レット・イット・ビー 2020!? | Get Up And Go !

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今年1月30日、Apple Corps Ltd. から、ビートルズの新映画製作が発表となりました。 あの日からちょうど50年となる日でした。
50年前の1969年1月30日、ロンドンのアップルビル屋上にて、映画 『LET IT BE』 でのクライマックスシーンとして有名な、あの "ルーフトップ・コンサート” が行われています。

新作映画の内容は、その "ルーフトップ・コンサート" を含む、69年1月2日から31日まで行われた、いわゆる "GET BACK SESSION" の未発表映像を用いてのものとなるようです。

監督は、「ロード・オブ・ザ・リング」 のピーター・ジャクソン。 55時間分の未公開映像と140時間分の音源を使っての制作になるとのこと.。 あの現場の当事者であるポール・マッカートニー、リンゴ・スター、オノ・ヨーコも監修として加わるということです。




『LET IT BE』 (1970)


1970年にマイケル・リンゼイ=ホッグ監督によって、『LET IT BE』 というタイトルで映画化された "GET BACK SESSION" を、違った視点からのドキュメンタリーとして描こうというわけです。 なぜそうする必要があるのか? それはもちろん、もうずっと以前からファンの要望が大きいテーマであるからです。

現在、映画 『LET IT BE』 は、公式作品として観ることが出来ません。 僕は70年代後半に映画館で観ました。 テレビ放映されたこともあるし、80年代にビデオで観た記憶もあるのですが、それもいつしか廃盤となりファンは海賊版で観るしかなかったんですね。 DVDによる商品化の要望が大きい作品なのです。

同時にコアなファンは、膨大な量の未発表映像が存在することも知っていて、「どうせならそれも含めて全部 見せろや!」 っていう状態が長く続いてきました。 だから今回の "GET BACK SESSION" 素材の新しい映画は、ビートルズ・ファンにとっては悲願とも言ってもいいぐらいのものなのです。 映像そのものは、レストアされて驚くほどクリアなものとなるでしょう。 問題は膨大な未発表映像のどの部分の映像を切り取って、どのようにつなげるのか、という事です。 世界中のビートルズ・ファン注目の作品、監督さん責任重大です。




Let It Be (1970)


サウンドトラック・アルバムも新たに制作されるのか。これまでの例から言えば、作られる可能性が大です。 "GET BACK SESSION” という素材を使ってのアルバムはこれまで2枚発売されています。

最初のアルバムは、1970年に映画 『LET IT BE』 のサウンドトラックとしてリリースされたものです。 録音は残したものの、メンバーが出来の悪さにやる気を失い放り投げ、フィル・スペクターにプロデュースを任せてしまった作品です。エコーやコーラスなどの厚化粧が施され、現在では酷評するものもいますが、これまで多くのひとがこの 『LET IT BE』 を当たり前のように受け入れてきた作品です。 70年代、日本のファンには特に人気の高かったアルバムです。



LET IT BE (1970) / LET IT BE . . . NAKED (2003) / GET BACK (bootleg)
ゲット・バック・セッション 3兄弟揃い踏み。

もう一枚は,『LET IT BE ...NAKED』。 フィル・スペクターによって施されたコーラスやストリングスなどによる化粧を取り除き、「すっぴんのレット・イット・ビー」 というコンセプトのもと、2003年に作られたアルバムです。 フィル・スペクターによる化粧を嫌っていたポール・マッカートニーの強力な後押しがあったのでは、と言われています。

「NAKED. . . .裸の」 とは言っても実はそんな単純なものではなく、素材であるマルチトラックのテープをミックスダウンし直し、2003年当時の最新のデジタル補正により音をクリーンアップし、さらに各テイクのいい所をつなぎ合わせて作られた曲で構成されたアルバムです。

ルーフトップの曲などは特に素晴らしく、初めて聴いたときには感動しました。生々しく臨場感があり、ライヴの迫力が伝わってくるような音です。 発売当時、絶賛の声も多く聞きましたが、現在なんだか忘れられたかのような存在であるのが不思議です。




『LET IT BE . . . NAKED』 Trailer


そして3枚目は番外編 『GET BACK』。 フィル・スペクターによる化粧が施される以前の、当時の録音の、ホントの意味での 「裸の. . . .」 に近いのはこの音ではないかと。

