日本の生活改善運動の中で行われていたことのひとつに「3つの改善」というものがあります。

これは、生活を改善できる活動を、「お金のかかる改善」、「お金のかからない改善」、そして「お金を生み出す改善」という「3つの改善」に分類し(勿論お金が必要で、かつお金を生み出す改善等もありますが)、それぞれ適切な計画を策定して実施していました。これは、どのタイプの改善が良い悪いではなく、色々なタイプの改善があること、また、お金をかけないでも出来ることもあることを知って、かつ実行することを意識したものだと思います。


さて、ホンジュラスでは様々なドナーやNGOも関係して自治体能力強化を支援しています。その一環としてコミュニティーの調査を行い、そしてその調査の結果を使ってコミュニティーで実施すべき事業、プロジェクトの数多くのリストアップが行われたりします。これは住民が主体となって行われることもあれば、NGOやコンサルタントが中心となって作成されることもあり、その作成方法は様々です。


が、実際に事業が実施されることは非常に少なく、リストアップされた事業の中で陽の目を見るのはごく一部です。

勿論リストの中では優先順位が高く、つまり必要性が高いものだと思いますが、それがひとつふたつ実施されるのみで、他の事業は何もされることなく忘れられることが殆どです。一度にたくさんの事業を実施することが出来ないのは仕方ないですが、その後もせっかく作ったリストや計画は使われることなく、気がつけば同じような調査を行い、似たような事業リストや計画を作ることの繰り返しです。

これは非常にもったいないことですよね。


現在実施中のプロジェクトでも自治体の能力強化の一環として、適切なコミュニティ調査、コミュニティー計画策定の支援等もしています。加えて、出来上がったプロジェクトリストを少しでも有効活用できるように「3つの改善」の考え方を取り入れtようとしています。出来上がったコミュニティー開発のプロジェクトリストを「3つの改善」で整理し、多くの予算が必要なもの、あまり予算をかけなくても実施できるものなどに分類し、その上で実施のためのカレンダーを作成して、すぐに出来るものや自分たちで出来るものをどんどん実行するための試みです。


そうすることで、これまでかなりの労力や資金を使って作成したものの、その成果の一部しか使われていなかったプロジェクトリストや開発計画が、もう少し有効的に、無駄にする部分を少なく活用されることに繋がると考えられています。これまで同じような調査や計画策定に振り回される割には、実行される事業が少なくて、具体的な成果や満足感の不足を感じていたコミュニティーや自治体からも、その打開策のひとつとして期待されています。


高砂 大 ( たかさご はじめ )

今回は感染症対策というお仕事でホンジュラスで活動をしている丸山加菜さんの活動の報告です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


私は、ホンジュラス西部の古都グラシアス市にあるNGO(ワールド・ビジョン)にて、感染症対策隊員として活動しています。グラシアスはホンジュラス最高峰のセラケ山の麓にあり緑豊かな歴史のある町です。しかし、近辺の集落では約37%の人々が1日1ドル以下で生活し、71%の人々が貧困層というホンジュラスの中でも貧困度の高い地域となっています。配属先の保健分野では、5歳以下の乳幼児を対象としたAIN-C(Atención Integral Niñez en la Comunidad)と言う“集落における乳幼児ケア”と公衆衛生に力を入れて活動をしています。


グラシアスから7kmほどに位置する集落Consonlacaは、人口約630人、126世帯、5歳以下の乳幼児79人の比較的町に近い集落ですが、電気が通っておらず、低栄養状態の乳幼児が多い地域です。私は、この村を中心に活動してきました。


ここでは母親グループの料理教室の活動を中心にお話しします。これまでもNGOスタッフによって、毎月の体重測定で低体重の子どもが多かった月に1~2週間連日で集まり、母親グループの料理教室が開催されることがありました。


しかし、母親グループの料理教室は、定期的・継続的に集まることに意味があると思うので、私の活動計画の中に定期的に村を訪問し、料理教室を開催することを組み込みました。母親グループの料理教室では、村の保健ボランティアが中心になりNGOスタッフから指導を受けたレシピ(おやつ)と、母親たちが野菜を一人一品持ち寄り集まった野菜を使ったスープを調理します。


母親が集まって料理教室を行うのは、①新しい調理方法を学ぶ、②一人では入手できない豊富な野菜が使え、栄養価の高い料理を子どもと母親が食べることができる、③栄養・保健に関する知識を習得する、④母親同士の関係が良くなり、情報交換や困ったときの助け合いができるようになる、などが目的です。


母親たちとの集会を始めるようになり、料理教室の際に栄養指導なども行いました。母親たちは、頷きながら話を聞いていましたが、食べ物の絵のステッカーを母親が栄養バランス表に張り付けていくアクティビティーを始めると、何人かの母親が逃げるように家の裏へ隠れて行ってしまいました。答えを間違えてしまうのと、みんなの前で発表するのが嫌だったようです。


