オン・ザ・ロード | Get Up And Go !

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ON THE ROAD / オン・ザ・ロード (1982年 ジョイパック・フィルム)    
● 監督 和泉聖治
○ 出演 渡辺裕之 / 藤島くみ / 秋川リサ / 室田日出男 / 山田辰夫 他



浜田省吾の 「ON THE ROAD」 じゃないですよ。 残念でした べーっだ! ジャック・ケルアックの 「ON THE ROAD」 でもありませんよ~ にひひ
1982年公開の日本映画 『オン・ザ・ロード』 です。 現在、横浜のシネマノヴェチェントにてリバイバル上映中のこの映画、先日 横浜まで遠征して観てきました。 最高に面白い映画、そしていい映画です。


ストーリー 映画 (ネタバレ注意)
白バイ警官の富島哲郎 (渡辺裕之) は、飲酒運転車を追跡中、スクーターを引っかけてしまう。 署に戻った哲郎は上司から 「ただの骨折だから心配するな」 と告げられ、「謝りに行かれちゃ警察のせいにされてしまう」 と、見舞いには行かないよう諭される。

三か月後・・・。 哲郎は、ケガを負った比嘉礼子 (藤島くみ) という女性がファッション・モデルであり、ケガがもとで歩行障害が残り、そのためにモデルを断念したことを知る。

謝罪をするため礼子のアパートを訪れた哲郎は、「あなたのせいでびっこになったのよ。帰って」 と激しくなじられる。 体にも心にも深い傷を負った礼子は、姉とともに故郷の沖縄に戻ることを決心。 姉・さち子の運転する車で、陸路 鹿児島に向かうことに・・・。傷を癒し、過去を振り切るための旅であった。

哲郎が再び礼子のアパートを訪ねたとき、彼女は旅に出た直後であった。 哲郎は白バイ警官の制服のままバイクにまたがり、首都高速に乗り彼女たちの車を追う。 東京~名古屋~大阪~広島~下関~鹿児島。 再び礼子に謝罪するために。

警察内部で、哲郎が勤務放棄して行方知れずであることがわかると、「世間に知られる前に解決しろ」 と、警察をあげての大追跡となっていく。




カチンコ (さらにネタバレ注意!)
青春映画ではあるのですが、ロードムービー仕立てになっているのがこの映画の面白さです。 組織防衛のため 「被害者には謝罪に行くな」 という上司に反発して、主人公は自分の思いのままにバイクで突っ走り彼女を追うのですが、その姿には爽快さを感じます。

途中、警察無線を盗聴していたガソリンスタンドの息子でバイクマニアのみのるという男が、富島のファンだと言って登場します。この場面は爆笑の場面なのですが、「あのひとはイージーライダーだ」 なんて言うのです。 確かに 『イージーライダー』 を思わせる、自由を求めての疾走、を感じさせたりもします。

事件が世間に発覚してからは 「ラジオで聴いたよ、頑張ってください!」 なんて言うファンたちが、富島のバイクの後ろについて走る場面もありますが、やはり好きな場面です。



『イージーライダー』 と言えば、ピーター・フォンダはこの映画を観たようで、「80年代のロミオとジュリエットだ」 と言って称賛したそうです。 この映画は純愛映画でもあるんですね。 主役の渡辺裕之さんと藤島くみさんは、この作品が映画デビューの新人で演技には初々しさも感じさせるのですが、純愛映画としてはそれがプラスに働いているように思います。

はじめは哲郎を憎み激しくなじっていた礼子も、警察官としての将来も考えず、自分を追ってくる哲郎を見て次第に気持ちが変化していきます。 きっと、はじめて自分と真剣に向き合ってくれた人だったのでしょうね。 鹿児島に着くころには、「私は立ち直れるかも知れない」 なんてセリフまで言わせてしまうのです。

そしてラスト。 力尽きて倒れた哲郎を、今度は逆に礼子が泣きながら追っていく場面で映画は幕となります。




監督は、『相棒』 のヒットで多くのひとに知られることとなった和泉聖治監督。 それまでピンク映画で腕を磨いてきた氏の、一般映画デビュー作であり、現在は日本のロード・ムービー映画の傑作として、隠れたファンを多く持つ作品となっています。

この映画を初めて観たのは、映画公開の82年から1、2年経った頃、深夜枠でのテレビ放映時でした。 それ以来ずっと、もう一度観たいと思っていた映画です。VHS時代にビデオ発売されたこともあったらしいのですがDVD化はされておらず、今回 横浜の映画館シネマノヴェチェントが企画しての独占リバイバル上映という運びとなりました。 しかも35ミリフィルム・ニュープリントによる、ピカピカの映像で甦ったのです。 まさかこの映画をスクリーンで観れる日が来るとは思っていませんでした。 ただ感謝、そして拍手です。


シネマノヴェチェントについて
横浜西区にある、座席数28の日本一小さな映画館です。 とは言え、映写設備は整い綺麗で見やすい造りとなっています。 試写室で見ているような贅沢な気分にもなります。 座席はかつて吉祥寺にあったミニシアター、バウスシアター のものを譲り受けたそうで、僕としては 「おまえらここで生きておったのか~!」 と思わず座席を見つめ涙ぐんでしまいました (/_;)。

上映作についてのトークショーやサイン会も行われているようで、近くの方、あるいは少しぐらい遠くの方であっても、一度足を運んでみることをすすめます。
尚、『オン・ザ・ロード』 は、途中休映日もありますが今年12月31日までのロングラン上映。 とてもいい映画なので、興味を持たれた方には強くすすめます ('-^*)/

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