「祖国と青年」4月号、今月の主張 | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 「祖国と青年」4月号の巻頭言は、「憲法施行七十年、極東危機にいかに対処するか」と題して、別府正智さんが書かれていますので、以下、ご紹介します。

 


 エスカレートする北朝鮮の脅威

 

 北朝鮮は最近になって、立て続けにミサイル発射行為を繰り返し、その多くが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落とされている。昨年八月、北朝鮮のミサイルが秋田沖のEEZ内に落下、翌九月には北海道沖のEEZ内に三発が落下、今年三月六日にも秋田沖のEEZ内に三発が落ちている。こうした事態を受けて、政府は三月十七日、秋田県沖の領海内に弾道ミサイルが落ちることを想定した初の住民避難訓練を、同県男鹿市にて実施した。


 また、北朝鮮は昨年五度目の核実験を行い、核弾頭の標準化を公表している。今年二月に金正男氏が暗殺されたことも記憶に新しい。


 そのような中、三月に米国のティラーソン国務長官が日中韓の三カ国を訪問した。共通した最大のテーマは北朝鮮の核・ミサイル問題である。


 十六日、安倍首相、岸田外務大臣と会談したティラーソン長官は、「北朝鮮の非核化を実現しようとしたこの二十年間の外交努力や、その他の努力は失敗したと認識する」として、「脅威はエスカレートしている。異なるアプローチが必要なのは明らかだ」と述べた。これまでの米国の対北朝鮮外交を「失敗」と位置付け、今後の「方針転換」を示唆した。


 翌十七日、韓国との外相会談の発言は、「北朝鮮の軍事開発による危機が高まり、我々が必要だと判断した場合は、軍事行動を含めすべての選択肢がテーブルの上にある」と更に踏み込んだものであった。


 ティラーソン長官は、北の核やミサイル開発が今後も進めば、軍事行動も選択肢に入ると警告し、「戦略的忍耐」と呼ばれるこれまでの対北朝鮮の外交方針は終わったとも明言した。


 「戦略的忍耐」とは、北朝鮮が非核化に向けた行動をとらない限りアメリカは対話に応じない、として「北朝鮮の変化を待つ」オバマ前政権の外交方針である。このような米国の姿勢が、結果として北朝鮮の核・ミサイル開発を許してきたとも云える。トランプ大統領は同日、ツイッターで「北朝鮮は悪事を働いている。長年、アメリカを手玉にとってきた」と強い不快感を示した。


 翌十八日、長官は中国を訪問。王毅外相に対し、中国政府は北朝鮮に対して十分な制裁処置をとっておらず、「あらゆる手段を行使」すべきだと述べた。しかし中国は、北朝鮮を挑発しているのはアメリカの戦域高度防衛ミサイルTHAAD配備や米韓軍事演習等であるとするこれまでの主張を変えていない。

 

 対馬海峡・日本海へと広がる中国の脅威

 

 我が国の歴史を顧みれば、古くから朝鮮半島の動乱が日本の安全保障の危機を招いてきた。


 現在の韓国の政情不安は言うまでもない。二月号の巻頭言に記したように、朴政権打倒の背景には北朝鮮の工作があり、次の大統領選挙では反日反米の極左政権が生まれることになるだろう。そうなれば、沖縄と連携して反米反基地運動が激化する済州島の米軍基地を、中国軍が使用するようになるというシナリオも考えられる。


 また、中国による日本への侵略行為は尖閣諸島を含む南西諸島から、対馬海峡・日本海へと広がっている。日本海中央部に位置する大和堆には数百隻の中国漁船が確認されている。当初この海域には北朝鮮籍の漁船が違法操業していたが、中国船団を招き入れ、入漁料と水揚げの一部を取得しているとされる。水産資源が欲しい北朝鮮と海洋進出を進めたい中国との利害が一致したといえる。この中国漁船は海南島から来たもので、「漁民」は軍事訓練を受けている「海上民兵」として有名である。


 今年に入って、対馬海峡における中国軍の行動も活発化している。一月九日、中国軍用機八機が対馬海峡の上空を往復、翌十日には中国海軍のフリゲート艦二隻と補給艦一隻が通過した。


 政情不安定な朝鮮半島が、我が国を取り巻く安全保障の危機をより深刻化させている。トランプ政権に言われるまでもなく、日本は早急に朝鮮半島問題をめぐる安全保障上の危機に対処しなければならない。

 

 憲法改正し、独立自存の国民精神を

 

 極東危機に対処するにあたり、軍事費増強や防衛体制の整備は喫緊の課題である。そして、何より重要なのは一人一人の国民の国防意識である。刻一刻と変貌し危機を増す国際情勢に対して、国民の多くは無関心である。マスコミや為政者は、意図的とも思える程に緊迫化する国際情勢に言及しない。


 北朝鮮のミサイルが日本海に落ちようが、中国海軍が着々と尖閣諸島・対馬海峡に迫ろうが、マスコミや為政者は一向に静かである。一方で、軍事費増強や安保政策を審議するだけで「戦争になる」と騒ぎ立てている。


 このような精神は、戦日本国憲法の精神そのものではないか。日本が何もしない限り、放っておいても平和は維持され、国は続くという「幻想」が、戦後の国民精神を作り上げてしまった。憲法改正の運動は、かかる幻想を打ち破り、独立自存の国民精神を打ち立てることを目指すものである。


 来る五月三日、日本国憲法施行七十年を迎える。一字一句変えてこなかった憲法によって、日本はどのような姿になってしまったのか。今の我が国を取り巻く情勢が、そのことを問いかけている。一刻も早く憲法改正を成し遂げなければならない。