本日、マイクロソフトのCRM製品でSaas(Software as a Service)の記事があった。
http://www.computerworld.jp/news/sw/55829.html
記事抜粋すると
「 Dynamics CRMは、マイクロソフトのCRM製品としては初めて「マルチテナント型」のアーキテクチャを採用している。これは複数の企業でシステムを共有するものであり、1台のサーバで複数の顧客のアプリケーションをホスティングできる点が強みだ。」
「マルチテナント型」、「1台のサーバーで複数の顧客」。
これはシステムの一つの最終理想形態だと考えている。
つまり、
『情報の一元化』(各社、世界すべての情報が一つの管理体制も下へ)
である。
以前のこのブログのエントリー「情報の一元化とそれを阻むもの」
で書いていたけど、
システムは国立図書館のような紙媒体での「情報一元化」とは利便性レベルが全然異なる。
システムは、Aの情報とBの情報を区別するために、内部で絶対かぶることのないIDを持っている。
(「そのデータは一意である」、と言う)。
現在は、各社でデータが散らばって管理されている。
別管理だから、例えばトヨタのあなたの家のレクサスは101-000001というIDを持っているかもしれないが、
あなたの家の日産のティーダも、日産の中では同じ101-000001というIDで管理しているかもしれない。
その場合、
・データの統合に時間がかかる。何億とある商品、いつの取引、誰のいつ時点の住所、などの情報が
各主体で同じ情報でも異なるデータとしてもたれているため。
上記のような身近な例は、例えば住所変更をした場合は市役所などに申請するが、
楽天で個人登録するときも、クレジットカードの登録をするときも、同じ役所に結婚届を
出すときも、毎回同じ住所を入れる必要がある。
それはそれぞれ異なる場所にデータを持っているから。
理想のシステムは、
○一つの場所にサーバー集中管理
(googleのように、何十万台とサーバーをおいていても、同じオペレーションでほぼミスなく情報更新できればよい。
場所の分散は対応工数増大と管理分散による確認性の低下を招く。)
○上記サーバーにすべての情報を、一意になるような形で持たせる。それをどこでも利用できるように共有する。
例えば目の前にあるレクサスはアメリカに運ばれようが、イギリスで事故しようが、
日本のヒルズ族に買われようが、IDは101-00000001で変わらない。
○インターフェース(入力画面)、処理フローはそれぞれにとってもっとも使いやすいような形に変更出来る。
○瞬時に必要な場所に情報反映される。
○一人の担当者の意志でシステムフローの変更が可能(当然リスクもあり)
あたりかと思われる。
各企業、組織がそれぞれの利益主体となるため、最終的に情報が一つに統合されることはほぼありえない
けど、
例えば
■役所で登録した個人情報は、自分であることを証明することでクレジット、買い物、会員権などの登録時に
個人情報を入力手間なくすぐ登録できる
(←国民総背番号制か。ぶっちゃけ各企業でも同じように番号割り振られて情報管理しているんだから、いまさらだな。)
(←個人情報保護法があるため、非常に難しい。
方法としては、どこかに国が持っている情報センターと切り離した場所があり、
そこに本人認証を送ると、一定のタイミングで国保有情報がその場所にアクセスして
情報照会し、一致したかどうかの確認データのみ送信、とすることで個人情報を外部に
出さないようにする)
■アップルのiPodが製造されて、そのデータは物流会社、各販売店に渡り、何がいくつどこに
渡ったかトレースし、欠損防止、流通速度、各地点販売実績等生産→販売の一気貫通の
管理可能。(あんまり頭こなれてないな。。)
■各店舗の売り上げ情報を共有情報として利用できるようにすることで、自社のみより多量・多様な情報での分析が可能。
(コープ宝箱
という北海道コープのシステムで実際にそれを実践している。日本国内ではいまのところこの規模では
他に知らない。)
等、より便利に、強力なツールになる。
情報が集まっていることで、交渉力も強くなる。
日本の1000万人の情報が一つの場所で管理されるようになれば、国との連携も比較的しやすく
なるだろう。
情報量は力、の仕組みだと思う。
ネットワークインフラの安全性、安定性が前提条件ではあるけど、
今後はますます複数グループが共有するデータベースを持つソフトが勢力を伸ばしていくことと
思われる。
あるお客様に、聞いた内容が、
「人事情報システムの情報を外部サーバーで管理する運用はありですか?」
『個人情報あるから無理だね』
「では、人事情報システムの情報を外部サーバーで管理すると今のシステムのコストの10分の1になった場合どうするか?」
『うーん、考えるね』
セキュリティ必要とか言っても、実態はコストとの兼ね合いなのだと思う。
そう考えると、言及したような仕組みは確実に進展していくのだろう。
今からシステム業界入るなら、そういう仕組みを目指す会社の方がいいだろうな。