矢樹純『夫の骨』 | キムチの備忘録♪

キムチの備忘録♪

旅行・映画・本・食レポ・海外ドラマなど…
とりとめのない趣味ブログです。

今年1冊目、読んだ本の感想です本

 

昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰の子のものなのか。猜疑心に囚われた私は……(『夫の骨』)。

家族の“軋み”を鋭く捉えた九編。

(文庫本裏表紙より)

 

こちらは短編集です。本屋で帯に興味を惹かれて買いました。

矢樹純さんの著書は今回が初めて。

『夫の骨』(表題作)の他、

『朽ちない花』

『柔らかな背』

『ひずんだ鏡』

『絵馬の赦し』

『虚ろの檻』

『鼠の家』

『ダムの底』

『かけがえのないあなた』

の9つの短編で構成されています。

 

この短編はどれも家族間の“歪み(ひずみ)”について描かれています。

そしてどのお話にもあっと驚くオチが待っています。

文体は読みやすかったです。サクサク読めました。

しかし、短いながらもなかなか読み応えがありました!

後味爽やかではない話が多かったですが、いろいろ考えさせられるものがありました。

家族とは。どんなに厄介でもいびつでも一生切り離すことができないもの。そして形は違えど絆が存在し、それを守ろうとするものである。

 

じめっとした話やイヤミスがお好きな方にお勧めです。