【真田丸 インタビュー】 ~「真田信繁」役の「堺 雅人さん」にインタビュー~ | 歴史ブログ

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【真田丸 インタビュー】
~「真田信繁」役の「堺 雅人」さんに
     インタビュー~

[堺 雅人さん 談]
「ムキムキじゃないです。
 筋トレせずに撮影に臨んでいます」







大河ドラマ「真田丸」の主人公、
真田信繁を演じる堺 雅人さん。

信繁は
信濃の小国を治める父・昌幸のもとに
生まれ、
長い雌伏の時を経て、
人生の最後にその武名を轟かせ、
“真田幸村”として
後世にその名を残した。

劣勢に立たされながら、
「大坂夏ノ陣」で
徳川家康を、あと一歩のところまで
追い込んだ智将、
信繁の宿命と
心に秘めた熱い思いを
堺 雅人さんが語る。






[記者]
今回の大河ドラマの
主役を引き受けた理由は?

[堺さん]
三谷(幸喜)さんの作品を
1年間・50本演じられるというのは
役者にとり凄く魅力なんです。
それが理由です。





[記者]
信繁の人物像は?

[堺さん]
兄の信幸が信繁を評して
「ものごと柔和忍辱(ニンニク)にして
強からず」
と言っています。

つまり感情を表に出さない。
ほんわかとしていて
一見捉えどころがなく、
口数も少ないが、
心に秘めた何かがあると。

今回の大河では、それにプラスして
近代の幕開けに相応しい
旺盛な好奇心を持った人物として
描かれています。






[記者]
大泉洋さん演じる信幸は如何ですか。

[堺さん]
洋さんは
普段コメディータッチのお芝居が
多いのですが、
今回は今まで見た事がない感じです。

真っ直ぐで、不器用で、
でも誠実一辺倒で攻めてくる
大泉洋堺というのは、
実に魅力的です。






[記者]
それを、どう受けますか。

[堺さん]
信繁は裏方に回ることが多い人物。
なんか忍者っぽい(笑)。

だから私も
一応、主役ではあるのですが、
常に2番手、3番手のような気分で
撮影現場にいます。

真っ直ぐな兄を
支える信繁でありたいと思います。





[記者]
信繁と堺さんは、似ていますか。

[堺さん]
テレビゲームの影響で、
筋肉ムキムキの裸に鎧を着て
槍をブンブン振り回すという
真田幸村 像が
世間的には印象が強い(笑)。

今回の信繁は
そのイメージよりは
僕自身に近いと思います。

でも信繁の面白さは
49年の人生のうち
47年間は裏方だったのに、
最後の最後で恐ろしいばかりの
武者になるという、その変わり目。

普通のサラリーマンの様な人間が
何故、「日の本一のつわもの」
と言われるまでになったのか、
その秘密を三谷さんは
1年懸けて描くのだと思います。





[記者]
堺さん ご自身は、裏方タイプですか。

[堺さん]
いや、
僕は実務の能力が全くありません。

でも、
三谷作品に登場する裏方さんや、
日の当たらないところにいる
人たちは、
いつも生き生きとしているので、
そんな三谷さんが描く
戦国の実務方としての信繁を
凄く楽しみにしています。





[記者]
女性陣も個性的な人が揃って
いますね。

[堺さん]
草笛光子さんが演じる祖母は
本当に凛々しくて、
歴戦を潜り抜けてきた女性。

高畑淳子さんが演じる母は、
都(ミヤコ)の出身で
真田家の暮らしに馴染めない
悲しさを持っていますが、
生き生きとした女性像を
作っていらっしゃいます。

姉役の木村佳乃さんが持つ
天性の明るさが、
裏切りとか血生臭いものに
なりがちな物語に
光や華を注いでくださっていますね。

信繁の生涯のパートナーとなる、
キリを演じる長澤まさみさんは
計り知れないようなスケールの
大きな女優さん。

物語を掻き乱す役ですが、
魅力的で素晴らしい演技をされます。

黒木華さんは時代劇が似合うし、
手堅いお芝居と技術は凄いですね。





[記者]
1年懸けて
同じ人物を演じる事に対して
役者としての意気込みを。

[堺さん]
第1話の撮影で、
未来を予感するシーンとして、
死ぬ前の鎧を着た信繁を演じましたが、
それと最終話を比べて
「全然違うね」というふうに
なりたいんです。

1年懸けて作る顔って
全然違ってくると思うので、
その違いを、むしろ楽しみたいです。





[記者]
どんなふうに面白くしていこうと
思っていますか。

[堺さん]
「生き生きと」というのは
ひとつのキーワードになります。

つい先回りして
史実で考えてしまうと、
教科書をなぞる様な展開に
なりがちです。

そうすると勝者は
最初から勝者のような顔をして、
敗者は最初から敗者のような顔をして
演技をしがちになります。

「一寸先は闇で、何があるか分からない」
という闇を、

三谷さんは、
しっかり描かれると思うので、
分かったふりをせず
生き生きと演じようと思っています。





[記者]
三谷脚本への出演は
「新選組」以来、2回目ですね。

[堺さん]
その間に舞台
(2007年上演の「恐れを知らぬ川上音二郎一座」)
をやっています。
不思議な事に
みんな個人名ではなく
グループ名がタイトル。

「真田丸」も、砦の名称でもあるし、
舟に見立てた家族の話でもあります。

「新選組」は
多摩の一道場の若者たちが
思いも寄らなかった所へ行くところに
面白さがありましたが、
三谷脚本は、
個人を越えたコントロール出来ない
大きなうねりの中で、
予想もしない方向に
物事が動いていくところが
面白いんです。





[記者]
鎧の着け具合は、如何でしたか。

[堺さん]
重いんです。

実は戦国時代も
戦の直前まで鎧は着ていなかった
らしくて、
何とか その史実を持ち込めないかと
思っています(笑)。

でも美術部の人が
目をキラキラさせながら
信繁用に鎧を新調してくださって、
大喜びで「良いのができました」って
言うのを見ていると
「重い」とは言えませんでした(笑)。





[記者]
最後の大坂城の時には
ゲームの真田幸村の様に
ムキムキの体に鎧というのは?

[堺さん]
いやぁ、無理です。

ムキムキよりは、
サラリーマン(の様な普通の人)が
突進していく方が
悲しさが出るんじゃないかな。

だから今回は
筋トレをせずに撮影に臨んでいます(笑)。





[記者]
信繁は徳川史観から見ると
敗者ですが、
堺さんは信繁を敗者だと思いますか。

[堺さん]
結果的には敗者ですよね。

ただ面白いのは、「新選組」は
徳川の終わりの敗者を描いている。

今回は豊臣の終わりの敗者を
描いているんです。

三谷さんは映画『清須会議』で
織田の終わりを描いている。

三つの終わりを
描いているというのが、
凄く面白いと思っています。

特に信繁が生きた時代は、
徳川という
全国が一つの価値観に
染められる以前の最後の時代。

信繁の死というのは
その多様性の死の様な気がします。

右肩上がりの成長を続ける
大名だけじゃなくて、
何かの終わり、
一つの価値観の終わりを
丁寧に描く大河があってもいいと
思います。

誤魔化さずに、
負けた方を描く事が必要な時代に
なっているのではないかと、
個人的に思っています。