浦の星女学院の統廃合が確定。
G'sマガジンでの設定通りになったことで一安心というか、仮にこれで廃校阻止されていたら興冷めだとさえも思っていました。
学校を救いラブライブにも優勝する物語が「英雄譚」や「王道」であるならば、Aqoursの物語は「覇道」であって欲しい、と。
- 努力の量と結果
血の滲むような努力と圧倒的な数的不利を覆す圧倒的なパフォーマンスで、Aqoursは無事に東海大会のトップ通過を果たします。
船長・渡辺の号令とともに、新たな船出です。ヨーソロー!
「「「「「「「「「ヨーソロー!!!!!!!!」」」」」」」」」
動画の再生数も伸びが止まらず、「お前有名人じゃん」状態です。バズっています。
こんなに沢山の人が…
生徒数の差を考えれば当然ですわ。これだけの人が見て、私達を応援してくれた。
これだけの認知度と再生数があれば、当然入学希望者も…
ところが、そうは問屋が卸さない。
入学希望者は80人から変わっておらず。
むしろよく80人も集めたものだと関心せざるを得ませんが、「100人未満は0と同じ」なのです。
学希望者がなかなか増えないことに憤慨した善子がパソコンに八つ当たり。
stop 壊れていないわ。
これが現実なのですわ。これだけの人が、浦の星の名前を知っても──
たとえまちが綺麗で、ひとが優しくても、わざわざここまで通おうとは思わない。
世界は壊れてなどいなく、正しく動き続けていると諭す鞠莉。
そして続く言葉こそ、僕たち自身も強く感じているであろうこと。
「わざわざここまで通おうとは思わない」
アニメの中だけでなく、現実の沼津市でも年々人口は減り続けています。
参考:沼津市公式HP
世の流れとして、これはもうどうしようもないこと。
口々に「沼津に住みたい」とは言っているものの、実際にそう簡単に移住できるわけではないのは痛感しています。
ラブライブ!サンシャイン!!を知って沼津市に興味を持った人間の半分でも移住していたら人口は右肩上がりでしょう。
知ること・興味をもつことと「実際に住むこと」はどうしても繋がりにくい。
ましてや、入学希望者は中学生諸君。
子供個人だけの話ではなく、家族すら巻き込む規模の話です。
現実的な問題として、立地や通学方法などままあるでしょう。自転車での通学が認められていないようなので、バスの定期なども必要となりお金もかかります。
子供だけの問題ではなく、大人も関わる問題であること。
これは廃校を阻止したいAqoursたちと廃校を決断する鞠莉のお父さんサイドとの関係にも言えること。
鞠莉のお父さんひとりの権限ではなく、色々な偉い人たちとの兼ね合いもあることが言及されています。
かつて鞠莉が「大人」の立場として言い放った「努力の量と結果は比例しない」という言葉が、奇しくも跳ね返ってきてしまいます。
張り詰めた空気の中、普段から「現実的な視点」の立場にある梨子がお腹の虫を鳴かせます。
そう言えば、お昼食べた後何も食べてないわね。
時間にして深夜の1時。
お昼食べた後から、ということは12時間ほど食事をしていないのでしょう。
浮足立っていたAqours、梨子のおかげで一旦「現実」へターンを戻します。
コンビニへ買い出しに向かう1年生。
実はこのシーンが#7 で一番好きなシーンかもしれません。
今のAqoursを作ったのは千歌ちゃんたち2年生の3人。
その前のAqoursを作ったのはお姉ちゃんたち3年生3人だもん。
責任、感じているずらよ。
そんなもん、感じなくてもいいのに。
少なくとも私は 感謝しか…
だからマルたちが面倒見るずら。
それが仲間ずら。
なんかいいなぁ。そういうの。
支え合ってる気がする。
2.3年生が入学希望者の推移を見守っていたいという気持ちを汲んでか、1年生が買い出しに行くのは道理なのでしょう。
今の環境を作ってくれて、自分を受け入れてくれたAqoursに対して善子がぽろりと口にした「感謝しか無い」という言葉。
茶化されるものかと思って焦る善子ですが、花丸とルビィは笑顔で答えます。
支え合うのが仲間。星空を眺めながらルビィは言います。
ひとつひとつの星だけでは意味を持たなくても、星と星を結べば星座になるように、支え合っているのだと。
善子が「感謝しか無い」という言葉を焦って誤魔化したのは「自分はこう思っていても、相手がそう思っているとは限らない」という不安からくるものでしょう。
善子にとって数少ない大事な友達。自分の漏らした本心に本心で答えてくれる、あったかい関係が改めて感じられました。
世の中の大きな波に飲み込まれ、抗うことが出来ずに迎えてしまったタイムリミット。
今までしてきた努力は結果に繋がらず、何もかも無駄になり、廃校が確定します。
- 「覇道」を往け
廃校が確定し、茫然自失とする千歌。
ラブライブに向けて前を向こうという言葉を受け入れられず。
お姉ちゃんたちは、3年生は、これが最後のラブライブだから。
だから、だから──
ぜったいに優勝したい。
普段は見せることのないルビィの確固たる意志。
誰かのためなら、大好きな姉のためなら大声で意志を発すことができる、ほんといい子。
この言葉を受けて千歌もようやくラブライブに向けて気持ちを傾けます。
でも、返ってくるのは弱々しく覇気のない「優勝しよう」。
そもそも、千歌にとって「ラブライブで勝つ」ということは千歌のなかで優先度の低いものでした。
ラブライブ、勝ちたいですか? (1期「#12 はばたきのとき」)
「勝って追いついて、同じ景色を観る」ことがスタートラインだと語るSaintSnowに向けた、「勝ちたいですか?」という疑問。
直後「この娘、バカ?」と切り捨てられてしまいますが、当然でしょう。
SaintSnowの目標は「勝つこと」。
対する千歌、Aqoursは「学校を救いたい、自分たちの輝きを見つけたい」。
こうなってくると禅問答というか、いわゆる方向性の違いというやつです。
「勝つこと」が最大の動機では無かった千歌が、目標だった「学校を救う」事ができず、「自分たちの輝きも見つからない」と言います。
目標を失ったのに続ける意味があるのか?という、存在意義への疑問。
「千歌は学校を救うためにスクールアイドルを始めたわけじゃない」と果南は言います。
曜や梨子がいたからスクールアイドルを始められた。
ルビィや花丸や善子、果南や鞠莉やダイヤがいたから、自分が浦の星があったからここまでやってこれた。
みんなと一緒に頑張ってきたここを救いたい、 それが東海大会後のAqoursの意向だった。
でも学校は救えなかった。続ける意味はない。
Aqoursはどこへ向かうのか?存在する意味は?
