1945年に『無防備都市』を監督したロベルト・ロッリーニが、47年に撮った作品です
『ドイツ零年』
第2次世界大戦敗戦後のドイツ、主人公は12歳の少年エドムント
彼には病気で働くことのできない父親と、元ドイツ兵で自宅に身を隠している兄のカール、そしてナイトクラブで外国人から貰った煙草を売って生活のたしにしている姉のエーファがいる
兄が身を隠している為、3人分の食糧の配給を4人で分けなければならず、十分な食事をとることもままならない
カメラは戦争の爪痕に蝕まれるエドムントの日常を静かに追います
後半、決定的な引き金が引かれます
引いたのは、エドムントの学校の元教師
彼はエドムントに言います
「弱い者は強い者に滅ぼされる。弱い者を犠牲にする勇者が必要だ。生き延びるためには」
この言葉を真に受けた幼いエドムントは、彼にとっての最も弱い者=最も役に立たない者である父親を、毒入りの紅茶を飲ませ殺します
父親を殺したエドムントが、廃墟となったベルリンの街をさまよう姿は、この映画の中で最も美しく、最も痛みを伴うシーンです
そして、廃墟から飛び降りるエドムント
飛び降りる寸前までサッカーをしたがるエドムントは、ただの幼い子供でしかなく、その姿には胸を打たれます