私が先生を殺した | kogumaのブログ

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高校の避難訓練。校庭に全校生徒が

集まり、校長の総評を聞いている。

誰かがつぶやく。

あそこに誰かいない?

みんなの視線が屋上に向けられる。

柵の外側に立つ人気のイケメン先生が、

飛び降りる瞬間を皆が目撃する事になる。


教室に戻ると、黒板に

「私が先生を殺した」

と書かれていた。

自殺ではなく、誰かが殺したというのか。






子どもの教育っていうのが、一番の

やるべき事なんだろうけど、思うように

そうさせてくれない状況がある。

授業が終われば、事務仕事、明日の

授業の準備、部活の顧問、生徒との

ちょっとした面談や他の先生との

連絡のやり取り、職員会議にセミナー

参加などなど…

学校の先生がいくら時間があっても

足りなくて、定額働かせ放題って

言われるのも頷ける。

そんな状況だから、最近は教師の絶対数が

どんどん減少してるという。

教育学部への志望者も減り続ける。

既存の先生も体調不良を訴え長期の病欠、

穴埋めをしょうにもなかなか決まらず

本来授業を行わない教頭も駆り出される。

そんな状況だろうが、生徒は待ってくれない。

きちんと授業を進めないと、子どもの学力は

どんどん低下していく。

先生だって1人の人間。スーパーマンじゃ

ないんだから。


そんな状況がこの小説からも痛いほど

伝わってくる。


イケメン先生の自殺を巡って、繋がりの

強かった生徒たちがそれぞれ一人称で

思いを綴っていく。

一体、誰が先生を自殺にまで追い込んで

しまったのか。逃げ場が無くなる状況に

追い詰めてしまったのか。



「正しい」ことを貫く、って相当な

覚悟がいること。優しい気持ちを

持っている人ほど、悪に対して踏み出せ

なくなる。

救いのない終わり方。


桜井美奈原作小説。