ぶどう畑のひとり言
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ワイン先行発売のお知らせ

北海道の長い冬もいよいよ終わりに向かいつつあります。

 

明日は春分の日。

その日を境に昼夜の長さが逆転し、植物も成長の季節に入っていきます。

 

ここ数年、毎年この区切りの日を目安に新しいワインの発売をしてきました。

今年は残念ながら間に合いません。

自然の産物でもあるワインは、人の都合の良いようにはならないものです。

 

少し遅れはしましたが、少しずつ準備が整ってきましたのでワインの先行発売のお知らせです。

詳しくはHPをご覧ください。

 

http://www10.plala.or.jp/kondo-vineyard/

 

相変わらず本数がそれほど無いためご迷惑をおかけします。

日々の反省を肝に銘じて、今年も畑に向かいたいと思います。

 

 

ワインの発売予定

なかなか情報を更新できず申し訳ありません。

もう3月ですね。

少しずつ陽も高くなってきました。

 

いろいろと書きたいことがあるものの、たぶんこの1年の出来事は自分の中でうまく呑み込めてないというか、まだもう少しの咀嚼が必要です。消化をするには数年が必要かもしれません。

 

ごくごく簡単にこの1年をまとめると…

 

1.とんでもない不作

2.ワイン発祥の地・ジョージア(旧グルジア)探訪

3.ワイナリー設立に向けて

 

こんな感じです。

それぞれのテーマを表現するには数ページが必要になります。

 

そんな中でも、1は事実としてお伝えしなければならないので少しだけ…

 

少雪による凍害、6月の低温と雨、そして8月の台風崩れから来る莫大な雨量の3本柱で、そろそろ軌道に乗り始めるかなという儚い思いは、いとも簡単に蹴散らされました。まだまだやることがあるぞと、この程度で流れに乗るなどと思いあがるなと、そんな叱咤を受けたと感じています。

 

いずれにせよ、収穫量は2015年の約半分になりました。

品種によりばらつきはありますが、まぎれもない事実です。

この現実をしっかり受け止めて次に進まなくてはなりません。

 

2は、おいおい伝えていきたいと思います。

おそらくこのテーマは一生をかけて追及しなければなりません。

今の私にはまだ何かを語る資格がありません。

ただ少なくとも、人生観が変わる経験を、そのジョージアでしてきました。

 

3は、実際には一番興味のあるところだと思います。

この2017年秋に向けて、ワイナリーの開設準備を進めています。

私個人ではなく、私の先輩でもあり仲間でもあるナカザワヴィンヤードの中澤さん、それに私の弟の3軒の農家で、共同醸造所を設立する予定です。

 

今、この仕事に四苦八苦をしています。

あと少しで落ち着くのでもう少しお待ちください。

 

さて、以下が本題です。

そろそろワインの発売に対するお問い合わせが多くなってきたので、今後の予定になります。

 

ここ数年、この3月下旬に新しいワインの発売をしてきましたが、今年は少し仕上がりが遅く、今のところ4月上旬以降にずれ込む見通しです。

 

○KONKON 2015 

○タプ・コプ ピノ・ノワール 2015

○ナカイ・ミュラワ 2016

 

以上の3アイテムは瓶詰めが終わり、あとはラベルを貼り付けるばかりです。

この2~3週間でその作業が終わる予定です。

 

○タプ・コプ ブラン 2015

 

残念ながら今回のリリースには間に合いません。

発酵が長引き、もう少し熟成が必要です。

発売時期がいつになるか…現時点では全くの未定です。

 

相変わらずそれぞれの本数が少ないため、今回も限定的な販売方法になる見込みです。

2015年は収穫量が少し増えたものの、2016年のミュラワは過去にないほどの不作で本数が大幅に減っています。本当に申し訳ありません。

 

基本的には店頭販売がメインになります。

酒販店さんでの取り扱いもありますが、ごくわずかになります。

 

店頭販売に関しては、このブログかHPで発売日を告知する予定です。

今のところ、告知は3月中旬予定、発売日は4月上旬以降です。

 

雪が少なかった今年の冬、ぶどうが凍害に合っていないかとても心配です。

この土地でぶどうを育て始めて今年でちょうど10年目。

まだまだ馴染むには時間がかかりそうです。

 

 

 

 

瓶詰めをしながら

先週、2014ヴィンテージのワインの瓶詰めが全て終わりました。


いつもの年よりも少し仕上がりに時間がかかりました。

最後まではらはらしつつも、まあこんな年もあるんだろうとホッとした気持ちがやはり大きいです。


瓶詰め作業をしながらふと思うこと。


1年間の畑仕事の結果がこの液体の中にあるのかぁ、それにしては本数少ないなぁという思いの一方、バルクや輸入果汁で造ったワインを詰めるときにはこんな感情は湧いてこないんだな、きっと、などなど。


以上、どうでもよい雑感でした。





豪雪と少雪と

2016年、新しい年が始まりました。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。


2007年の畑の開墾から起算すると、今年は節目の10年目に当たるのだなあと、時の流れの速さに愕然とする思いです。


依然としてまだワインの生産量は当初描いていた青写真のとおりとはならず、毎年新たな課題を見つけてはその壁にもがくような、そんな10年だったかもしれません。


ただ、その分少しずつでも前進しているのは確かです。

昨年までの反省を生かし、今年も初心を忘れず畑に出たいなと気持ちを新たにしているところです。


そんな2016年の幕開けは、2つの畑で極端な様相の違いを見せています。


豪雪と少雪、タプ・コプとモセウシではこの時期、2つの全く違う悩みを抱えています。





1月13日、栗沢町モセウシの畑。


昨年12月の暖冬傾向から一転、明けて1月からはいつものように厳しい寒さに見舞われています。


寒冷地・北海道でのぶどう栽培のリスクは第一にこの点にあり、厳寒期に入る前までに樹体が雪に埋没していなければ凍害の危険性が増すということが定説になっているため、写真の状況は夜も寝られないほどの心配のタネになっています。





