ギター・ヒーロー! ロリー・ギャラガー | Get Up And Go !

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6月14日は、アイルランドが生んだ偉大なギタリスト、ロリー・ギャラガーの命日。 そして今年は没後20周年ということになります。 そんなわけで今回は、僕の最も敬愛するギタリストであるロリー・ギャラガーについて。 少し長くなりますが読んでくださいね。 聴いてくださいね。 ( ^-゚)v

「あなたのギター・ヒーローは誰?」 と問われたら、「ロリー・ギャラガー!」 と、昔も今も即答しています。 「あれ? クラプトンじゃなかったっけ」 という声がどこかから聞こえてきそうですが、確かに最もライヴに行ったアーチストはエリック・クラプトンです。 87年の来日公演に初めて行って以来、来日のたび2~3回は行ってるので、20回以上行ってるはずです。 バカですよね、 数こなせば、クラプトンと同じに弾けると思ってたんですからね。

でもね、ただ一度しか行ってないロリー・ギャラガーこそが、僕にとっての憧れ、ギター・ヒーローなんですよ。髪形や服装まで真似たギタリストってロリーだけ。 確かにクラプトンはギターを始めた中学生以来、最もギター教材としてコピーしたギタリストであったし、尊敬もしています。

でもね、これは言葉では上手く表せないのだけれど、ロリーのギターや歌って理屈を超えたところでグッと心に入ってくるんですよ。 尊敬もしているんだけれど、愛すべき存在というか。




RORY GALLAGHER / Messin' With The Kid
こういったスカスカのサウンドのカッコ良さって、今どきのロック・ファンにはわかってもらえないんだろうなぁ。 静寂(すき間)があるからこそ、音を発した瞬間のギターが抜群の切れ味を持って・・・。


実直、真摯、情熱、そして繊細、優しさ . . 。People's Guitarist(民衆のギタリスト)と言われたロリー・ギャラガーを表す言葉としては、まずそういった言葉が並びます。 巷にあふれる 「魂の・・・」 というキャッチ・コピーも、本来はロリー・ギャラガーのようなアーチストにこそ相応しい表現であると思います。

でもそんなロリー・ギャラガーも,70年代のロック・ギタリスト全盛の時代においてさえ、日本での人気はいまひとつであったと記憶しています。 ベック、クラプトン、ペイジにリッチー・ブラックモア・・・ 人気の順列としてはそれより以降のものでした。 72年にはイギリスの音楽誌 「メロディ・メーカー」 で、クラプトンを抑えてギタリスト部門の1位になったこともあるほどの実力の持ち主であるというのに。

極端にシングル・カットを嫌った(ゆえにヒット曲もない) という頑固さや、アメリカでのアルバム発売の際には、アメリカナイズされた音を拒否したこともあったというロリーの不器用さが災いしたというのもあったでしょう。 「不器用」 という表現を使いましたが、それこそがロリーが生涯ほとんど変わらぬスタイルで音楽を作り続けることのできた要因であり、また現在でもファンから愛されている理由のひとつなのですが。




RORY GALLAGHER / Too Much Alcohol
ギターはリゾネーター、30年製ナショナル・トライオリアン。 こういったスタイルでのブルーズは、 上手いだけではなく雰囲気のあるひとじゃないとダサくなってしまうんですよ。


70年代中頃から猛威をふるったパンクの嵐に吹き飛ばされ、80年代はほとんど忘れ去られた存在であったロリー・ギャラガーでしたが (もうほんとに過去の人でした)、80年代末に輸入盤店に突然と言った感じでロリーの新譜が置かれ、イギリスの音楽雑誌の「昔とほとんど変わらないスタイルで地道に活動を続けている」 といった記事を読んだとき、その時からが、僕にとってはロリー・ギャラガーの音楽との本当の意味での邂逅であったように思います。

