「祖国と青年」2月号、今月の主張 | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 「祖国と青年」2月号の巻頭言は、「韓国外相は慰安婦像設置団体を説得せよ」と題して、別府正智さんが書かれていますので、以下、ご紹介します。

 

 

慰安婦像設置の背後に蠢く親北勢力

 日韓関係が泥沼状態に陥っている。


 慰安婦像を巡る問題で、日本政府は一月十九日、韓国・釜山にある日本総領事館前の慰安婦像設置の対抗措置として、九日に一時帰国させた長嶺安政駐韓大使らを、慰安婦像撤去など韓国政府の動きがなければ帰任させない方針を確認した。


 日本側は、日韓合意に基づいて、既に十億円を拠出している。政府・与党内に早期帰任を求める声もあったが、安倍首相は「早く帰す必要はない」と強硬姿勢を堅持し、韓国側の日韓合意違反を印象づけ、韓国側に合意に基づく動きを突き付けている。


 しかし、韓国政府による慰安婦像撤去に向けた具体的な動きはない。逆に朴政権退陣後の次期大統領有力とされる野党候補は、合意破棄を公約に掲げている。地方議員では十六日、竹島に慰安婦像を年内設置するための募金活動を始めている有り様である。


 この問題は、反日外交カードにより経済援助を引き出してきたこれまでの外交問題のレベルで見るべきではない。昨年来の慰安婦問題を韓国内で扇動しているのは、過激な親北左派団体である。彼等は在韓米軍撤退、南北連邦統一等を主張して活動しているが、昨年からは朴政権退陣の大規模デモや集会を主導し、韓国世論左傾化を扇動している。


 韓国に過激な親北左派政権が誕生すれば、朝鮮半島全体が反日勢力の手に落ちることとなり、日本にとっては地政学上致命的な問題となる。核を持つ反日勢力が半島全体を支配するという、安全保障上の危機が近い将来生まれかねない。


 日本政府の大使と総領事の帰国、スワップ協議の中止措置は今後の日韓関係のために大切な決断だと考えるが、一方で「反日韓国などは破綻して潰れてしまえばよい」とする批判の類で片付けてはならない。


 東京基督教大学教授の西岡力氏によれば、釜山慰安婦像を設置したのは、釜山大学航空宇宙学科三年の馬ヒジン氏が代表を務める「未来世代が立てる少女像推進委員会」である。彼女は親北左派団体である「ウリギョレハナテギ(我が民族が一つになる)釜山運動本部」の学生部代表として活動しており、親北南北統一の運動をやった結果、慰安婦問題を知ったと語っている。


 そしてこの団体の背後で、北朝鮮と密接な関係を持っている「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」が関係していることは周知の事実だそうだ。ソウルの慰安婦像を設置したのも、この挺隊協である。挺対協の尹美香代表の夫や妹は北朝鮮スパイとして逮捕されており、挺隊協は慰安婦人権問題を楯に、日韓関係を悪化させる目的で活動している親北左派の団体である。ソウルや釜山の慰安婦像問題で日韓関係を悪化させ、親北勢力を増長させる政治工作を、挺対協をはじめとした親北左派勢力が主導しているのである。

韓国保守派との連携を

 では日本はどう対処すべきか。西岡氏は、日本の正しく健全な批判の下に、韓国保守派の意見を引き出すべきであると述べる。


 一昨年十二月の慰安婦合意で、尹炳世外相は「韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」と約束した。「相手国の公館の安寧と品位を守る責務」を規定したウィーン条約第二十二条に基づき、日本大使館等の公館の保護および妨害・侵害防止の為の「関連団体との協議を行う等を通じた努力」を約束したのである。


 しかし、韓国政府はソウル大使館前に慰安婦像を設置した挺対協との移転協議を一度も持っていない。釜山の慰安婦像を不法に設置した馬ヒジンらの団体も同様である。「関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」という約束を履行していない。韓国政府は、慰安婦像設置団体に対して、韓国は国際的に通じる当たり前の国になるためにウィーン条約を守る、すなわち慰安婦像を外交施設の周囲には立てないことを守る必要があると説得するべきである。ウィーン条約履行は日韓合意を結んだ朴大統領とはまったく関係ない外交問題である。そして少なくとも尹炳世外相が釜山に行って関係団体と協議するまでは大使らを帰任させるべきではない、と西岡氏は述べる。


 韓国内でも、徐々にではあるが、保守系新聞が、安倍批判をしながらも社説でウィーン条約を紹介して韓国側にも非があることを伝えはじめたという。民間保守団体も同様に「少女像をめぐる韓日関係悪化を憂慮する」との声明を出し、「政府は『慰安婦少女像』を撤去して韓米日同盟関係を修復しなければならない」と主張し始めた。


 顧みれば、慰安婦問題は朝日新聞の誤報に生れ、何ら調査も対策も講じない外務省の失策によって我が国の名誉と国益を著しく損なう国際問題として肥大化した。日本が自ら生みだした問題である。韓国は既に十年前から親北勢力との「内戦」状態にあり、その主戦場の一つは歴史観である。日本が毅然として主張することで韓国世論を健全に導き、相互批判の上に真の日韓友好関係を築く道筋を見据えなければならない。


 単なる韓国批判ではなく、韓国の保守派と連携する事が重要だ。その事は我が国の安全保障の上でも重大な問題であることを心して考えたい。