『赤い砂漠』
1964年 イタリア=フランス
ミケランジェロ・アントニオーニ初のカラー作品です
主人公を演じるのは、彼のミューズ、私の大好きなモニカ・ヴィッティ
![5時から7時までのパブロ☆パブロのひとりごとブログ☆-ファイル0258.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20121128/21/sedmikrasky-citylova/d2/ab/j/t01150080_0115008012307276023.jpg?caw=800)
ヴィッティ演じる主人公ジュリアナは、交通事故のショックで精神を病んでいます
工場技師である夫の上司コラドは、そんな彼女を気にかけるも、常に“不安”に苛まれる彼女を救うことはできない
神経を逆なでする歌声、工場から出る黄色い煙(ジュリアナはこれを毒だと言います)、無機質な工場地帯と地味な色の服を着た労働者たち
その中を、金髪に緑色のコートを着てパンを貪る、見るからに精神を病んでいそうなヴィッティが登場する冒頭のシーンだけでやられてしまいます
荒れ果てた工場地帯に流れる廃液や噴出する煙、赤い小屋でのパーティーの後突如霧に覆われる港、動かない船、疑われる伝染病、霧で見えなくなる友人達
すべてがジュリアナの“不安”を象徴しているようです
そして、精神を病んだジュリアナの孤独感や疎外感を逆なでするように挿入される、赤や黄の原色カラー
対照的に、ジュリアナが子供に語る南の島の少女のいる世界は、澄んだ海と真っ白い砂浜がどこまでも広がり、光に満ちています
コラドに救いを求め、「私を助けて!」と叫ぶジュリアナ
だけど、彼女の心はそこにはない
結局コラドに彼女を救うことはできず、彼は去り彼女は日常に戻ります
精神を病みつつもぎりぎりのところで留まろうとするジュリアナ、そのジュリアナを演じるヴィッティの演技がとにかく秀逸
常に落ち着かず壁を行ったり来たりするジュリアナが、白い壁の前に佇む姿がとても美しいです