エメラルド・フェネル監督の新作を映画館で観てきました。
長編1作目にして話題だった「プロミシング・ヤング・ウーマン」の
次の作品ということで注目を集めましたが、
批評家からの評判はイマイチみたいです。
ですが、エンタメとして大変面白く、私はすごく楽しめました。
割と大規模公開でロングランなので、お客さんはちゃんと入っているようです。
ロザムンド・パイクとバリー・キオガン(日本語だとコーガンと表記)の演技が
評価されています。
主人公は、オックスフォード大に入ったオリバー。
お金持ちでイケてる集団の中心にいるフェリックスが気になるようです。
はじめは冴えない友人と一緒に学業に専念するオリバーですが、
ある時 フェリックスに話しかけ、徐々に親しくなっていきます。
フェリックス役はジェイコブ・エロルディ。
描きたかったテーマが何なのかは分かりかねますが、
特権階級の人たちの生活や振る舞い、快適な暮らしを楽しみながらも感じる虚無感、
それを羨望の眼差しで見つめる持たざる者との関わりが描かれています。
本当にお金持ちはしょっちゅうパーティーをしてるのか?
当然ドラックもやっちゃってるのか?
オックスフォード大の学生でも、こんな立派な家に住んでいる人は多くないでしょうし、
バリー・キオガンのような人もいないはずなので、
その点現実感がなく、イギリスのお金持ちのお家を堪能し、
ハッチャケた気分が味わえ、なぜか漂う不気味な感じにハラハラできる作品です。
この映画でもある通り、生きている世界が違っていても、
時間を共に過ごし、心を通わせことはできるわけで。
そういった異文化交流ものとして観ていたのですが。
えっ、途中からとんでもない展開に。
最近大活躍のバリー・キオガンがオックスフォード大の学生ってだけで、興味が沸きます。
ロザムンド・パイクとキャリー・マリガンの共演もうれしい限り。
2009年の「17歳の肖像」では、
うら若きキャリー・マリガンをたぶらかす華麗な悪役がロザムンド・パイクでした。
ネタばれ厳禁の映画ですので、なるべく情報入れずに鑑賞を。
裸やセクシュアルなシーンがいくつかあります。
日本の映画館だとぼかし入れられるんですかね。
だとしたら興ざめ。アマゾンプライムの配信でも観られるようです。
****ここから少しネタバレ、鑑賞後に読んでください****
予告編を見ただけだったので、ホラーなのかなーとビクビクしておりました。
が、予想とは違った怖さでしたね。
で、結局はバリー・キオガンだった。
「聖なる鹿殺し キリング・オブ・セイクリッド・ディア」並みの怖さをみせてます。
今回は随分お行儀よくしていますが、それが怖い。時折見せる激しさが怖いです。
高い階級の人には、彼らなりのマナーというものがあると思います。
ある意味、感情に溺れる者は負け的な厳しさ。
フェリックスの親は、自分の子供に対しても感情的にはならないので、
子供は寂しさを感じています。大変なことが起こっても、取り乱したりはしません。
その徹底ぶりが、むしろ怖い。執事さんもプロフェッショナル過ぎて怖い。
なぜオリバーはあんな事をしたのか。なぜ嘘をつくのか。
相手を喜ばすことで得るものは多々あるでしょうが、嘘はダメです。信頼を失くします。
こういうことって子供時代に学ぶだろうにねー。
オリバーの夢を叶える実行力がハンパないし、親や友達を躊躇なく捨てる潔さ、
人を操る賢さ等、諸々すごい。
でもそのために、上流階級の人が不幸になって、
観客の気分もすっきりするっていうのも何か違うし。
夢の生活のようでも、彼らなりの現実を生きている苦悩はちゃんと描かれているわけで。
なので、作品としてエンタメにはなっても、
それ以上の広がりが得られる作品ではないのかなとは思いました。
面白かったけど。
終わり方が印象的。バリー・キオガン、まだまだ活躍しそう。