんな状況になったのか。説明するためには、時間をさかのぼらないといけない。




―――





「食らえーっ!」

 ヴリトラモンの強烈な一撃を受けたアルフォースブイドラモンは、そのまま後ろの木に叩きつけられた。

 思いがけず大きなダメージを受けたらしく、その体がデジコード――じゃなくて、まばゆい光に包まれた。

 見た事のない光景に、一瞬嫌な予感がした。

 光が消えた後には、二つの人影があった。

 一つは青いぬいぐるみ大のデジモン。

 もう一つは、僕達より年上の男の人。

「は?」

 ヴリトラモンがぽかんと口を開けるけど。

「え?」

 僕も目をこするけど。

 それは間違いなく人間だった。


 混乱している間に、ヴリトラモンが僕の隣に降りてきた。

 ヴリトラモンが男の人を指差しながら恐る恐る聞いてくる。

「な、なあ、ロイヤルナイツって……人間もいるのか?」

「い、いや、違うよ?」

 戸惑いながらもその質問には即答する。この世界にいて、しかもデジモンに進化できる人間なんて僕達以外にいない。もちろん、ロイヤルナイツの中になんかいるわけがない、はずなんだけど。

 お互いに顔を見合わせていた僕達は、男の人が動いたのに気づかなかった。

 それも、生身でデジモンに殴りかかってきている事に。

「は……え!?」

 今度はヴリトラモンの方の反応が間に合わない。

「てめえは人の話を……聞けーっ!」
 きれいなアッパーがヴリトラモンに決まった。苦しそうな声を上げながら地面に転がるヴリトラモン。
 このカウンターが見事に効いたらしく、進化が解ける。

「信也!」

 僕は慌てて信也のそばに駆け寄る。

 アッパーを決めた張本人はというと、こぶしを振り抜いた状態のまま、信也を見て固まっていた。

「あれ?拓也じゃなくって……信也?」

 混乱しているのは向こうも同じらしい。

 どうやら、お互いに情報交換の必要がありそうだった。



「こことは違うデジタルワールドから来たの!?」

 僕の驚きに、男の人は軽くうなずいた。

 今は全員進化を解いて、地面に座っている。

「変なゆがみに吸い込まれて、気づいたらここにいたんだ。あ、俺は星野煌也ほしのこうや。漢字一文字を取ってキラでいいよ」

 男の人――キラは18歳くらいのお兄さんだった。身長は180センチくらいあるかな。結構高い。オレンジのTシャツに、赤地にチェックのシャツ、緑色っぽい七分丈のズボンを着ている。

 キラは自己紹介の後、横に座っているデジモンを手で示した。

「こっちは俺のパートナーで、ブイモンのエア」

「よろしく~」

 エアと呼ばれたデジモンが片手を上げた。

「パートナー、って何だ? 仲間の事か?」

 信也が首をかしげる。(その後顔をしかめてあごを押さえた)

 キラが考え込む。

「どう言ったらいいかな……君達のスピリットが実体化して話せるようになった存在、に近いかな?」

 僕の頭を、チャックモンの姿がよぎった。2年前に僕をはげまし、最後の戦いで一緒に戦ったチャックモン。今はスピリットに戻ってしまったけど……。

 僕は落ち込みそうになる気持ちを脇に置いて、キラに話しかけた。

「じゃあ、さっきのアルフォースブイドラモンっていうのは、キラとエアがスピリット・エボリューションした姿なの?」

「正確にはコネクト進化っていうんだけど……まあ似たようなものだね」

 キラの答えを聞いて、何か考えていた信也がためらいながら口を開いた。

「ってことは、キラはロイヤルナイツや十二神族とは無関係……?」

「俺としては、勝手に勘違いされた上に被害を受けた気がするんだけど?」

 キラは笑顔を向けたけど、信也の顔は明らかに強張った。

「ご迷惑をおかけして、大変申し訳ありませんでした!」
 そして最初の場面に戻る。





―――





「えっと、そうだ。キラはこれからどうするの?」 

 僕は空気を変えようとキラに話を振る。

「そうだな。まずはトモヒロ達を探さないと。トモヒロとエンジェっていう人間とパタモンも一緒にこの世界に来てるんだ」

 キラの友達で、同じように時空のゆがみに吸い込まれてここに来た人がいる。でも、戦ってる最中にはぐれちゃったんだって。

「それに、帰る方法も探さないとね」

 エアが付け足す。時空のゆがみに関係しているみたいだけど、吸い込まれた本人達も分からないみたいだ。

「なら、エンジェモンの城に行かない? この辺りで一番目立つ建物だし、トモヒロって人もそこに向かってるかもしれないよ」

 僕の提案に、キラが立った。

「そうだな! ……信也、分かったからもう土下座しなくていいよ?」

 キラの言葉に、信也は何か不機嫌そうな顔で立ち上がった。
 戦いも落ち着いたらしく、周りは静かになっている。

 念のためデジヴァイスを握りながら、僕達はエンジェモンの城に向かった。



★☆★☆★☆


無事収束しました!(笑)


友樹「一時はどうなる事かと思った……」


そして、星流の小説にはよくあることだが話が進まない(汗)

この78話でトモヒロ達も合流させるつもりだったんですけど……まだ名前しか出せてないですね。



今回初登場のデジモン

ブイモン