長い間、おつきあいくださりありがとうございました (*^▽^*)


まさかこんなに長くなるとも思わず我ながらびっくりです。

随分、自分の思い描いていたものと違ってしまったし、106話のキョーコの気持ちが上手く書けなくて私の考えていたことが通じているのか不安ですがアップしてしまった以上、皆さんのされた解釈でいいかなと思っている自分もいます。





本当はですね、スマイリーもジェーンもウィルも敵役にしようと思っていたんです。だから、最初は『親戚連中』だったんですけど、無理でした。そうしたら片っ端からやっつけなきゃいけなくなりそうだからスレイドだけが敵役になっちゃいました。


あっ、ウィルとジェーンの間には男の子が一人います。15歳くらいかしら?本当はパパラッチに追われたあたりで出したかったのに上手く出せませんでした。そんなわけで『コンラッド』の後継ぎはちゃんといますし、コンラッド家は幸せです。


それとミランダ。名前はダイアナにすればよかったなぁ。そうすれば「月」にかかってたのに、失敗!



「WOUNDED MOON」はハーレクインのパクリです。

読んでて『オヤッ』って思った方いらしたのでは?

ハーレってパターンが決まっているんです。具体的にこの話というのはないのですが、いくつかのパターンが混ざっています。

若いころはハーレなんてオールドミスの夢物語ってバカにしてたんですけど。読んでみるとすぐ読み終わるし、ハピエンだし。これがハピエン?と思うものも、劇的過ぎて何年かしたら離婚でしょうって思うものもありますけど、とりあえずハピエンです。小説もコミックも好きです。よかったら読んでみてください。蓮(久遠)とキョーコに置き換えるのもおすすめです。


婚約指輪はプリンセスローザでつくったエタニティリングです。後ろに何か文字をいれようかと思ったんですけど浮かびませんでしたね。しいて言えば『K to K』でしょうか?『久遠からキョーコへ...』

『...』は全てです。愛とか友情とか全部。だから文字はなしです。


コメントくださった方々、

皆様のコメのお蔭でここまでたどりつけました。

本当に感謝です。ありがとうございました。






どのくらい久遠に抱きしめられていたのか、キョーコはレストランから聞こえる喧騒で我に返った。


「あ、あの、みんないます。離してください。」

「やだ。」

「そんな、恥ずかしいです。」

キョーコは久遠の胸を押すがビクともしない。

「俺のことキライ?」

「こんな恥ずかしい思いをさせる久遠さんはキライです。」

「このくらいなんでもないよ。皆の前でベッドをともにしたじゃないか。」

「あっ、あれはお芝居です!とにかく離して!」

キョーコの声音に本気を感じ取り、これ以上はからかえないと判断し久遠は渋々離れた。

「離してあげるけど、これはずっとしていてね?」

久遠がキョーコの左手をとり薬指をさする。改めてキョーコが自分の手を見るとそこには小ぶりのプリンセスローザが一文字に並んだリングがあった。

「これは?」

「ん?婚約指輪。」

「!一体いつから用意していたんですか?!」

「いつだっけかな?撮影の途中くらい?ぎゃふんと思ってしまったから。」

キョーコは久遠の先走った行動にため息をつく。

「私がYESと言わなかったらどうするんですか?」

「言うまであきらめないよ?」

キョーコはまたしてもため息をつくが久遠は上機嫌でニコニコしている。


「プリンセスローザですよね?」

「うん。ダイヤがいい?それならダイヤも用意するよ?」

「『も』ってどういう意味ですか!普通、婚約指輪は一つです。それにマルコさんがプリンセスローザはなかなか手に入らないって言ってました。これって恐ろしく『0』がつくのでは?」

「そんなこと気にしなくていいんだ。プリンセスローザであることが重要なんだから。その石は勇気と自信を与えてくれるんだろう?それに裏にはコーンを埋めてもらったんだ。悲しいことがあっても吸いとってくれるよ。もっともどちらも石に頼らなくても俺がしてあげるけどね。」


そういって茶目っ気たっぷりにウィンクされキョーコは喜びが込み上げてきた。きっと、久遠は言葉通り、勇気と自信、悲しいときには癒しをくれるだろう。それなら、私も同じものを久遠にあげたい。何ももっていないキョーコは久遠のシャツを掴むと背伸びをして久遠の唇にそっとキスをした。まさかそんなことをキョーコからされるとは思わなくて久遠は驚いて身動きができない。キョーコはすぐに手を離すとレストランに向かって走り出した。ドアのところで振り向きざまに言い放つ。