グリン・ジョンズという、後にローリング・ストーンズやイーグルスとの仕事で名をあげるエンジニアがミックスしたのですが、あまりに地味でしょぼい音にメンバーが却下。 これによってフィル・スペクターの手に委ねられる結果となったわけです 。 ジョンズによる録音テープはブートレッグとなり、さらに劣化した音で裏流通することとなった悲しきレリビー。 なるがままになってしまった "作品" です。(ノ_<)






初めて映画 『LET IT BE』 を観たときには、「なんだか暗い映画だなぁ」 と思いましたよ。 寒々しいトゥイッケナム・スタジオでの演奏シーンから始まり、途中ジョージ・ハリスンとポール・マッカートニーが口論となるシーンが映し出されたり。 まさに解散ドキュメントといった感じですね。

2003年に『NAKED』が作られたさい、ポールとヨーコが口を揃えて 「あんなに暗い雰囲気ではなかった」といった内容のことをインタビューで言ってました。「あの時代の4人は、確かにそれぞれが違う方向を見始めていた頃だったけれど、そういった所ばかりが強調され過ぎている」 というわけです。 ゆえにその反発から 『NAKED』 は、躍動するようなサウンドのミックスが施されたのではないかと、個人的にはそう思っています。





映画のクライマックスとして、当初はチュニジアの円形劇場でのコンサートが企画されていた、というのは現在よく知られています。 リバプールから大型客船を出し、船上でリハーサルをしてそれも映画に収録し、そして本番のライヴへ。

ポール以外はあまり乗り気でなく、特にジョージ・ハリスンの強硬な反対によってこれはボツ。 代わりに持ち上がったのが、アップルビル屋上でのライヴです。これ、正確には 「公開レコーディング・セッション」 です。 同じ曲を何度も演奏していますからね。

屋上に集まった客たちには (主に業界の知り合い、友達)、ライヴ当日の少し前に 「1月30日、アップルで何か面白いことがあるようだ」 と、噂を流して匂わせていたようです。





機材や客たちの重さに耐えられるようにと屋上には補強がなされ、ビルの地下にはミキサーが設置され屋上とケーブルで結び、エンジニアはグリン・ジョンズが担当する。 ゲリラ・ライヴと言っても用意周到に計画されていたんですね。 もっとも恐れていたのは、ビルに機材などが大量に持ち込まれる際、警察に計画を察知されないようにすること。

ライヴが決まると4人はスイッチが入り、久しぶりのライヴ演奏に向けてリハにも気合いが入っていきます。 やはりビートルズはライヴ・バンドなんですよね。 映画 『LET IT BE』のルーフ・トップ演奏では、ジョンとポールが笑顔で顔を見合わせる場面も映し出されています。

そしてライヴのクライマックスは、警察に向けてポールが 「get back!」 と歌う場面です。 演奏後、ジョンが客達に向けて 「オーディションはどうだった?」 とジョークを飛ばすします。 あの場面であんな軽口。 さすがにジョン・レノンです。 因みにあのジョークには、久しぶりのライヴに対しての「俺たちの演奏まだいける?」 の意味合いもあったようです。

97年に 『アンソロジー』 の映像版が発表された際、ルーフトップの場面で映画では観たことのないアングルの映像にすぐ気づきました。4人の演奏を背後から捉えた映像です。 実際に何台ものカメラが設置され、撮影されていたんですね。 やはり新・『LET IT BE』 では、ルーフトップコンサートが最大の楽しみであるし、期待は膨らむばかりなのです。




Don't Let Me Down
現在唯一の ルーフトップ映像を用いての公式PVです。 レストアされています。このレベルの映像を映画館で観れるわけか!



アルバム 『LET IT BE』 の英国発売は1970年5月8日。同名映画の公開は同年5月20日。来年が50周年となるので、それに合わせての公開となるのではないかと予想しています。 解散50周年でもあるわけだし。

2012年のビートルズ、デビュー50周年から始まった50周年企画も、いよいよ佳境に入った感じです。 どのぐらいの時間に編集して作品化するのか。 なんなら55時間の未公開映像、すべて見せてもらっても構わないんですけどね。(^o^;)








ルーフトップ・コンサート ペーパージオラマ組立キット 1000円也。連休中、軽い気持ちで組み立て始めたんですけどね。 完成まで5時間もかかってしまいました。でも素晴らしいペーパージオラマですよ。(^ε^)♪