三島由紀夫の言葉 | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 明日は、三島由紀夫さんが昭和45年に憲法改正を訴えて市ヶ谷台で自決された日ですね。

 

 11月25日を前後して、全国各地で憂国忌や慰霊祭などが行われると思いますが、「祖国と青年」11月号で高校教諭の小森誠さんが三島由紀夫さんの10の言葉を紹介していますので、以下に掲げます。

 

【1 予言 ―日本がなくなって】
 私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行つたら「日本」がなくなつてしまふのではないかといふ感を日ましに深くする。日本はなくなつて、その代はりに、無機的な、からつぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであらう。それでもいいと思つてゐる人たちと、私は口をきく気にもなれなくなつてゐるのである。

〈初出〉果たし得てゐない約束 ―私の中の25年/サンケイ新聞〔昭和45年7月〕

 

【2 学生との対決 ―青年教師へのエール】
 私は、男子一度門を出ずれば七人の敵ありというんで、きょうは七人じゃきかないようで、大変な気概を持って参りました。
〈初刊〉『討論三島由紀夫VS東大全共闘―美と共同体と東大闘争』新潮社〔昭和44年7月〕

 

【3 青年論 ―青年の道義】
 ここまで青年を荒廃させたのは、大人の罪、大人の責任だ、といふのが、今通りのいい議論だが、私はさう考へない。青年の荒廃は青年自身の責任であつて、それを自らの責任として引き受ける青年の態度だけが、道義性の源泉になるのである。
〈初出〉現代青年論―掲げよ「高い道義性」/読売新聞〔昭和44年1月〕

 

【4 打算の全盛時代】
 「役に立つ」ことばかり考へてゐる人間は、卑しい人間ではないか。
〈初出〉巻頭言/『婦人公論』〔昭和35年1~12月〕

 

【5 本物に触れる】
 お酒の味を知るには最上の酒を飲むこと。絵に対してよい目利きになるためには、最上の絵を見ること。
〈初出〉文章読本/婦人公論付録〔昭和34年1月〕

 

【6 青年の声】
 明晰な言葉で明澄な日本語で、自分の手にしつかりつかんだ思想だけを語つてほしい。さういふ文章こそ、本当の「青年の声」なのである。
〈初出〉本当の青年の声を/日本学生新聞〔昭和42年2月〕

 

【7 愛読書『葉隠』】
 若い時代の心の伴侶としては、友だちと書物とがある。……中略……しかし、友だちと書物との一番の差は、友だち自身は変はるが書物自体は変はらないといふことである。それはたとへ本棚の一隅に見捨てられても、それ自身の生命と思想を埃だらけになつて、ぐわんこに守つゐる。われわれはそれに近づくか、遠ざかるか、自分の態度決定によつてその書物を変化させていくことができるだけである。
〈初出・初刊〉葉隠入門―武士道は生きてゐる/『葉隠入門』カッパ・ビブリア・光文社〔昭和42年9月〕

 

【8 言行 ―葉隠入門】
 ことばの端々にも、もし臆病に類する表現があれば、彼の心も臆病になり、人から臆病と見られることは、彼が臆病になることであり、そして、ほんの小さな言行の瑕瑾が、彼自身の思想を崩壊させてしまふことを警告してゐる。……中略……われわれは、もし自分の内心があると信ずるならば、その内心を守るために言行のはしばしにまで気をつけなければならない。それと同時に、言行のはしばしに気をつけることによつて、かつてなかつた内心の情熱、かつて自分に備はつてゐると思はれなかつた新しい内心の果実が、思ひがけず豊富に実つてくることもあるのである。
〈初出・初刊〉同前

 

【9 逆境 ―葉隠入門】
 これはじつに簡単なことだ。
「(略)不仕合せの時草臥るる者は、益に立たざるなり」(聞書第二)
人々は、けつしてしあはせのとき、くたびれない。
〈初出・初刊〉同前

 

【10 日本語を知っている最後の世代】
 日本語を知っている人間は、おれのゼネレーションでおしまいだろうと思うんです。日本の古典のことばが体に入っている人間というのは、もうこれからは出てこないでしょうね。
〈初出〉三島由紀夫対談 いまにわかります―死の一週間前に最後の言葉/図書新聞〔昭和45年12月〕