アキ・カウリスマキの新作。
引退からの復帰作だそうです。引退していたの知らなかった。
アキの作品は、大好き。
短いし、セリフも少ないし、とても見やすくて、とても楽しい。
市内の小さなアートハウス系映画館に行ったら、土日はなんと完売でした。
日本でもこの作品、人気があるようですね。うれしいです。
イギリスの批評家たちが2023年のベスト10に選んでいたり、
フランスのカイエ・デュ・シネマで5位にランクインしたり、
ゴールデン・グローブ賞で非英語映画賞と主演女優にノミネートされたり、
とても驚いています。
依然と変わらない作りなのに、なぜ今評価されるのでしょうか。
時代がアキに追いついたとか?
始めのショットからクスクス笑ってしまいました。
アキの映画には様式美のようなものがあります。
セリフのおかしみも、いつも通りだし、女性がしっかりしているのも、いつも通り。
主人公たちが貧乏そうなのも、音楽の使い方も、いつも通り。
時事ネタを放り込むのも、よくあることだし、もちろん犬も登場します。
アキ・カウリスマキの世界は、静かで美しく、とても安心で、心地よい。
今回は映画館や、映画のシーン、ポスターが出てくるので、
映画への愛も同時に感じることができます。
私はすっかり入り込んで、映画館で2度ほど「あっ」と声を出してしまいました。
観た人なら、どこで声を出したか、分かると思います。
なんか観るほうも素直になれる。
今回の俳優さんはフィンランドを代表するアルマ・ポウスティさんとユッシ・ヴァタネンさん。
アルマさんは、ムーミンの原作者を映画にした「TOVEトーベ」に主演していた人ですね。
彼女によって、アキの作品がアップデートされた感があるのかもしれません。
常連の主演女優さん、カティ・オウティネンさんは、もうそれなりのお年ですから。
カティさん、いい味出していたのに、大衆の人気を得るという点では、
ちょっと地味過ぎたんでしょうか。
監督のファンはもちろん楽しめますが、
今までアキ・カウリスマキの映画を観たことがない人にもお勧めの映画です。
クスクス笑うポイントが沢山あるので、これにハマる人には、癖になる監督さんです。
監督のカンヌでのインタビューを見ました。
相変わらず酔っぱらっていて、ふざけたおじさんです。
健康に気を使って長生きしてもらいたいと切に願います。