カラフルな音楽にあふれた80年代にあっても、音楽のスタイルを変えることなく続けていてくれたことが嬉しかったんですね。 脱皮を繰り返し、変化を続けていくことがアーチストの姿なのかも知れませんが、変わらぬこともまた尊いことだと思うのです。

ところで、ロリーがローリング・ストーンズからのメンバー加入の誘いを断ったのは有名な話ですが、ネガティブな理由からではなく、70年代半ば絶頂期にあったロリーのツアー・スケジュールは先まで埋まっていて、それをキャンセルしてまでストーンズに参加することはできなかった、と言うのが真相のようです。 実際、70年代のインタビュー記事を読むと、ストーンズの音楽に対しては好意的ですからね。

それにしても、もしロリー・ギャラガーが一枚だけでもいいからストーンズのアルバムに参加していたとしたら、どんなアルバムになっていただろうか、と想像してしまいます。 ロリーはキース・リチャーズのドライヴの効いたコード・ワークを評価していただけに、ふたりのギターは面白い絡みを見せたのではないかと想像してしまうのです。




RORY GALLAGHER / Crest Of A Wave
ロリー・ギャラガーと言えば、あの塗装の剥げ落ちたボロボロのストラトですが、テレキャスターも似合います。同時代の白人プレイヤーの中では、デュアン・オールマン、ジョニー・ウィンター等と並ぶスライド・ギターの名手。 痺れる !


Million Miles Away (100万マイルも離れて)
ロリー・ギャラガーと言えばまずブルース。 それに間違いはないのだけれど、アイルランド人であるロリーの作るメロディには独特の哀愁があり、またジャズやカントリーからの影響も感じさせるソングライティングは幅の広いもの。 ロック・チューンには意外なほどポップな曲もあります。

「Million Miles Away / 100万マイル離れて」 は、ロリーの繊細さ、心の奥深さを感じさせるバラード・ナンバーです。 ソングライターとしての能力の高さを感じます。ロリーの曲の中でもとりわけ多くのファンに愛されている曲であり、また同業者でもあるアーチスト仲間からも好まれている曲なのだそうです。

おそらくは、長いツアーの最中、故郷や家族を離れブルーな気分で酒場で飲む風景を思わせる歌詞が、旅から旅のミュージシャンたちの心情と重なる部分があるのではないかと思います。




RORY GALLAGHER / Million Miles Away
ストラト・ファンの皆さん! この音こそがオールド・ストラトキャスターの音ですよ。 そして最も美しい音色を持ったこの音こそが、僕の中ではストラトキャスターの音そのものなのです。 それにしても名曲だなぁ。


ロリー・ギャラガーはイギリス人ではなくアイルランド人です。ずっと以前、友人の紹介で、ロック・アーチストのインタビューの通訳をされ、また最近では翻訳もされている、そして元ロリー・ギャラガー・ファン・クラブの会長(!)でもある 前むつみさんと話をする機会を得て、ロリーの人となりについて伺ったことがあります。

とてもまじめでギターを片時も離さないようなひとだったそうです。 ツアーの移動で、ギターだけ先に会場に運搬されてしまったときなど、「今日は手もとにギターがなくてさびしいんだ」 とロリーが言っていたという話を聞いたとき、自分の中のロリー・ギャラガー像とほとんど変わらない感触を持ちました。ロリー・ギャラガーって、アイリッシュの特徴である質実さや頑固さを持ち続け、それを音楽の中で純粋に形にしたひとだと思うのです。


91年2月24日 東京郵便貯金ホール。4度目の来日公演となったこの日が、日本での最後のライヴとなりました。ステージには、ブルースを真摯に歌い、ステージを動き回ってロックするロリーの姿がありました。 叫びたい気持ちを抑えることができませんでした。

そこには確かにロリー・ギャラガーがいた! 間に合った!

1995年6月14日、47歳の若さでロリー・ギャラガーは永眠しました。






William Rory Gallagher。。。。。。。。
Mar 5 1948 - June 14 1995。。。。。。。。











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