クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル トラヴェリン・バンド | Get Up And Go !

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クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル トラヴェリン・バンド (2022 / アメリカ)
(原題 : Travelin'Band Creedennce Clearwater Rivival at The Royal Albert Hall )

● 監督 : ボブ・スミートン
● サウンド・ミックス : ジャイルズ・マーティン
〇 出演 : ダグ・クリフォード / スチュ・クック / ジョン・フォガティ / トム・フォガティ 
〇 ナレーション : ジェフ・ブリッジス


伝説のアメリカン・バンド、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル (C.C.R.) の、1968年の結成時から1970年のロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートまでを記録したドキュメンタリー映画です。

映画の前半は、当時の貴重映像やメンバーのインタビューなどで構成され、バンドの軌跡を辿る形となっています。 後半がこの映画の最大の見どころ、1970年4月14日のロイヤル・アルバートホール・コンサートのライヴ映像です。ライヴで演奏された12曲が収録され、伝説のコンサートの全貌が明らかにされています。 サウンド・ミックスはジャイルズ・マーティンが担当。 音楽映画としての本気度がうかがえます。昨年、Netflix で公開されていたとはいえ、日本では今回が初の劇場上映です。




ギター
9月30日に、ヒューマントラストシネマ渋谷で見てきました。後半のコンサート映像は予想以上に素晴らしいものでした。映画館で観て良かったと思っています。

ギター、ベース、ドラム、そしてヴォーカル。メンバー4人によって演奏されたC.C.R.の音楽はシンプルなものです。バックボーンにあるのは、カントリー、ブルース、ゴスペル といった、アメリカの南部のルーツ・ミュージックです。4人がカリフォリニア州出身であることを考えると不思議にも思えますが、アメリカ南部を感じさせる泥臭い音楽です。 "憧れ" によって作られた音楽のほうが、純粋に憧れの対象の特性を際立たせてしまうのではないか、そう考えています。



Fortunate Son at Royal Albert Hall 1970


ギミックの一切ない、直球勝負ともいえるC.C.Rの音楽は、ごまかしの効かないライヴ演奏でこそ実力を発揮できるのだなと、今回の映画で実感することができました。ドラッグによる逃避ではない、現実感を伴ったロックです。垢抜けてはいませんが、それが4人の音楽の実直さを浮き立たせることとなっています。

そしてなんといってもジョン・フォガティの、最高のロックン・ロール・ヴォーカル! 甲高い声が、ロイヤル・アルバート・ホールを突き抜けています。実験性だとか芸術性だとかを持ったロックが持て囃されていた時代にあって、ロンドンの聴衆の耳には新鮮に響いたのではないかと想像します。

会場にはエリック・クラプトンもいたそうですが、アメリカのルーツ・ミュージックに対しての憧憬と、自分がイギリス人であることのコンプレックスを持っていた彼からすると、C.C.R.の強烈さには衝撃を受けた部分もあったのではないか。これも想像ですが。

ところでこれは音楽とは関係ないのですが、ジョン・フォガティと言えばネルシャツが有名です。写真を見るとネルシャツばかりを着ている印象です。ライヴでもネルシャツを着ているし、トレードマークでもあったようです。アイルランドのギタリスト、ロリー・ギャラガーもネルシャツをよく着ていましたが、ふたりには共通点があります。 質実さ、実直さです。それは音楽も同様です。



Proud Mary at Royal Albert Hall 1970


「雨を見たかい / Have You Ever Seen The Rain」というC.C.R.でも最も有名な曲があって、この曲の歌詞にある "Rain" は、ベトナム戦争のナパーム弾攻撃を描いているといわれています。 ただ作者のジョン・フォオガティ自身は否定しているようですが。

もう一曲、映画ではエンディングで使用された「フール・ストップ・ザ・レイン / Who'll Stop The Rain」という、やはり雨(rain)を何かの比喩に使った曲があります。rain(雨)と reign (支配)を掛け合わせ「誰が支配を止めるんだ」という意味にもなっているとのこと。こちらのほうは、フォガティ自身も肯定しています。

フォーチュネイト・サン / Fortunate Son」という曲も、金持ち、政治家といった特権階級を批判した曲になっています。ベトナム戦争下のアメリカで、ジョン・フォガティ自身も徴兵によって2年の軍隊経験があり、また身近な友人たちがベトナムで戦死していく現実もあったわけで、コンポーザーとして反応して曲にしたのは彼の誠実さゆえだと思います。 ただのロック・シンガーとは少し違うということです。


バンド名の Creedence Clearwater Rivival には "清い水を復活させる" という願いが込められています。



Who'll Stop The Rain (1971)