昨日に引き続き、今日もマグロマーケットの話
現在、赤身マグロの相場が高騰しているのは昨日お伝えした通り
一方、クロマグロやミナミマグロなど良質なトロが取れるマグロを我々の業界では脂モノといいます
この脂モノのマグロの相場が近年下落傾向を示しています
クロマグロで以下の記事が出ていたのでご紹介
「クロマグロ在庫増加、深刻な様相との見方も 3月末も前月比・前年比・平年比トリプル増」
バチをはじめ減少が目立つマグロ類在庫のなかで、クロマグロ在庫は突出した増加となっている。水産庁の冷蔵水産物流通統計による3月末の全国冷蔵庫の在庫量は、前月比123%、前年比130%、平年(平成24年~28年の5年間の平均値)比188%とずらりと増加をあらわす数字が並んでいる。同じように増加が続いていたミナミマグロ在庫が3月末には前月比マイナスとなり、増加の峠を越えた感もあるのに対してクロマグロは、いまだにどこまで増加が続くか予想もできず、より深刻な状況で推移している。(日刊かつおまぐろ通信記事抜粋)
これがデータをもとに表にした数字
ちなみにこの数字は太平洋クロマグロ・大西洋クロマグロの合算です
これを見ると昨年あたりからクロマグロの在庫が高い水準で積みあがっているのが分かります
在庫が積みあがっている原因
キーワードは天然資源の回復・養殖の過剰生産・景気の低迷です
少し前まで大西洋クロマグロは過剰漁獲によってその数を大きく減らしました
そこで日本をはじめ、各国が厳しい資源管理を実行
おかげで最近は徐々に資源が回復し、漁獲可能枠(TAC)が増える段階に至りました
これはミナミマグロも同様です
一方、国内では一時減った大西洋クロマグロやミナミマグロのマーケットを埋めるように太平洋クロマグロの蓄養が台頭
ご当地マグロもブームも手伝って、養殖業者と各自治体が手を組み、次々大手が参入しました
しかし蓄養とは天然の太平洋クロマグロの稚魚をいけすで太らせて出荷する方法
つまりは元を正せば天然のマグロです
この蓄養の台頭で今度は太平洋クロマグ資源が危機的状況に陥りました
そこで誕生したのが近畿大学の完全養殖マグロ
天然の稚魚に頼らないこの養殖マグロは多くのメディアで取り上げられ、広くPRされました
最近では商業ベースに乗るようになり、天然の稚魚と同じ量の養殖稚魚がいけすで育てられることに
結果、大西洋の天然資源の回復、太平洋の天然稚魚の過剰漁獲、完全養殖マグロの商業化という事態が重なり、供給量は大幅に伸びることとなります
一方、消費する側は景気の低迷から抜け出せず、節約ムードが蔓延
高級商材のクロマグロの売れ行きは今ひとつな状況
これがクロマグロの在庫量を加速させている原因と言われています
在庫が回らないせいで供給過剰気味となり値段が低迷
在庫が足りない赤身マグロとは真逆の様相を示しています
この一連の魚価低迷は厳格な資源管理をやっと耐え抜いてきた我々生産者には大きな痛手です
まあ裏を返せばトロ商材のマグロが赤身よりちょっと高いくらいの値段で楽しめるので、消費者側からしたら悪いことばかりではありません
これを機会に消費が大きく伸びてくれることを期待します
できれば資源が危うい太平洋クロマグロではなく、資源が安定している大西洋クロマグロやミナミマグロを食べることをお薦めします
現在、国内の養殖マグロのいけすには大量の稚魚がいるらしく、国産養殖クロマグロの生産は2年後にピークを迎えるのだとか
これからマーケットがどう動くのか注意深く見守りたいと思います
●浜田漁業部HPはこちら⇒ http://hamada-gyogyoubu.co.jp/
●乗組員の募集はこちら⇒ http://www.maguro-boshu.com/
●マグロ操業動画はこちら⇒ https://www.youtube.com/watch?v=RfSKGTxpIfQ