「同じものを久遠さんにもあげます。今のは約束の印です!」


振り返ったキョーコはこれでもかというほど赤くなっていた。




翌日は、『久遠』が仕事から戻り打ち上げパーティーになった。ジュリとクーは次の仕事のために参加できなかったが、ジュリはちゃっかり社からキョーコのスケジュールを聞きだし自宅に招く約束をとりつけホクホク顔で帰っていった。


地元のレストランを貸切り、気楽な感じのパーティーになった。長い撮影期間を一緒に過ごすうち、まるで本当の家族のように打ち解けていた。


「大丈夫?」

撮影が終わった高揚感からか、いつもより幾分飲みすぎているキョーコに久遠は聞いた。キョーコは頬を上気させ唇は艶やかで美味しそうだった。何度も撮影でジェフとして未緒にキスしたけれど、やっぱりキョーコに久遠として思うままにキスしたいと思ってしまう。

「えぇ、大丈夫です。でも、少し飲みすぎたかもしれません。」

不埒な思いを押し隠し、頭を冷やさなきゃいけないのは自分だと思いながらキョーコを涼みに誘った。

「そうみたいだ。少し涼みにいかないか?」


久遠はミネラルウォーターをとるとテラスに促した。素直にキョーコはついていく。久遠がミネラルウォーターを差し出すとキョーコは美味しそうに喉を鳴らして飲んだ。普段なら音を立てて飲むようなことは決してしないが少し酔っていたのだろう。テラスから先はちょっとした庭があったが二人はしばらく黙っててすりにもたれて吹いてくる風を頬に受けていた。


「撮影、終わっちゃったね。」

「そうですね。」

「なんだか、寂しいね。」

「そう...ですね。」



またしてもしばらく沈黙が続いたあとに久遠が口を開いた。


「しばらく会えないね?」

「...そう...ですね。」

「会いに行ってもいい?」


キョーコはこのあと、日本に帰る。久遠はアルマンディのヨーロッパコレクションに出るため渡仏する予定だ。『WOUNDED MOON』の編集は緒方の希望で日本に帰国してから行うことになっている。放送は2か月後からだから、それに合わせてプロモーションを行うことになっている。そのため久遠の訪日は2か月後だ。


「...すぐに会えますよ。プロモーションで。」

キョーコはテラスのてすりに寄りかかりながら庭のどこともしれない所を見ながら答えた。

「嫌だよ。2か月も会えないなんて、どうにかなってしまう。」

「...。」


久遠の心の中にはいいようのない焦燥感があった。このドラマではずっと一緒にいられた。ひいき目なしでキョーコの演技には驚嘆するものがあった。何度となく未緒に引きずられたが、いい意味で引きずられたと思いたい。そのぐらいキョーコの未緒は素晴らしかった。なのに、キョーコは自分との差がまだまだあると思っているのだろうか。これで『まだまだ』なら、彼女はどこまでいけば満足するんだろう?どこまでいけば俺と『並んだ』と思ってくれるんだろう?キョーコのことだ、自分が納得するまでは俺を受け入れてはくれないと思うと先の見えない焦りに身をよじられる気分だ。


「俺、『ぎゃふん』って何度も思ったよ?」

「私も『ぎゃふん』って思いました。『まだまだ』だなって。」

「どこまでいけば気が済むの?せめて目標を教えて?」


キョーコは俯いて黙ってしまった。久遠にとって永遠と思える数秒のあとキョーコは顔をあげて久遠を正面から見据えた。


「久遠さんに、敦賀さんに並ぶ役者さんが目標でした。」

「でした?過去形?」

「久遠さんに敦賀さんに並ぶ役者だと認められるには同じような賞をとらないとダメだと思ってました。でも、それって誰かの評価であって、受賞したからって自分が納得できるかは不安だったんです。」

キョーコはふふふと笑って続けた。

「そもそも、目標がおかしかったのかなって。私は『最上キョーコ』を作るために演技を始めたのに久遠さんに敦賀さんになりたいなんて...。この間、ある女の子に会ったんです。」


