「身内でもどうかと思うのに
知人や友人に金を借りようと
考えるヤツ、信じられないね」
...そう語るのは潔癖な友人。
他人に貸し借りをつくるのを
異常なほど嫌っている彼。
数百円程度の貸し借りや
奢りなども徹底して忌避する。
「そもそもさ、必要ないだろ?
金がないなら買わなければいい。
我慢すればいいだけじゃん。
ローンとかも同じだよ。
借金だよ、借金。
家とかはさすがにムリだとしても
クルマくらい貯金して買えばいい。
家以外に借金する必要性、
一切ないね!」
...どうやら職場の同僚から
借金の依頼があったようで。
「...事情?
貸す気が無いから聞かなかったよ。
変に期待持たせても可哀想じゃん。
どんな事情でも一切貸す気ないから。
50万だって。
そのくらいの蓄えすらないとか。
そんなヤツ、絶対返済もムリだろ」
...う~ん、それには同意しかねる。
貸す貸さないは個人の自由だし
そこは別に異論ないが
経済事情は個々人、家庭ごとに
いろいろあると思う。
「え?じゃオマエなら貸す?」
...事情によるかなぁ。
あと関係性にもね。
さすがに50万となると
「返ってこなくてもいいや」
ってワケにもいかんから。
でもオマエが言うように
「50万程度の蓄えがない」
=「一切信用できない」
ということでは、ないんじゃないか?
彼の主張は当たり前に正しい。
正しすぎるほど、というべきか。
しかしその主義からわかる通り
借金を踏み倒された経験などはない。
...一切貸さない男、だから。
とすると、それは経験則ではなく
机上の空論的な装いを帯びてくる。
貸す貸さないは彼の自由だが
信用度や人間性にまで言及するのは
ちょっと違うんじゃないだろうか、と。
「貸したり」はおろか「借りたり」までも
経験してきた身とすれば
...耳が痛いなぁ、と思うと同時に
人生ままならぬ時があるものよ、と。
「50万程度って言えちゃうの、凄いよね」
...そうねぇ、たしかに。
貯蓄が趣味みたいな男だから。
「もしワタシが貸してって言ったら?」
...家庭内で貸し借りもないでしょ。
それに拒否権、ないんだろうし。
...ん?マジなの?50万??
「冗談よ、冗談。
でも実家の母の病気とかもあるし。
そういう不幸は不意に訪れるから。
お友達はそういうことがなかったの?」
...どうだろう、か。
でもそういうのまで「貸し借り」には
さすがに含めないと思うけど。
ちょっと潔癖というだけで...ね。
みどり塾でした。
おはようございます。