料理教室に参加する母親の約半数は、自分のサインができません。小学校を最後まで卒業した人も少ないです。幼い頃にきちんとした教育を受けていないため、新しい物事に対して興味を持つことや、学習する習慣がないのだと感じました。彼女たちの様子を見て、母親への栄養・保健指導を実施する際には、小学校の子どもたちに授業をするように、知識を与えるだけではなく“学ぶ楽しさ”を教える必要があると思いました。お母さんも、今まさに母親の料理教室という“学校”に通って学んでいるところだと思いました。


NGOスタッフは、管轄地域が広いため直接的に村の母親に栄養・保健指導をすることは少ないです。

多くの講習会は、グラシアス市内に各村の保健ボランティアを集め開催されます。Consonlacaの保健ボランティアLさんは、“昔は栄養の悪い物ばかり食べて元気がなかったけど、今色んなことを学んで元気になって、仕事もいっぱいできる!NGOが教えてくれることは全部身につけたい!”と言います。彼女は約13年間、保健ボランティアの活動をしており、いつも笑顔で活発で協力的な人です。彼女はConsonlacaの宝だと思います。


これからも、彼女が村のお母さんたちの“先生”となり、自分の体験をもとに、“学ぶ楽しさ”をはじめ様々な事を教え続けて欲しいです。


丸山 加菜 ( まるやま かな )



生活改善研究会のブログ

       村での体重測定

生活改善研究会のブログ
     おやつの豆乳づくり

今回は、ホンジュラスの美味しいコーヒーの産地として有名な地域で活動中の縄田雄一さんの報告です。縄田さんは仲間や村人のペースを大事に、丁寧に活動を進めています。今回のお話は村でのゴミ拾いです。国や場所によってもゴミの種類も違うんでしょうねぇ。私も仲間と「渋谷駅早朝ゴミ拾い」をやったりするのですが、そこで一番多いゴミはタバコの吸殻ですね・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


活動を本格的に行うことになった対象の村で、生活改善のプレゼン(日本の戦後の経験)を行いました。そしてこの生活改善を真似てホンジュラスでも可能なことから少しずつ行おう!ということで村人と話し合って、第一回は村の清掃活動に決まりました。


この村ではゴミ収集などがされておらず、各家庭で各自ゴミを燃やして処理しているというのが現状です。また村の道はいたるところにゴミが落ちていて野良犬があさることやハエの増加が問題になってます。公共の場にゴミ箱が少なかったり、各人のゴミへの意識が低かったりと問題はたくさんありますが、今回は第一回目ということで、村人と一緒に練り歩きながら清掃活動を行いました。


私はNGOに配属されて働いているので、そのNGOの活動対象のグループとともに活動を行いました。皆意識が高く活動に積極的なので、とてもやりがいがあります。当日は開始時間ぴったりに掃除が始まりました。ホンジュラスでは考えられない・・・(感動)。


一緒に村を歩きながらゴミを拾ったのですが、大半はお菓子やアメの袋でした。こちらではスナック菓子の小袋が4円から20円くらいで売られていて、多くの子供たちが毎日のように食べています(学校内でも売られていて習慣化しています)。もちろん大人も食べます。しかし、売られている売店にはゴミ箱もなく、結局道に捨てています。ペットボトルの炭酸飲料も同様です。


2時間弱の清掃活動でしたが多くのゴミが集まりました。今回20名弱で一緒に清掃活動を行ったことで、道行く人も珍しそうに見ていました。「そんな人たちに間接的にゴミへの関心を煽れるかな?」とも思っていたのですがそれはなかなか難しそうです。村では学校でもゴミに関する教育はされていないようです。


清掃活動後、子供向けの手洗い習慣化のためのポスターを配布して家庭での手洗い教育をお願いしました。ある村人は「学校でこのポスターを使って手洗い教育をやりたい」と言ってくれました。今後はそのような活動も行っていこうと思います。


3つの村で清掃活動を行って感じたことは、「どの村にも意識の高い人はいる」ということです。

ゴミを問題と捉えていて改善が必要と思っている人がいます。

僕はそんな人達が実際に活動に移すための手助け、動機付け、スパイス的な役割ができたらと思っています。

まずは意識の高い人と一緒に、その後、村の多くの人を巻き込んで・・・、そんな感じに拡大できればと思っています。


ある村では、第一回の活動後、村人のみで自主的に清掃活動を再度行ったという話を聞きました。

このように継続していくことが何よりだと思います。

配属先の事務所から遠い村なので頻繁には行けませんが、今後も一緒に新たな活動を続けていこうと思います。


縄田 雄一 ( なわた ゆういち )


生活改善研究会のブログ-村での清掃活動











         清掃後の一枚