突然の話題の転換に久遠はついていけなかった。

「えっ?」

もう一度キョーコはふふふと笑った。

「女の子は『オルティス学園のナオミ』に会いに来たんです。私がその『ナオミ』だとわからずに同じ日本人だから『ナオミ』を知らないかって。その女の子は7~8才くらいでドラマと現実の区別がつかないみたいでした。『ナオミ』と自分をだぶらせていたんです。同じ日系人でいじめられていると...。でも、『ナオミ』ががんばっていると自分もがんばれるって言ってくれたんです。『ナオミ』はいつか役にたつ発明をするんだって。それを聞いたときに胸につかえていたものがストンと落ちたんです。私の『ナオミ』が愛されているって。社長の言ってたことはこれなんだって。私の演技を見て誰かが頑張ろうって思えるなんてすごいことですよね?そう思ったら今までやってきたイジメ役も無駄じゃなかったって思えたんです。悪役がいて主人公がいきいきとするなら、悪役も大切ですもの。私の目指すものはこれだって。で、私って欲深いんです。まだまだ納得できません。もっともっと上手くなって私のお芝居を見ていろんな気持ちをたくさんの人に感じてほしいんです。」


「それって逆に目標があがってない?」

久遠はますます先が見えなくなってめまいがしそうだった。

「そうですね。それに終わりがありません。」

すがすがしいほどにきっぱりと言い切るキョーコに久遠はどうしていいかわからない。

「久遠さん。あなたに並ぶとかぎゃふんと言わせるとかどうでもよくなりました。」

「それって、俺はいらないってこと?」

久遠があせって言い募るとキョーコは首を振る。

「いいえ。さっきも言ったように私、欲深いんです。あなたと一緒にいてもいいですか?あなたの横で一緒にもっと上を目指したいです。一緒に笑って泣いて時には喧嘩して。あなたの横にいるとき、『最上キョーコ』ができていく気がする...。」

そこで突然、キョーコは久遠に抱きしめられた。がっちりと抱きしめられてキョーコには久遠の顔は見えない。

「参った...。ねぇ、それはプロポーズ?」

「えっ?!そんなつもりは...。ただ、ずっと一緒にいられたら『最上キョーコ』でいられるかと思って。久遠さんはそのままの私を受け止めてくれるから。」


まさか自分の言葉が『プロポーズ』と受け止められるとは思わなくてキョーコは驚いた。久遠に対する素直な気持ちを言っただけなのだ。キョーコの言葉に久遠は息をのむとそっと腕をほどいて、ため息をつくとうなだれた。キョーコはプロポーズのつもりはなかったようだが、誰がどう聞いてもプロポーズだ。プロポーズくらい自分からしたかった。


「あの、『待たないで』なんて勝手なことを言った私ですから、久遠さんの気持ちがあの時と変わっていても責めません。私が勝手に思ったことを相手に押し付けることはしたくありません。私の思いには自分自身で責任をとりたいと思いますから久遠さんは気にしないでいいんですよ?」

うなだれる久遠を見てキョーコはもう遅かったのだと解釈した。一生懸命、久遠に責任はないのだと説明するキョーコの前に久遠は跪くと右手を差し出した。

「最上キョーコさん、俺と結婚してください。君が俺の隣で『最上キョーコ』になれるというならその全ての瞬間を見ていたい。俺だって君に負けないくらい欲深いんだ。俺は君の恋人になりたい。夫で親友でライバルで、時に兄で弟で、君の子どもの父親になりたいし孫のお祖父さんになりたい。君の全てになりたい。どうか俺のこの手をとってくれないか?」


驚いて動けないでいるキョーコに久遠は付け足して言った。

「誤解されると嫌だから言っておくけど、これはちゃんとしたプロポーズだよ。」

キョーコが驚きで動けないでいると久遠は「ね?」と言ったような神々しい笑みでさらに手を差し出した。その笑みにつられるようにキョーコがおずおずと久遠の大きな手に自分の手をのせようとした瞬間、久遠は待ちきれずに絶対にその手を逃がさないというように力強く握った。

「ありがとう。幸せになろうね。」

久遠はポケットからリングを出すとキョーコの左手の薬指にはめると立ち上がり、もう一度きつく抱きしめた。