生まれ育った東京を離れ、書道教室には通えなくなったために、先生とは通信という形で学ばせていただきました。
それでも昭和を感じさせる、たたずまいの教室にふと帰りたくなり、ご指導を受けたこともありました。
久しぶりの教室では、黙々と書き続けるので、話すことが多いわけではないのですが、何も変わらないにおいと空間、年齢を重ねるごとに優しさが増す先生のおかげで、先が見えなくて迷っていた自分の心が少し楽になったことを憶えています。
「また、当分はお会い出来ないだろうな・・・」と思い、帰り際に「いつか、先生のような先生になりたいです」と伝えた時の、先生と奥様の微笑みは忘れられません。
それが先生との最期の会話になりました。
今月、来月は昇位試験期間なので、とにかく書く日々です。
いつかの約束が実現するその日まで、書の旅は続きます。