「祖国と青年」8月号、今月の主張 | 月刊誌『祖国と青年』応援ブログ

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青木聖子とその仲間たちが、『祖国と青年』や日本協議会・日本青年協議会の活動を紹介したり、日々考えたことを綴ったりします!
(日本協議会・日本青年協議会の公式見解ではありません。)

 「祖国と青年」8月号の巻頭言は、「参院選勝利、憲法改正の国会発議へ」と題して、別府正智さんが書かれていますので、以下、ご紹介します。




 衆参共に三分の二議席を獲得


 自民党をはじめ憲法改正を支持する勢力は、参議院で三分の二(百六十二議席)以上を確保した。これにより、衆参共に改憲派勢力が三分の二議席を有し、憲法改正の国会発議がいよいよ可能となった。


 安倍首相は七月十日夜、次のように語った。


「(憲法改正の国会発議に向けて)しっかりと橋はかかったんだろう。私の任期はあと二年だが、憲法改正は自民党としての目標だから落ち着いて取り組みたい」


 今回の選挙は、「改憲派」VS「改憲に反対する野党四党」の戦いであった。選挙戦で、自民党は憲法問題に触れることを避けたが、野党が三分の二阻止を掲げ、マスコミが連日取り上げたことで、最大の争点であったことは間違いない。


 安倍自民党は選挙後、参議院で単独過半数百二十二議席を確保するに至り、比例代表でも二千万票を獲得する大勝となった。独自の改憲草案を掲げた「おおさか維新の会」も大幅に議席を伸ばし、非改選と合わせて十二議席へと躍進した。


 公職選挙法改正に伴い、十八歳からの投票が行われたが、世代間の投票では若年層の多くが自民党を支持した。共同通信の出口調査によれば、十八歳から三十代までの若い世代の四〇%以上が自民党に投票している。


 自民党への投票=改憲派とは言えないが、少なくとも野党共闘の対案なき安保法制廃止、三分の二阻止には同調しなかった。朝日新聞の全国世論調査によれば、野党が敗北した理由の七割以上は「野党に魅力がなかったから」との回答であった。


 多くの国民は、日本が置かれている厳しい情勢を察し、我が国の将来について冷静に考えているのではないか。


 選挙結果を受けて、経済界の変化も見られ始めた。


「日本国憲法の制定から七十年が経過し、様々な変化がある中で、各界各層が時代に即した憲法のあり方について十分に議論を行なっていくことが求められる。衆参の憲法審査会において与野党での議論を始めていくとの安倍総理の考えを支持している」(経団連・榊原定征会長)


「衆参両院で改憲勢力が定数の三分の二を超えたことは、戦後政治の転換点である。…今回の参院選の結果、国民一人ひとりが憲法を考える契機となるよう期待したい」(経済同友会・小林喜光代表幹事)


 まさに参議院選挙を経て、我が国は憲法改正実現に向けた「戦後の転換点」にある。


 「戦後思想」の呪縛と共産党


 しかし、楽観はできない。


 統一候補を擁立した野党は、東北や甲信越の一人区において「半年前は到底戦えるところは無かった」(枝野幹事長)選挙区で議席を勝ち取り、民進党の枝野幹事長は「今後あらゆる場面で協力する」と、今後の連携強化を表明している。彼らは選挙だけでなく、当然、憲法改正の国民投票をも見据えている筈である。


 選挙中、共産党の藤野保史政策委員長(当時)がNHKの討論番組で、防衛費を「人を殺すための予算」と発言し、厳しく糾弾されたが、それでも共産党は比例票で前回選挙から八五万票を伸ばし六〇〇万票を得ている。


 自民党においても、今回の選挙で憲法改正や三分の二獲得への意欲を表明した候補者は決して多くはない。


 戦後において国防や憲法は論じられず、国家は不信と否定の対象であった。国家の実態は権力であり、国家は個人を抑圧する悪であるとして、忌み嫌われて来た。この考え方を流布してきたのがマルクス主義者ら共産党である。


 戦後七十年を経て、かかる「戦後思想」の呪縛を解くことができるかが、今私たちに問われている。


 国会発議に向け、活発な憲法論議を


 選挙を終えて、菅官房長官は「憲法審査会で議論し、深めて、方向性を一つにしていく」と述べ、既に国会発議を見据えている。


 一方、公明党は「与党だけで発議となれば国民分断の国民投票となり望ましくない。機は熟していない」(斉藤憲法調査会長代理)と消極的な姿勢を見せているが、おおさか維新の会は「僕等は、まじめに議論するために三分の二を目指していた。…(公明党には)議論に参加して頂かないと困る」(松井代表)と、公明党に憲法論議に加わるよう詰め寄る発言を見せている。


 これまで一切の議論を否定してきた民進党も、「九条改正は必要ないと明言しているが、それ以外は、なるほどと思えるものが出てくれば議論することはないわけではない」(岡田代表)と姿勢を改め始めた。


 衆参で改憲勢力三分の二を獲得した現在、国会発議に向けた憲法論議を活発化させることは、国会議員の義務である。私たち民間においても、憲法論議を大きく巻き起こし、国会発議の動きを後押ししていきたい。