瀬口利幸(せぐちとしゆき)の思考日記A -11ページ目

日焼け止め

 

 

昨日、日焼け止めを買ったら、日食になった。

化粧

 

 

ちょっと変わった友人は、めちゃめちゃ化粧が濃い女性を見ると、
「化粧品売り場にヘッドスライディングしたんですか ?」
と尋ねる。

 

 

 

靴を土に埋めたら、ロングブーツが生えてきた。

 

宇多田ヒカルさんの「Automatic」

 

 

宇多田ヒカルさんの「Automatic」の歌詞の「イッツ オートマティック」という部分が、「五男(いつお)と街に行く」と聞こえる。

 

実印バトンリレー

 

 

「本当に面白いのかよ」
「まあまあ、見てろって」
日曜日、僕は、友人の上山と一緒に、上山の母校の高校に運動会を見に来ていた。
とにかく面白いから見に行こうと、強引に誘われて来たのだが・・・。
半信半疑でグランドを眺めていると、間も無く、
「只今より、実印バトンリレーを始めます !」
というアナウンスが流れた。
「実印バトンリレー !?」
僕は、驚いて上山を見た。
「どういうことだよ ?」
「その名の通り、抽選で選ばれた生徒の家の実印を、バトンの代わりにしてリレーするんだよ」
「実印を !?」
「ああ」
「何の為に ?」
「その方が、緊張感があるだろ。実印の大切さも再認識できるし」
「そんな事しなくても分かってるだろ」
そんな会話をしているうちに、
「位置に付いて、ヨーイ・・・」
パン !!
リレーがスタートした。
最初の内は普通にリレーが行われていたが・・・
やがて、バトンの実印を受け取った一人の生徒が、コースを外れ逃亡した。
「待て !! コラ !!」
それを、実印の持ち主であろう生徒が追い駆けて行く。
逃げた生徒は、グランドの外で待ち受けていた母親らしき女に実印を渡す。
母親らしき女は、駐車場まで走って行き、車に乗って待機していた父親らしき男に実印を渡した。
そして、父親らしき男は、そのまま、勢い良く車をスタートさせた。
もはや、校内運動会は、家庭内運動会へと姿を変えていた。
「待て !! コラ !!」
「待て !! コラ !!」
実印を受け取った生徒たちは、次々と、逃亡して行く。
そんな時、
「確保 !!」
という大きな声が聞こえてきた。
声がした方を見ると、一人の生徒が警官に組み伏せられていた。
「凄いな、これ・・・警視庁24時みたいだな」
「だろ・・・だから、あれ」
「あっ ! テレビカメラ」
「取材に来てんだよ」
「へー・・・でも、捕まった生徒はどうなるんだ ?」
「警察と業務提携してるから、留置場に泊められるよ」
「業務提携って、普通に捕まってるだけだろ」
「前科は付かないよ」
「ああ、そうなんだ」
「でも、修学旅行扱いになるから、修学旅行には参加できなくなるけどな」
「えー・・・散々だな」
「でも、実印を持って逃げ切れば、ビッグマネーが転がり込んでくる可能性もあるしな」
「どんな教育方針なんだよ、お前の母校」


次に始まったのはハードルだった。
特に変わった所は無く、普通にスタートしたのだが・・・
「えー !!」
一人の生徒が、ハードルを、走り高跳びの跳び方の一つ、ベリーロールで跳んで行く。
「えー !!!」
そして、別の生徒は、ハードルを背面跳びで飛んでいた。
その生徒は、ハードルを跳ぶたびに、後頭部を地面に強打していた。
「なんで、普通に跳ばないんだ ?」
「走り高跳びも兼ねてるんだよ」
「走り高跳びも兼ねてる ?」
「ああ、良く見てみろよ・・・ハードルが、ちょっとずつ高くなっていってるだろ」
「本当だ」
「その高さを跳べなかった生徒は、そこで脱落なんだよ」
「でも、なんで、そんな事するんだよ」
「効率化だよ。昔、色々な省庁が統合された事があるだろ。その時に、じゃあ、ハードルと走り高跳びも統合しようかって事になって」
「なんで、そうなるんだよ」


次に始まったのは砲丸投げだった。
しかし、選手は、生徒ではなくおじいさんだった。
「なんで、おじいさんが出てるんだ ?」
「ああ、生徒の保護者だよ」
「へー、保護者も参加するのか」
「でも、なんか、砲丸が小さくないか ?」
「ああ、あれは、砲丸じゃなくて、金玉だよ」
「金玉 !?」
「ああ」
そう言われて競技を眺めていると、おじいさん達は、投げる時に、何かを叫んでいる。
よく聞いてみると、
「もう歳だから、金玉いらーん !!」
と叫んでいた。
「歳とったら、もう、金玉必要ないだろ、邪魔になるだけだからな。だから、ああやって、捨ててるんだよ」
「へー・・・」
「でも、時々、溝に落ちた金玉から、人間が生えてくる事があるんだよ」
「ど根性大根かよ !」


次に始まったのは走り幅跳びだった。
この競技は珍しく、最初から最後まで、普通に行われていた・・・と思っていたのだが・・・
ドーン !!!!!
凄まじい衝撃音と一緒に、砂場の砂が、空高く舞い上がった。
「何があったんだよ !?」
僕は、上山に聞いた。
「また、今年も来たか・・・」
「今年も来た ?」
「ああ、ブラジルからの留学生だよ」
「ブラジルからの留学生 ?」
「ああ、毎年、この時期になると来るんだよ、走り幅跳びで・・・」
「走り幅跳びでって・・・どういう事だよ」
「だから、走り幅跳びで、ブラジルから来るんだよ」
「走り幅跳びでブラジルからって・・・ひょっとして、飛行機を使わずに、走り幅跳びで来たって事か !?」
「ああ」
「えー !!! ・・・走り幅跳びでブラジルから !!!?」
「ああ」
「そんな事できるのかよ !!?」
「ああ、とにかくバネが凄いからな」
「いやいや・・・バネが凄いにも程があるだろ」
ブラジルからの留学生には、走り幅跳び1位の旗が渡された。
「そりゃそうでしょうね」
と思いきや、何か、運動会の執行部が揉め出した。
そして、ブラジルからの留学生に渡された、一位の旗が取り上げられた。
やがて、執行部からアナウンスがあった。
「只今、走り幅跳びで1位になった、ブラジルからの留学生サントス君ですが、ガラパゴス諸島とハワイ島に足を付いていた事が判明しましたので、走り幅跳びではなく三段跳びとみなし、失格になりました」
「いやいや、三段跳びでも充分凄いけど・・・」
こうして、運動会の幕は閉じていった。