座礁しかけたその時、
じゃあ救ってよ!!
わたしたち、みんなに聴いたよ。千歌たちにどうしてほしいかどうなったら嬉しいか。
みんな一緒だった。ラブライブで優勝して欲しい。千歌たちのためだけじゃない。私達のために。学校のために。
この学校の名前を残してきて欲しい。
幾度となくAqoursの窮地を救ってくれた学校のみんなが言います。
座礁しかけたAqoursを導く、まるで灯台のように進路を示してあげます。
彼女たちはみんな「Aqoursの10人目のメンバー」です。
そんな彼女たちの意向、無視できようものか。
そしてなにより、これは「ラブライブ!」。
これは、「みんな」で叶える物語。
千歌ちゃんにとって輝くということは、自分ひとりじゃなくて、誰かと手を取り合い、みんなで一緒に輝くことなんだよね。
私や曜ちゃんや普通のみんなが集まって、ひとりじゃとても作れない大きな輝きを作る
その輝きが、学校や聴いてる人に広がっていく。つながっていく。
それが千歌ちゃんがやりたかったこと。スクールアイドルの中に見つけた、輝きなんだ。(1期「#11 友情ヨーソロー」)
これはもうAqoursだけの問題ではなく、全校生徒「みんな」の総意であることだと。
Aqoursとしての存在意義を改めて提示したあと、ダメ押しのひとこと。
千歌たちしかいないの!千歌たちにしかできないの!
浦の星女学院、スクールアイドル、Aqours。その名前を、ラブライブの歴史に、あの舞台に永遠に残して欲しい
Aqoursとともに、浦の星女学院のなまえを
だから、だから、だから───
輝いて!!
「今週の"肯定"」来た!!
千歌たちしかいない、千歌たちにしか出来ない。
おそらくそれは、「期待」の味に疎かった千歌にとって最上級に欲しかった言葉のはずです。
自分しかいない、自分だけが、という「特別」。
千歌ちゃん、や・め・る?
「この時を待っていた」と言わんばかりの曜と梨子。
曜はかつて「千歌ちゃん、やめる?」という問いかけで地雷を踏んだ過去があるため、「#6 Aqours WAVE」でアクロバットを練習している時でさえこれが言えなかった。
ここで引っ込むわけがない。ここで引いたらそれこそ千歌の嫌っていた「中途半端」になってしまうぞ、という確信があったからなのでしょう。
やめるわけないじゃん…
決まってんじゃん…!決まってんじゃん決まってんじゃん…!
優勝する!ぶっちぎりで優勝する!相手なんか関係ない!アキバドームも決勝も関係ない!優勝する!
圧倒的なカリスマ性を以てみんなを引っ張っていくのはリーダーの風格であるし、理想的な「主人公」像でありましょう。
でも、みんなの力で支えられて一緒に歩んでいくのもまたリーダーであり、こちらの「主人公」像もまたひとつのかたち。
いままで薄ぼんやりとしていた「輝くこと」や「キセキ」といった漠然としていたものが、ここにきて「勝って名前を残す」という単純明快なものになります。
痛快!ただその一言。
本当に今までやってきたことは無駄だったのか。何の意味もなかったのか。
答えは否。
予備予選と学校説明会、どちらも諦めない選択をしなければ地区大会にも出られなかった。
地区大会のためにアクロバットという武器を習得しなければ決勝のフィールドにすら立てなかった。
なにより、ここまでしていなかったら沢山の人から「期待」され、自分を立たせることになっていなかった。
「全てに意味がある」。
守りたいものは失ってしまった。
でも、進むべき道は見えた。原動力も、戦う武器も手に入れた。
「奇跡を起こす」のではなく、「軌跡を遺す」。
明確な「勝利への執念」に心が震えます。
最初に『Aqoursの物語は「覇道」であって欲しい』と書きました。
「覇道」とは「武力や権謀によって天下を支配する政治のやり方」
なんとも今のAqoursに合っているじゃありませんか。
相手なんか関係ない、一世一代の下剋上。
誰であろうが関係ない。
全員ぶっ潰してねじ伏せて、覇道を往け!!
次回、「#8 HAKODATE」