202X年、全世界で、新たなワクチンの接種の義務化が開始された。
いくつかの国で、ワクチン接種に対する反対運動が起こった。
しかし反対運動の主要なメンバーたちは、次から次に、重い疾病を患い死んでいった。
そして再び発生したウィルスによるパンデミックのせいもあり、反対運動は、鎮静化していった。
そのワクチンは、「ドリーム・デヴァイス」、略してDDと呼ばれた。
ワクチンにはマイクロチップが入っていた。
そのチップには、個人情報が全て紐付けされている。
人々はもはや、お金を持つ必要もクレジットカードを持つ必要もなくなった。
身一つで、全ての手続きができるようになったのだ。
個人の情報は全てAIに集められ、統合された。
AIはあらゆる人間を監視することができるようになった。
もしある個人が反社会的な行動を取る、あるいは体制に対し批判すれば、即座にAIが知ることになる。
するとチップは、特定の周波数を持った電磁波をダイレクトに受け取り、その人間の任意の臓器、血液、体液に反応が起こる仕組みになっていた。
時経ずしてその人間は病気になり、最悪、死に至る。
町中にセンサーが仕掛けられてあり、ワクチンを受けていない人間、あるいは故意にチップを取り外した人間は、簡単に検出できた。
そのような人間は、連行され、強制的にワクチンを打たれた。だが、それが済めば、すぐに解放された。
たとえ、犯罪を犯しても逮捕はされない。
犯罪もマイクロチップが入っていれば、すぐに感知された。
チップはGPSの機能も持っていた。
犯罪が起こった場所が特定されれば、あらゆる場所に置かれた超小型の監視カメラによってAIは、犯人を特定することができた。
その後、チップに電磁波の信号が送られるだけ。
犯罪者は心臓麻痺を起こして即死する。
一般人の女性は、もはや誰も妊娠しなかった。
これもマイクロチップに送られる電磁波の影響だった。
感染症以外の原因で、突然死する人々も増えていった。
その原因が特定されることもなく、報道もされなかった。
人口はどんどん減っていった。
Aiが生き残るべき人間を選んでいったのだ。
最初のワクチンの摂取から10年が経過し、世界の人口は5億人ほどになっていた。
自然は蘇り、戦争もなく、世界は平和だった。