早いものでもう#6 まで来てしまいました。
いつものように好きだったシーン、良かったシーンについて書いてゆきます。
よろしければお付き合いくださいませ。
- 「松浦果南がノートを隠した理由」の真実
前回更新した『サンシャイン!!2期感想「#5 犬を拾う。」篇』にて、果南がノートを隠した理由について触れてみましたが、まさかここまで合っていたとは思わず「瓢箪から駒が出る」とはまさにこのこと。
仮定として、「果南は現状のAqoursのパフォーマンスレベルに満足していないのではないか」ということを考えました。
ノートに書いてあるのは、今のAqoursには技術的に不可能なレベルのダンスだったりするのではないだろうか。
これを果南が言い出せなかった理由として、2年前の元祖Aqoursが解散するきっかけのひとつとなった「小原鞠莉のケガ」です。
鞠莉のケガがダンスレッスン中に起きたものかは不明ですが、そもそもこの仮定自体が不確かなものなのでここではレッスン中にケガをしたものと仮定します。
果南のレベルに近づけた振り付けにした結果、無理がたたってケガをしてしまったのではないだろうか。
ダイヤはもともとアイドルが好きだったし日舞の経験もあるため、果南ほどのレベルではないにしろ、こと踊りに関しては不得手ではなかったのでしょう。
できるだけ果南のレベルに合わせて振り付けをしたかったのはもちろん「勝つため」。
引用:肯定ログ『サンシャイン!!2期感想「#5 犬を拾う。」篇』
起きている間はほとんどサンシャイン!!のことを考えているレベルなので、キャラクターの思考や機微を擦り合わせたものが合致していたときの「肯定されてる感」、ハンパないですね。
自分の持っている「サンシャイン!!観」のようなものが正しいわけではないけれど、間違ってもいなかったんだと思えました。
- 「期待」が合図くれるから
話中、Aqoursは世間から「期待」を向けられていることが語られます。
"前回は地区大会で涙を飲んだAqoursだが、今大会予備予選の内容は全国大会出場者に引けを取らない見事なパフォーマンスだった。後の成長に期待したい。"
Aqoursはこれまでクラスメイトや学校の生徒、町の人達のような内側の存在から期待されることはあれど、顔も名前も人数も分からない不特定多数の、いわば外側の存在から期待を寄せられていたことはありません。
下馬評からの「期待」という言葉を聞き、千歌は眉を顰めます。
「期待」と千歌については『#1 ネクストステップ」篇』にて少し触れています。
期待。
それは普通星人・普通怪獣の千歌にとって縁の遠い言葉でした。
"期待されるって、どういう気持ちなんだろう"(1期「#7 TOKYO」)
1期「#7 TOKYO」にて、ピアノと水泳で他人から大いに期待されていた梨子と曜、対して誰にも期待されなかったし自分に期待することも辞めてしまった千歌が映されたシーンはとても印象的でした。
引用:肯定ログ『ここエモ!!~ここがエモいよサンシャイン!!~「#1 ネクストステップ」篇』
1期と2期「#1 ネクストステップ」にて他人から期待されることを知り、躓いて悩んで、その度に自分の殻を破って進化していく千歌の成長を見ていくこの物語がものすごく好きなのです。
「#6 Aqours WAVE」では下馬評からの期待だけではなく、メンバーみんなからも期待された結果とても難度の高いダンスを習得することに成功します。
「期待」は千歌にとって進化の鍵なのでしょう。
先日リリースされた【未来の僕らは知ってるよ】の
"進化したいから すぐできないこと ひとつひとつ乗り越えて"
"期待が僕たちへ たくさん合図くれるから 逃がさないでチャンスをつかまえて"
という部分が千歌の姿と重なって、意味の深いものに感じました。
- 普通怪獣大決戦
「今週の"肯定"、きたな」って感じです。
千歌は他人に対してありのままを受け入れようとする姿勢を貫いています。
そんな千歌が「どこがダメなんだろう」「なにもしてない、なにもできてない」と自虐します。
自分が普通だからダメなんだ、梨子や曜みたいに特別だったら出来るのに、という意味でしょう。
この様子を見て、梨子だけでなく曜までもが「普通怪獣」として降臨します。
梨子や曜だけじゃなく、花丸に善子にルビィ、果南も鞠莉もダイヤも普通の女の子なんです。
"自分のことを普通だって想っている人が、諦めずに挑み続ける。それが出来るって、凄いことよ。すごい勇気が必要だと思う。"
