PS4の技術的側面: Mark Cerny氏インタビュー | みらいマニアックス !

PS4の技術的側面: Mark Cerny氏インタビュー

Eurogamer「Cerny Computer Entertainment」におけるMark Cerny氏インタビュー。
インタビュアはDigital FoundryのRichard Leadbetter氏。
なお以下の記事では、Digital Foundry側質問、及び一部回答は抄訳としている。


Q(Digital Foundry):久夛良木氏が務めたリード・アーキテクトを担った気分はどうか。
A(Mark Cerny氏):ケンは天才だ。同じアプローチは取れない。別の方法を考える必要があった。

Q:設計チームはどのように作ったのか。
A:当時は設計をどんどん進めると言うより、自分のひらめきで作っていた。

Q:自分の好きなように作ったのか。それとも担当部署があったのか。
A:当時、自分はソニーの外にいた。自分が提案を出したのは、彼らがスタートした頃だった。

Q:世間のコンソールの将来への悲観にも関わらず、PS4は前向きだ。
A:全体としては、ゲームは史上最高の状況にある。大作とインディーズの作品で人々をコンソールに呼び込む。

Q:x86アーキテクチャを採用したことについて詳しく。
A:休日にはCPUのインストラクション・セットだけを見ていた。x86アーキテクチャは最近、本当に変わってきたと思えた。x86アーキテクチャと使われ方は、もしかすると変化の瀬戸際にあるのかもしれない。検討の結果は、x86アーキテクチャを採用すべしというものではなく、x86というオプションを、私たちのリストに追加することができるのではないかと思ったということだ。その後、ハードウェア開発のプロジェクトが2008年に実際にスタートしたとき、私と、ICEチームと、それからソニー内の数名の技術者で、x86と、その上でコードがどのように機能するかについて、他のプロセッサとを比較しつつ極めて詳細な分析を行った。

私たちは、これまでSPUで行ってきたような処理を調査し、汎用コードを調査し、プラットフォーム向けにアセンブリを書くことを他と比べて調査し、コンパイルされたコードを調査し、x86アーキテクチャの様々な側面を披露した15もの様々なプレゼンテーションを調査した。PS4の開発で、私たちの最初の大きなミーティングは、1stパーティのチームとのものだ。私たちは一日の大半を費やして、x86についてのそれまでの調査結果を説明した。x86がコンソールに有用だという結論に私たちはなっていたのだが、1stパーティのチームに、それがコンソールに役に立つかもしれないと思うかどうかを訊く必要があったのだ。

Q:AMDについて最も興味を引かれたのはAPUだったのか。
A:ビジネス(カネや権利関係や)やタイムラインなど、検討事項は山ほどあったので、必ずしもそうとはいえない。

Q:1TBの帯域を備えた「あったかもしれないPS4」は、ある程度詳しく検討されたのか。
A:その話を選んだのは、私たちの新しい哲学を示す上で最も明確なものだったからだ。PS3時代の考え方であれば、間違いなくそのデザインが選ばれていただろうと思う。だが新しい考え方においては、使いやすさを大事にしたかった。こういった組み合わだ。1年目には使いやすさ、その後には非常に興味深い機能、それは...Gamasutraの記事で、主要なポイントに目を通したもので... 3年目か4年目だ。開発のしやすさは極めて大きな効果をもつ。現在、140ものPS4向けのタイトルが開発中だ。SCE史上最強のロンチになる。

Q:ゲーム機の均質化が進み、PS4の差別化が難しくなったのではないか。
A:。それにはいくつかの理由がある。一つは開発者とハードウェアの間にあるソフトウェア層が、PCよりもはるかに薄いこと。もう一つは、ハードウェアが変更されないため、何年もの間、一つのアーキテクチャに集中して、そのアーキテクチャについて多くを学ぶことがきることだ...グラフィックスや世界シミュレーションの品質といった面でメリットがあるのが分かるだろう。さらにその上、GPUの大幅なカスタマイズがある。これは、2016年、2017年から先、さらなるターゲットになるものだ。これらのことを全て考えれば、PS4の将来は非常に明るいと思う。

