遺体の引き取り拒否について | 瀬川行政書士事務所の笑顔生活宣言

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このamebloさんでブログを後悔していると、検索ワードで私のブログがどういう言葉で検索されているのかがよくわかるので、興味を持って見ていますが、その中で意外に多いのが、孤独死した人の遺体の引取りを拒否したいような言葉が結構並んでいます。

そこで以前にも書きましたが、もう少し詳しく書いて見たいと思います。

まず前提として私が出て行く場合は、その方が生前に死後事務委任契約をしていないと、その方のその後の手続については基本的に何もすることは出来ません。

仮にその方の相続人の方からの依頼については当然お受けすることは出来ますが、遺体の引取りを拒否しているような親族から依頼が来ることは考えにくいのですし、”もう何もしたくない”と言う内容の依頼については、後処理について担当することは出来ます。

まず亡くなった方については、恐らく自宅で亡くなっている場合が多いかとは思います(病院で亡くなる場合、恐らくどなたかが保証人になっていることが多いので、その方がその後のことについて手続をしていくことになります)。

亡くなった遺体は、既に死後何日と言うことになっていれば、救急車で病院に行くことも無く、直接警察署に運ばれます。

その後は遺体の検案が行われるのですが、現地の警察署で難解な場合は県警本部に運ばれて、詳しい死因を調べます。

それと同時進行で、その遺体の身元確認、親族の捜索が始まりますが、これは警察が行うケースと市町村が行うケースとがあります。

もし親族が見つかれば、遺体の引取りについてお尋ねがありますので、もし引き取ると言うことであれば、現地に行って遺体を引き取ります。

大抵は何日も警察署に置いておくことは出来ないので、ある程度検死が終われば遺体安置が出来る葬儀社に引き取り依頼が来ます(そういう葬儀社は遺体用の冷蔵庫を所有しています)。

明確に遺体の引取りを拒否すれば、次に市役所の福祉課(各市町村で名称は違います)が出てきて、行旅人扱い(行旅病人及行旅死亡人取扱法)と言うことで処理されていきます。

まずは市町村の費用によって火葬までされますし、お骨も一応は集骨します。

問題はその後の話で、まずお骨については市役所で預かることはしないので、その地域の仏教会でそういうお骨を取りあえず預かる担当寺院がありますので、引き取り手が出てくるまで、そちらで一時的に預かってもらうことになります。

その間にまだ親族が発見されていない場合には、官報に掲載されて相続人を探します。

自分の自宅で亡くなっていれば、当然身元はわかっているので、相続人を探すことは簡単なのですが、例えば公園で身元をあらわす証明を何も持たずに亡くなった場合には、官報に掲載され相続人を探します。

相続人が分かれば、まず市町村から今回の手続料について請求が来ます。

法律上の相続人がいないときは民法730条に基づき、扶養義務者に請求が行くこともあります。

自宅で亡くなったときには、その後の相続の問題が発生しますが、故人の資産・負債についての相続手続の事もあり、もし遺体の引き取り依頼が来たとき、故人が資産を持っていたのなら、その資産を持って今回の手続き費用を当てることになります。

費用的にはケースバイケースですが、場合によっては何十万円とかかるときもありえます。

生活保護を受けていれば、費用はほとんど掛かりませんが、生活保護を受けていないと全ての費用が掛かってくるので、火葬代・遺体の保管費用・病院関係では検死費用(司法解剖分については費用は掛かりません)・葬儀社への支払などの費用が考えられます。

相続人の側で考えると、まずそういう遺体の引取りについては、引き取りをしたくないのなら引き取り拒否は出来ますし、もし拒否されるとそのまま市役所で処理はされていきます。

最後にお骨まで手続が進んだ段階でも、もし遺骨の引取りすら拒否されるのなら、上記の担当寺院が無縁仏として合祀墓に納められて供養されます。

但し掛かった費用については請求が来ますので(正式な相続人であれば)、死後の手続については恐らく処理せざるを得ないと思います。

相続放棄を含めた処理を考えて行くことになるのでしょうが、資産のほうが多ければそのまま手続をしてあげたほうがいいと思います。

しかし一旦相続手続を始めた以上、”止めた”と言うことは言いにくいので、実際は手続をしていかなければなりません。

相続人・扶養義務者の誰もいないときに、初めて愛知県の負担(名古屋市については名古屋市が負担)として最終処理がされ、全てが終わります。

こうして書いて見ると、簡単そうに見えますが、意外と孤独死された方の後処理は結構複雑ですし、時間も掛かります。

生前にキチンとした対応を考えておけば、そんなに苦労することは無いのですが、考えておかないと迷惑が多方面に亘ります。

このような心配がある方については、少し対応を考えておいたほうがいいかもしれません。

瀬川行政書士事務所
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