一方、直線距離にして20kmほど北にある三笠市タプ・コプの1月17日の様子。

180cmの高さにある針金が埋没しかかっています。


4年前、2012年の豪雪時には、この状況から一気の積雪でなすすべもなく柱の倒壊を招いてしまいました。


人は痛い目を見るたびに学習をする生き物で、その後3年間はそのリスクを見越して最初からこれらの針金は積雪の前に地面に降ろしていたのですが、人は同時に忘れやすいというか、「忘れたことにしたい」悲しい性を持った生き物でもあり、「3年間大丈夫だったから今年も大丈夫かも」などと考えつつ、春の作業の簡便さを理由に針金を以前のように上げていたのでした。


とはいえ、リスクを抱えた上でのリトライではあったので、何とかこの時点で判断をしなおし、昨日スノーシューで汗だくのラッセルをしながら全ての針金を外して回りました。


天気予報は明日から大荒れの見込みとのこと。

間一髪で何とか救出できたので、ここは学習の成果ということにしておきましょう。


それにしてもむしろ心配は栗沢モセウシ農場の方で。


明日は被害を最小限に留めつつ、適度に荒れることを密かに祈っています。








収穫と仕込みを終えて(前半戦)

11月23日、いよいよ冬がやってきました。


今年初めての雪景色です。





日中は今のところプラス気温を保っているので、雪の高さは少しずつ減ってはいるものの、最高気温が0℃を越えない「真冬日」がやってくる前になんとか仕事を片付けたい…。今はそんな追われた心境でいます。


遅まきながら2015年の収穫と仕込みが、10月26日のレンベルガーを最後に終わりました。


毎年全てが丸く収まる収穫時期など無いことは最初から覚悟しているつもりですが、今年はいつにも増して判断の難しい、ドラマティックなヴィンテージになったような気がしています。


今年ももちろん同じ栗沢町内にある10Rワイナリーで仕込みをさせていただいています。北海道の各地から私のような委託醸造の生産者が集い、仕込みの時期は喧騒のただ中にありながらもそれぞれの近況や考えを持ち込むちょっとしたサロンのような雰囲気です。



2015年はシーズンを通して比較的雨量の多い年になりました。



特に、そのヴィンテージの行方をめる9月下旬から10月中旬にかけてはぐずついた日が多く、1時間ごとに天気予報を見てはため息をつく…。そんな毎日でした。


9月30日 晴れ時々曇り

スパークリング用ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ収穫

モセウシ農場、タプ・コプ農場



ある程度酸が残る9月中に、それぞれのぶどうの区画を歩き、房を選びながらの収穫です。写真は、3品種をまとめてプレス機にかけた後のもの。シャルドネの層が良いアクセントになっています。



②10月1日 曇り

ミュラワ用オーセロワ収穫

モセウシ農場




余市町の中井農園さんのミュラー・トゥルガウに合わせ、モセウシのオーセロワを収穫して同時に仕込みます。この時期はまだ病果も少なく、ほぼ健全な状態で収穫を終えることができました。



③10月10、11、12日 

ピノ・ノワール 灰カビロットをピンセット収穫

モセウシ農場、タプ・コプ農場


その雲行きが怪しくなってきたのは、10月も1週間を過ぎたころ。雨の合間で息を潜めていた灰カビたちが、時を待っていたように一気にピノ・ノワールを襲い始めます。



赤く見えるものはアウト。

しぼんで見えるのは予備軍。


いずれにしても、ピノ・ノワールで赤ワインを目指そうとすれば、いわゆる「選果」という作業を経なければ完全なものにはなりません。


2014年までは、これらの粒は収穫の2~3週間前から膨大な時間を費やして畑で選果をし、そのまま廃棄していました。


しかし今年の状態は、ピノ全体の半分ぐらいが灰カビに見えてしまうという今までに経験のないような雰囲気で、これらを全て棄てるのは精神的にも経済的にもとても辛いことのように思えました。


そこで、今年は思い切った判断をすることになります。


私の大先輩でもあり仲間でもある余市町の造り手の方が、2013年の灰カビ禍の際にそれらのぶどうで「白ワイン」を造った伝説の手法を取り入れ、一部の区画はピンセットで灰カビの粒のみを収穫することにしました。






その粒選りのぶどうを小さなプレス機で搾汁します。

見ての通りの単純な力作業なので、高校生になった長男に手伝いを頼みました。





取れた果汁が非常に少ないため、結局その後収穫する混植混醸のワイン「KONKON」のブレンド用として使うことになりました。灰カビ(別名ボトリチス菌)がついたぶどうの果汁は蜂蜜やカリンのような独特な口当たりで、もしかすると2015のKONKONにはそのニュアンスがやや感じられるかもしれません。


ここまでが収穫の前半戦です。


どんな年でもこの収穫時期には、高揚感やわくわく感と同時に、緊張感や不安がない交ぜになった独特の雰囲気があるものです。


ただ正直なところ今年に関しては、「早く取って楽になりたい」という気持ちが優勢になることもしばしばで、後半の1週間は灰カビよりもその見えない力との戦いの毎日だったかもしれません。


続きはまたのちほど。


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