フェアリーテール・オブ・ニューヨーク | Get Up And Go !

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初めて聴いたのはどこであったとか、どのような状況であったとか、忘れてしまうことが多いのですが、この曲に関してははっきりと憶えています。 渋谷で働いていた頃、吉祥寺に借りた安いアパートで、傍らには女性がいたんですね。 男の恋愛むかし話はダサくなるのでここまでで。


1988年発表、ポーグス3枚目のアルバム 『It I Should Fall From Grace With God』に収録されたクリスマス・ソングです。 初めて聴いたときはクリスマス・ソングであるとはまったく気づきませんでした。 発表から31年経ち、現在ではイギリスで1位2位を争う人気のクリスマス・ソングとなってしまいました。




ポーグスは1983年に結成。 アイルランド人とアイルランド系イギリス人で構成されたバンドです。 アイルランド・トラッドとパンク・ロックが合体した音楽を特徴に持っています。 ライヴでのノリはパンクに近かったそうですが、アルバムを聴く限りはトラッド色が強いように思います。

それにしてもボーカルのシェイン・マガウアンの声は酒臭い。笑うと歯が欠けていて、愛嬌はあるが見た目はどうみても酔っ払い。 酔いどれボーカルとしては、トム・ウェイツ、キース・リチャードを凌ぐのではないか。

そのシェイン・マガウアンは、1991年にバンドを脱退。 とあるが、実は酒が過ぎてのクビであったとか。 しかしこの酔いどれは皆に愛されるクリスマス・ソングを残してくれました。 酔いどれのブサイクであっても、美しい心を持ち得ることを証明しくれたってわけです。





Fairytale Of New York
邦題は "ニューヨークの夢"。カースティ・マッコールとのデュエットで聴かせてくれます。
成功を夢見てニューヨークへやって来た男女ふたりのお話です。 Fairytale というのはおとぎ話という意味ですね。






ニューヨークの夢 本
酔っぱらってブタ箱に入れられた男は、そこでひととき夢を見る・・・

あのクリスマス・イブの日。 競馬で大穴を当てた男は彼女につぶやく。「俺たちはついていそうだ。 ハッピー・クリスマス。 愛している。俺たちの夢は実現する」 と。

夢の中で女は言う。
「あの寒いクリスマス・イブの日。 あなたは約束してくれた。ブロ-ドウェイが君を待っているって」

誰もがふたりを祝福し、ニューヨークでの成功物語に乾杯の日々。

しかし現実は・・・。
女 「この怠け者のゴロツキ!」
男 「おまえこそヤク中の売女だ! ベッドで横たわって死にそうじゃねぇか!」
女 「卑劣なウジ虫野郎! ケチなおかま! なにが ハッピー・クリスマスだよ!」

(訳者注; これでも表現を柔らかくしています)

そして・・・
男 「俺には別の未来があったはずなのに!」
女 「知り合った時、アンタは私の夢を持っていってしまったのよ! 」
男 「その君の夢を俺は今でも大切に預かっているよ。俺はひとりじゃ何もできない。 君がいなければ夢を持つことさえできないから」

絶望の中でも、本当はふたり 互いを必要としているのでした。そんなお話のクリスマス・ソングです。



みなさま良いクリスマスを! グラサン