ビートリッシュ・ポップ! #7 | Get Up And Go !

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音楽を中心に、映画、文芸、スポーツ など・・・。

より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ








そしてあらゆることが可能になる
愛の種をまいている時には
不可能なことなどない
愛の種をまいていれば

And anything is possible
When you're Sowing the Seeds Of Love
Anything is possible
Sowing the Seeds Of Love



ティアーズ・フォー・フィアーズ / Tears For Fears ヒマワリ 
『シーズ・オブ・ラヴ / The Sowing The Seeds Of Love』 (1989)



今回は、1989年に全米2位 全英5位を記録したティアーズ・フォー・フィアーズ(TFF)のヒット曲 「シーズ・オブ・ラヴ」を。TFFは80年代にイギリス・アメリカだけでなく、世界中でいくつものヒット曲を出した80年代を代表するグループのひとつです。

イギリスのバースで育ったローランド・オーザバルとカート・スミスの2人は、1981年にTFFを結成。83年のデビュー・アルバム 『THE HURTING』 は、シンセサイザーを多用したニューウェイヴといった括りをされてはいましたが、繊細で知的な印象もある彼らの音は、同時代の他のエレクトロ・ポップとはまた違う温かさも感じさせるものでした。

85年の 2nd・アルバム 『SONGS FOR THE BIG CHAIR』ではゴスペルやソウル・ミュージックを取り込みはしますが、曲調にはポップでキャッチーな面もあったため、「シャウト」や「ルール・ザ・ワールド」といった大ヒット・シングルも生まれ、このあたりがTFFの人気のピーク。80年代・ポップスが好きな方は皆さんご存知かと思います。

そして約4年のブランクの後に発表されたのが、アルバム『THE SEEDS OF LOVE』です。






その4年のあいだにはふたりの不仲が表面化したり、世界的な成功による反動などいろいろとあったようです。彼等にしてみたら、最後にもう一度すべてを出し尽くしてアルバムを制作したといことなのでしょう。

TFFのアルバムでは最もよく聴いたアルバムです。何よりも好きだった曲はやはり 「シーズ・オブ・ラヴ」です。当時この曲は「ビートルズの80年代的解釈」なんて言われていたのを思い出します。ビートルズからの影響が色濃く反映された曲です。

ビートルズの曲調やサウンド面だけを似せて作られた曲というのは今も昔も多くありますが、この曲がTFFらしいと思うのは、60年代のビートルズに象徴される楽天的な精神性(愛と平和)をも継承しようという姿勢と、それをメッセージとして発信しようとした生真面目さです。

サイケデリックなジャケット・デザインと、『サージェント・ペパー』を作っていた頃のビートルズを思い起こさせるサウンドと曲調。そしてPVの出来がまた素晴らしいのです。このPV、当時公式にTFFのクリップ集としてビデオが商品化されたのですが、この曲のPVばかりを何度も見ました。情操教育に良い映像だ、とどこかの評論に書かれていましたが「なるほど!」とうなずけるような、自分の感覚を良い意味で拡大させてくれるような感じを覚えるのです。

なんだか60年代のドラック・カルチャーの事を書いているように思われるかもしれませんね。そう言えばPVの冒頭で、岩に掘られた顔の額部分が扉となってパカッと開く場面があるのですが、自らが実験した幻覚剤の体験を記したオルダス・ハクスリーの著書 『知覚の扉』 をどうしても思い出してしまいます。

このPV、昨年秋にVEVOさんがクリーン・アップされたオフィシャル映像をアップしてくれました。これはお薦めですね。
ラブ







TFFのふたりは90年代に分裂したものの、2003年に再結成。現在も精力的に活動しているようです。
2004年に、『EVERYBODY LOVES A HAPPY ENDING』 というビートルズのエッセンスを積極的に取り入れたアルバムを発表しています。



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EVERYBODY LOVES A HAPPY ENDING (2004)