
『 ~ワンダーランドの映画作家~ 大林宣彦映画祭 2017 』 に、初日である9月3日に行ってきました。 現在、池袋新文芸坐にて開催中です。 その日 上映されたのは『可愛い悪魔』 (1982 TV作品) と 『異人たちとの夏』 (1988) の2本。
尾道を舞台にした3部作 『転校生』 『時をかける少女』 『さびしんぼう』、をはじめ、ヒット作・名作の多い大林監督作品の中にあって、大人のファンタジー 『異人たちとの夏』 もまた、忘れがたき作品のひとつです。
今回はその 『異人たちとの夏』 について。 また、この日上映された2本ともに出演された秋吉久美子さんのトークショーも上映後に行われたので、そちらについても触れながら。
新文芸坐・サイト http://www.shin-bungeiza.com/
ストーリーについては、アメブロの人気映画ブログ 『ゆうべ見た映画』 の過去記事の中に素敵な記事が残されていて、ジャスミン眞理子さんにお許し願ってリブログさせてもらったので、そちらにおまかせしたいと思います。 ジャスミンさんの記事はどれも素敵ですが、とりわけ 『異人たちとの夏』 の世界観と、ジャスミンさんの作風とはとても相性が良いように思えます。
尚 ジャスミンさん、昨年そちらのブログを本として出版され 『異人たちとの夏』 は、ページの最後を飾る形で掲載されています。 鶴太郎さんにも読んでいただき、手紙で返事もいただいたようですよ。
この映画が現在でも多くの人に愛されているのは、何と言っても風間杜夫さん、片岡鶴太郎さん、秋吉久美子さんが演じた、あたたかい雰囲気に満ちた下町の親子のシーンによるところが大きいでしょう。
映画の中では、息子(風間杜夫) は両親の亡くなった時の年齢を超えてしまっているのですが、12歳のままの息子にかえって両親に甘えるんですね。 心が温かくなり、涙がジワーっと出てくる場面なのです。
ほんと3人の演技がとても素晴らしいんですねぇ。 これはトークショーで秋吉さんが仰っていたことですが、鶴太郎さんは当初 「自分なんかでいいんですかねえ」 と役者としては大先輩の秋吉さんに相談したこともあったそうで、「そのままで演じればいいのよ」 と、答えたのだそうです。
もともと大林監督も、鶴太郎さんの天然の江戸弁を評価しての抜擢だったようです。 「よぉ、来てたのか!」 とか 「あったりめぇよ!」 とか 「おう、なに遠慮してんだ!」 とか、ぶっきらぼうだけれどカッコ良くて、でもやさしさも感じる江戸っ子ぶりが、まったくの自然体で素晴らしいのです。
また秋吉さんの下町のお母さんぶりも見事です。 女優としてそれまでのイメージと違ってはいても、もう撮影初日に監督の意図するところをつかんでしまったのだそうです。これは大林監督も仰っていました。
撮影期間中、3人は親子のように親友のように仲良くなり、映画の中の世界そのままに楽しくて幸せなときを過ごしたと。 これも秋吉久美子さん本人が言っていたことです。
実は、この日大林監督自身も館内にいらっしゃっていて、途中からトークショーへの参加となったのです。 ご存知かと思いますが、監督は現在肺がんで闘病中です。 昨年、一時は余命3カ月とも告げられたのですが劇的に回復し、今年 新作 『花筐 / HANAGATAMI』 も完成され、この12月からの公開が予定されています。 今回の特集上映は、その新作映画の完成記念という意味でもあるわけです
快復したとは言え、この日は健康状態を考慮して舞台には上がらず、客席からのマイクにてのトークショー参加となりました。撮影現場では怒鳴ったり詰めたりすることが一切ないという監督ですが、この日もあの穏やかな語り口の大林監督でした。 「久美ちゃん」 と優しく語る口調が印象に残っています。
そしてお話の最後にマイクを通さずに生の声で 「よーい、スタート!」 のかけ声。 これは私たちへの何よりのプレゼントとなりました。 秋吉久美子さんもしばらく言葉を失い口元をおさえていました。
館内に響く監督の声は、同じ時間・空間を共有した私たちにとっての、夏の終わりに訪れた特別な瞬間としてずっと忘れることはないでしょう。
【age・69】映画ブログ ゆうべ見た映画 懐かしい邦画編/ブイツーソリューション

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