梨子は自分自身のことを地味で普通の人間だと評価している人間です。
そんな梨子は再び諦めずにピアノに向き合って、苦手だった犬にも触ることがてきた。
自分自身が普通で、出来なかったことが出来るようになった苦労と勇気が必要だ、という経験があったからこそのエールです。
「ありのままの存在を肯定する」という、千歌が今まで他人にやってきたことが巡り巡って自分を立ち上がらせる勇気になる展開、めちゃくちゃ「主人公」で好きです。
- 10年の想いを乗せて
"怖くないって千歌 ここで辞めたら後悔するよ 絶対できるから"
「千歌ならできる」と信じて笑顔で待つ果南。
直後、千歌は無事飛び込みに成功します。
千歌自身の勇気の賜物であることはもちろん、果南は千歌を絶対的に信じていました。
弁天島にて鞠莉から「逃げるのを諦めた?」と煽られたとき「千歌たちに任せればいい」と返したのも、売り言葉に買い言葉というニュアンスで返したのではなく、本心では「千歌ならなんとかする」という期待の意味も込められていたのではないでしょうか。
果南が千歌のことを理解して信じている証左は他にもあります。
"私には、なんとなくわかる"
1期「#12 はばたきのとき」にて、千歌の言ったことに合点のいかないメンバーのなか、果南だけは「何となく分かる」と肯定します。
「#1 ネクストステップ」で千歌が「最後まで足掻きたい」と言ったときも、果南は
"諦めが悪いからね 千歌は昔から"
こう言います。
小さい頃から今までの約10年、ずっと千歌に寄せる期待は変わらず、ずっと信じていた果南が、小さい頃と同じ海辺で同じように笑顔で問いかける、
"千歌、時間だよ。準備はいい?"
目は口ほどに物を言うというか、ものを多く語らないのが松浦果南であり、「絶対にできる」という期待・信頼が読み取れて#6 では一番好きなシーンです。
完全に「師を超える弟子」のシーンですよね。バトルアニメかよ。
これは前Aqoursのセンターだった果南から現Aqoursセンターの千歌への正式なセンター引き継ぎイベントです。
「出来るパターンだろ!これ!」と言って五体投地していたのは、現Aqoursは「9人揃わないと意味が無いから」。9人いないときに成功しても意味ないんです。
もっと言えば、果南の目の前で成功しないと意味がなかったことです。
果南たちが1年生の時に考えた、未熟で、夢と消えてしまっていたものが現Aqoursに引き継がれ、2年の時を経て日の目を見る。
期限を明け方に設定したこととかけている演出にさえ思えてしまいます。
そして千歌は見事に果南の試練をクリアしてみせます。
そんな千歌を見て、果南から溢れる言葉。
スクールアイドルを始めてくれて、諦めないでくれて、成功してくれて、夢の続きを見させてくれて、小さい頃から変わらずにいてくれて、信じさせてくれて、自分を信じてくれて…。
10年の想いを乗せた、
「ありがとう、千歌!」
千歌と果南が積み重ねてきた10年以上の信頼関係から来るこの「ありがとう」の意味の全てを理解することは出来ません。あまりにも重すぎる。
千歌と果南、ふたりの関係があったからこそおもしろいお話だったなと思いました。
- MIRACLE WAVE
フルバージョンを聴くまではあまり安易なことは言えないのですが、アニメバージョンを聴いた限りではサンシャイン!!2期の#1~#6までを総括し、なおかつ千歌から果南へのアンサーでもあったと感じました。
"できるかな できる 叫ぶ心が 欲しがる輝き 目の前で 君に見せるんだ"
小さいころ果南の目の前で「できる」と飛び込んでみせたように、果南が見ている目の前で「できる」ことを証明してみせたのです。
この歌詞が歌われているシーンで涙が流れる果南だけが描かれているカットがあるというのは、千歌から果南へのアンサーである要素を強めていると感じました。
涙を浮かべながらも笑顔で歌う3年生本当無理です。
【MIRACLE WAVE】を歌い終わった後の
「みんな、信じてくれてありがとう!」
これ、実際のライブで言われたらちょっとマズいですよね。
「絶対びっくりさせてやるからな!」という伊波さんの言葉は忘れられません。
僕たちに出来ることは信じることだけ。
ともあれば、アニメの千歌たちのように、Aqoursのみなさんも僕たちに素晴らしい景色を見せてくれるでしょう。
次回「#7 残された時間」