ロンドン・コーリング | Get Up And Go !

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『ロンドン・コーリング (LONDON CALLING)』 は、ザ・クラッシュ3枚目のアルバムとして、1979年12月14日にイギリスでリリース (アメリカでは翌80年1月)。 それまで 「パンクの教祖」 的存在であったクラッシュが、そこからの決別を宣言したかのような内容を持った、そして現在ではロック史に残る名盤として必ず語られるアルバムです。 客観的事実として、米音楽雑誌 「ローリング・ストーン」 で、80年代ベスト・アルバムに選出されています。

76年のセックス・ピストルズ登場とともにパンク・ムーヴメントが到来。 そのピストルズに衝撃を受けたジョー・ストラマーは、ギターのミック・ジョーンズ等と共にクラッシュを結成。 当初は、ストレートな3コード・ガレージ・ロックであったバンドはわずか3年で、パンク・キッズから裏切り者呼ばわりされるほどに進化した、豊潤なロック・アルバムを作り上げてしまいます。

イギリスでのパンク・ムーヴメントのピークは76年~77年であったそうですが、東京でパンク・バンドがボチボチと登場し始めたのは79年ぐらいからであったでしょうか。 やや遅れているんですね。 そして『ロンドン・コーリング』 のような、レゲエやスカ、R&B、ファンク等、何でものみ込んでしまう雑食音楽としてのロックを追求したアルバムは、日本にも登場したパンク・バンドたちにとってもひとつの道しるべのような存在となったアルバムだと思うのです。 「パンクスからスタートしても、こういう方向に進んで行ってもいいんだ」 というね。






LONDON CALLING
この曲を初めて聴いたときは、それまでに聴いたことのない前へと前へと突き進むようなビートに斬新さを感じたのを憶えています。 レゲエを基調にしたザクザクと鋭く刻むギター・カッティングに興奮を覚えたんですね。

この曲でジョー・ストラマーは、ロンドン発のメッセージとして "もう俺たちには頼るな" と、パンクスに向け歌っているんですね。 そして "ビートルマニアの時代はもう終わったんだ" とも歌っています。 つまりは、"もう誰かを崇拝することなどやめろ" と言っているわけです。

パンク・ロックに幻想を抱いている少年少女たちに向けて "ロンドンに来たっていいことなんかないぞ" と。 世界の現実に目を向けて、自分自身の考えで生きていけ、と歌っているのです。 突き放すことも優しさであることなど、若い人間にはなかなか理解はされないでしょう。 当然 「ジョーは俺たちを裏切った」 と思う人間もいるわけで。

義理人情に厚く誠実であった人柄が伝えられているジョー・ストラマーですが、繊細な部分もあったそうなので、「世代の代弁者であることに重荷を感じていた」 という周囲の人間たちの証言も、また本当なのだと思います。




Spanish Bombs


アルバム 『ロンドン・コーリング』 は、全体の印象としてとてもポップです。 とは言え、そこで歌われているのは、極右政治家のことであったり、薬物中毒のことであったり、原発事故のことであったりと、幅広いテーマを持ちながらその多くは反商業的な内容を持っていて、パンクの精神が失われた、というわけでもないのです。

僕自身は、原初的なエネルギーを持ったファースト・アルバム 『白い暴動 (THE CLASH)』 も好きですが、ロック・アルバムの名盤として現在も頻繁に聴くのは 『ロンドン・コーリング』 ですかね。 歌詞が直接的には伝わってこない洋楽アルバムとして、ずっと聴き続けてきたアルバムです。




Wrong 'Em Boyo


12月22日は、ジョー・ストラマーの命日に当たります。 突然の心臓発作で亡くなってから、今年で15年ということになります。 50歳で亡くなったので、生きていればまだまだ現役で音楽を続けていたでしょう。 クラッシュ解散後は試行錯誤の音楽活動を続けていましたが、晩年は充実した活動であったというし元気だったのです。

常にステージは全力投球。 ファンの乱入さえ歓迎するほどに、いつもファンとの一体化望んでいたというジョー・ストラマーの残した言葉 「友達がいてこその人生だ」 は、特に印象に残っています。 クラッシュのドラマー、トッパー・ヒードンの語った言葉 「ジョーは正直者で、あいつが 「支えてやる」 と言ってくれれば、100%それを信じていいいのさ」 は、ジョー・ストラマーの誠実な人柄を表わしています。

何よりも2002年11月にミック・ジョーンズと再会し、ステージ上で共演したということに救いを感じます。