マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ! | Get Up And Go !

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マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ! (2017年 イギリス)
(原題: MY GENERATION)

監督: デイヴィッド・バッティ
出演: マイケル・ケイン / デヴィッド・ベイリー / ポール・マッカートニー / ツイッギー / ローリング・ストーンズ / マリー・クヮント / マリアンヌ・フェイスフル / ロジャー・ダルトリー

*渋谷 BUNKAMURA ル・シネマにて現在公開中、全国順次ロードショー公開予定


映画 『マイ・ジェネレーション』 は、60年代にイギリス・ロンドンから発信され、世界の音楽・ファッション・アートに大きな影響を与えた、”スウィンギン・ロンドン” と呼ばれたストリート・カルチャーを、ドキュメンタリーとして描いた作品です。

当時のアーカイブをつないだ映像に、案内役であるマイケル・ケインのナレーションと、ポール・マッカートニー、ロジャー・ダルトリー等 "スウィンギン・ロンドン" 当事者たちの、あの時代をふり返ってのインタビューがかぶさる形で構成されています。






映画の副題に 「ロンドンをぶっとばせ」とあります。 おそらくこれは当時の反逆のイメージ代表・ローリング・ストーンズのヒット曲邦題 「夜をぶっとばせ」 からとったもの。そしてぶっとばす対象である "ロンドン" とは、保守的で階級制度によってがんじがらめになっていた当時のイギリス社会のことだと思われます。

そして 「マイ・ジェネレーション」 は、ご存知 元祖パンクス・ザ・フーのヒット曲からとったものです。この2つのフレーズだけでも、当時の "スウィンギン・シティ" ロンドンの、”俺たちの世代" のエネルギーが描かれた映画であるとわかります。

映画の中では 「ビートルズが階級の壁を破った」 とありますが、ビートルズはリバプール出身なので、これはビートルズの突破のエネルギーと、ロンドンでも起こりつつあった音楽やファツション、アートの新しい動きとが連動したことによるものと考えるべきかも。




THE WHO / My Generation (1965)


映画の中で語られた言葉をまとめると、"スウィンギン・ロンドン" というムーヴメントは、階級社会である保守的なイギリス社会への反発が、巨大なエネルギーとなって生み出された文化。抑圧が新しい物を生み出すパワーの源泉となった、ということのようです。

既存のルールに反抗したファッション・デザイナー、マリー・クヮントは、女性解放の象徴・ミニ・スカートを世に送り出し、それまでのモデルの固定観念を破った小枝のような細い女の子・ツイッギーがそれを身に着け、 "スウィンギン・ロンドン" を代表するカルチャー・アイコンとなります。






雑誌 「VOGUE」 で活躍していた、今や伝説の写真家、デヴィッド・ベイリーは、ビートルズやローリング・ストーンズも写真に収めていて、クリエイターたちがジャンルを超えて刺激し合っていた、当時のロンドンの様子が目に浮かぶようです。

この指摘は多くあるようですが、僕もビートルズの成功が大きかったのだと思いますね。 リヴァプール出身の労働者階級の若者たちが、リヴァプール訛りの英語を隠そうともせずに成功したことが、ロンドンに自由の風が吹き込むための風穴を開けたのではないかと。他の労働者階級の若者たちにも勇気を与え、精神を解放したのではないかと。




THE BEATLES / Starawberry Fields Forever (1966)


3つの幕で構成されたこの映画の第3幕では、60年代末の薬物所持によるドノヴァンの逮捕劇や、キース・リチャーズの家宅捜索、ミックの薬物使用有罪判決の場面が映し出されます。

花開いた自由な文化を、「最近の若い奴らは」 とずっと苦々しく思っていた体制側の反撃もきちんと描かれていて、この部分でドキュメンタリーに長く携わってきたというデイヴィッド・バッティが信頼に値する監督であることがわかります。




DONOVAN / Sunshine Superman (1966)


ビートルズをはじめ、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、キンクス 等、ブリテッシュ・インヴェンションと言われ世界を席巻した、60年代のイギリスのロックが好きな方には、当時の彼等の背景や周囲の状況も見えて、また違った聴き方も出来るようになるかも知れません。

映画の背景には、ビートルズやストーンズをはじめ、60年代のヒット曲がふんだんに使用されています。 お薦めします。





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マリー・クヮントのファーコート

SWINGIN' LONDON ...collaged by やん