単記委譲式選挙制度の問題点を指摘し単記委譲式選挙制度を推薦する先生のインタビューが日経BPの記事「脱・亡国の政治」(第5回まで)にないのが残念です。
私の、衆参のねじれ問題のアプローチはすでに何回か述べたが主な点は下記を参照ください。

参議院と政党との関係について


衆議院選挙制度改革提案のまとめ


★どの選挙制度が良いかを考察する


記事の中で共鳴した点というか私の案を裏付ける場所や興味深い意見を中心にメモ代わりに抜粋する。

■第2回飯尾潤・政策研究大学院大学教授
選挙制度が諸悪の根源は間違い
私は、衆院は政権選択の場とし、参院は審議できる能力や経験がある人物を選択できる仕組みにすべきと考える。結論的には、衆院は現在の「小選挙区比例代表並立制」の根幹は維持すべきだろう。
政権選択の場とする以上、政党を中心に動くことが重要になるが、単純比例にすると、有権者は人物を選んで投票できなくなる。
政治家を育てていくには、小選挙区があったほうがいいと思う。そうなると、今の制度からはあまり変えられない。
しかも、きちんとした政権を作るには、衆院は選挙での勝ち負けがはっきりしたほうがいい。民主党の失敗は、連立を組み、少数政党に振り回されていることだ。

衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」において、参院が強すぎることが問題の本質だ。

野党に転落した自民党は、本来は自分たちがまた政権に戻った際に同じ構図に困らないように参院改革の提案をしていくべきなのに、ひたすら政権の足を引っ張ってばかり。
どうせ、今年の通常国会では赤字国債発行法案を人質にして野田内閣を追い込もうとするのだろうが、仮に政権を奪還しても、その後、今度は民主党側からしっぺ返しをされることは目に見えている。こうした衆参関係の整理に手を付けない限り、政治の混乱は続きかねない。

■第1回 北岡伸一・東京大学教授
民主党、自民党の2大政党間の政策も似たり寄ったり。

参議院の問題だ。日本は世界の議員内閣制の国々の中で、恐らく上院(参院)の権限がもっとも強い国だ。
消費増税については、自民党は参院選のマニフェスト(政権公約)で10%程度への引き上げを掲げていた。それなのに、民主党はマニフェストで示していなかったと手続き論で批判している。 一理あるといえるが、間違ったマニフェストにいつまでもこだわれ、といっているに等しい。

■第4回 野中尚人・学習院大学教授
(民主党の)政治や政策を変えるためのデザイン設計が不十分だったのは間違いない。統治機構の問題は改善せず、マニフェスト(政権公約)も中途半端だ。

こうした問題に加え、衆参の役割分担の整理や、参院の権限をどう縮小していくかなど、手を付けてこなかった本質的な課題についても今度こそ取り組まないと、今の膠着した政治情勢は変わらないだろう。
90年代の「政治改革」は、衆院の選挙制度改革などに対象が限定され、「強すぎる参院」問題などの見直しは見送られてきた。
衆院については、政権選択を国民がする観点からも、現状からあまり変えない方がいいだろう。

参院改革を掲げる「参院改革党」を作り、参院での議席確保を目指すアイディアはどうだろうか。2回の選挙を経て、例えば20議席も獲得できれば、参院の中でキャスチングボードを握れるかもしれない。そうすれば、参院内部から改革を進める機運も高まるだろう。今の膠着した政治状況では、ユーロ危機や北朝鮮問題といった危機時に迅速に対応するのが難しい。これは経済界にとっても悩ましい状況なのだから、経済界がバックアップする価値はあるのではないか。

日本政治の大きな問題は、政治家一人ひとりでは理解していることも、集合体、あるいは機関として意思決定するための制度とメカニズムがないことだ。政党のガバナンス不足も含め、「決められない政治」に早く終止符を打つための取り組みを急ぐべきだ。

■第5回 増田寛也・元総務相
いいかげんなマニフェスト(政権公約)なるものしか作れず、組織運営も人材育成も落第点という日本の政党のいいかげんさだ。
衆参の多数派が異なる「ねじれ国会」の打開に向け、ほぼ衆院と同等の強い権限を持つ参院を変えていくことだ。