Q:PS4のCPUは本来タブレット向け。PS4にはGPUにしか強みがないのではないか。
A:私はPS4をスーパーチャージされたPCアーキテクチャだと思っている。それは、いくつかの方法でそれを変更し、ゲームのために改善したからだ。統合メモリは、ゲーム開発を間違いなく容易にするもので、開発者から最も求められていたの機能だ。プログラムのアセットとグラフィックのアセットを分けることに頭を悩ませる必要はない。これらの割合が、ハードウェアの開発者がメモリに選んだような割合になっていることなどないからだ。そういうわけで私たちは、GPUが細かく分割された処理を非同期で上手く処理できるようにした。私たちは数年後にはそういったハードウェア・サイクルに入っているだろうし、その際にGPUはグラフィックよりもそのために用いられているだろうと思う。

今、私がこう言えば多くの人々は言うだろう。「しかし、可能な限り最高のグラフィックが欲しい」と。彼らは互換性がないということが判明する。GPUと各種サブコンポーネントが、フレーム全体でどのように利用されているかを見れば(フレーム全体には多くのパートがある)、例えば不透明なシャドウマップのレンダリングでは、GPUの大部分が使われていない。衝突検出、物理計算、オーディオ・レイキャスティング計算をしている場合、それらの時にはグラフィックに本当に影響を与えない。GPUのある程度の割合をそうした瞬間には活用できるし、そうでなければGPUは完全には活用されていない状態だ。フレーム全体を通して見れば、何どのフェーズにあるかに応じ、GPUのどの部分が計算のために実際に使うのが可能であるかがわかる。

Q:GPUの活用によって新しいことができるようになる。KNACKでそれを行うのか。
A:KNACKは小品だ。UbisoftやSCEの他のチームがGPU活用の研究を進めている。

Q:CPUを4コアにすることは考えなかったのか。ワットあたり性能で決めたのか。
A:Jaguarのワットあたり性能は優れている。

Q:それでJaguarが一番ぴったりだったと。
A:いろいろなオプションがあったが、最も重要だったのは業界のメインストリームとなる技術であるのか、ということだ。

Q:GPUの14コアをグラフィック処理、4コアをその他処理が推奨という噂を聞く。
A:公式にそう言ったことはない。だが、ALUを多少多く積んでいるので、それを利用したいと開発者は思うだろう。

Q:コードをCPU向けにもGPU向けにもコンパイルできるツールがあると聞いたが。
A:それはAMDのHSAだ。だが私たちの現在のアプローチは、高級言語からローレベルへのアクセスを許すというものだ。初年度にはこれが最も良い結果を生むだろう。

Q:PS4には専用のオーディオ処理チップがあるのか。
A:専用のオーディオ処理チップはある。主な役割は、様々なフォーマットのオーディオストリームを圧縮し、解凍することだ。そのいくつかはゲーム向けだ。多くの、多くのオーディオストリームをMP3やその他の形式であるだろうし、ハードウェアによって処理する。あるいはシステムの側では、ボイスチャットの圧縮と解凍を行う。

Q:オーディオ処理をGPUで行うことは。
A:GPUは、多数の異なるタイプのオーディオ処理を行うことに向いている。実際には並列にできる処理の量に帰着するが、GPUはそういったアルゴリズムを処理するのに向くし、また、オーディオ処理において具体的にどんなことをしたいかに大きく依存する。今後技術が進めば、数年以内にハイブリッドなアプローチを見ることになるだろう。オーディオの特定の部分をGPU上で処理するということだ。

Q:8GBのGDDR5は大きなサプライズだった。どうやって決めたのか。
A:開発者主導の開発プロセスが成功した例だ。

Q:GDDR5のレイテンシにどうやって対応したのか。
A:GDDR5のレイテンシは、DDR3のレイテンシはに比べてそれほど高いわけではない。また、GPUは極めて高いレイテンシ耐性をもって設計されている。レイテンシが問題になることは想像しにくい。

Q:ダウンロード中にプレイを始められる機能で、想定する必要帯域はどのくらいか。
A:興味深いことに、必要な目標帯域幅はゲームの長さに依存する。長いゲームになるほど、ロードをゲームの後の段階で行えることから、必要な帯域幅は少なくなる。また別の要因もある。ダウンロードをする間ずっとプレイしているのか、それとも数時間プレイしてハードをスタンバイにしておき、ダウンロードを続けておいて次の日に再開するのか。

Q:プレイ動画のシェアをする場合、一般的なユーザが使える上り回線の帯域でも可能なのか。
A:ハードを設計する際には、ブロードバンド・インフラが今日的な意味を帯びている。

Q:これからの2年間はPS5についての提案を作るのか?
A:(笑)


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