「あ~、その、なんだ…」
珍しい。
貴島が言い淀んでいる。うっすら頬が赤く、蓮に焦点が合っていそうで合っていない。はっきりいっておかしい。熱でもあるのかと覗きこむ。
「熱でもある?赤いよ。」
「んあ!?ない!ないよ。」
妙に慌てる貴島に蓮は思いきり眉間に皺をよせた。
「ヘンだな。何かあった?まさか最上さんに何か?!」
「あぁ、ないない。特に何も情報はないよ。とりあえずその辺にでも座って。なんか飲む?」
「いや、すぐ行かなきゃいけないから。で、話って?」
やっぱり貴島は目を合わせないが、時間がないことを思い出してか話を始めた。
「その、敦賀君のマネージャーだけど…。」
「マネージャーって社さん?それがどうしたの?」
「そう、そのヤシロさん。彼って、その…そっちの人なの?」
そっちとはどっちのことなのか。貴島の言いたいことが全くもってわからない。蓮の怪訝な表情に貴島は意を決して言葉を足した。
「男が好きなの?」
「は?」
「だから女の子より男がいいの?」
蓮の恋愛はこれでもかとイジられているが、そういえば社本人の話は聞いたことがない。連と一緒に多忙を極めていて正直なところ恋愛している時間はないだろう。
「さぁ、改めて聞いたことはないな。つきあっている人がいるなんてのも聞いたことないし。ほとんど俺と一緒にいるから、時間がないんじゃないかな。」
蓮の答えに貴島は不満そうだ。
「それじゃ答えになってないよ。」
蓮はまことしやかに流れる噂のせいだろうと笑って言った。
「この質問は社さんと俺ができてるんじゃないかって続くんだろう?よく知ってるはずの貴島君から確認されるなんてビックリだね。」
「なんだ、知ってたの。」
「まあね。たまに直接聞いてくる人もいるしね。誘われることもあるし。」
「さすが敦賀君!男にもモテるんだ。で?」
「しつこいな。あるわけないだろ。俺は彼女以外なんて考えたことないよ。」
「あっ、やっぱり?!まぁ、わかりきってたことだけど。念のため確認ね。で、この噂って京子ちゃん知ってるのかな?」
「えっ、そんなに有名なの?」
「有名って言えば有名かもね。でも、噂の半分は敦賀君のせいでもあるんだよ。声かけてきた女の子片っ端から断るからさ。特にここのところは前みたいに『かわす』感じじゃなくて『キッパリ』って感じで断ってるだろ?だから本命ができたんだろうって。なのに女の影が全くない。ってことで美しすぎるマネージャーに白羽の矢が向いたってわけ。それに、時々君ら耳打ちするだろ。そんなときの敦賀君の顔がいつになく可愛らしいって言われてるよ。心当たりあるんじゃないの?」
蓮が全くわからないという顔をしているので、貴島はからかう気満々といった目をして言った。
「全くわからないの?俺、なんとなくわかるよ。耳打ちってことは聞かれちゃ不味いことだろ。それって彼女関係じゃないのかな。敦賀君って彼女の話してるときはすんごい表情豊かだもん。そこを注意されたとか、そんなところじゃないの?」
思い当たる節のありすぎる蓮は真っ赤になる。社にはキョーコ関係ではいつもからかわれるか注意されるかだ。もちろん、聞かれちゃまずいので小声になる。まさかそんなことで誤解されるなんて…。
「まっ、そういうことだから気をつけてな。それと京子ちゃんに誤解されていないことを祈るよ。」
〈社へのお願い?〉
「社さんって恋人いますか?」
「はっ?なんだよ、唐突に。いるわけないだろ、出会いがないよ。」
「そうですよね、すみません。最後に恋人いたのっていつ頃ですか?」
蓮の質問に面喰らいはしたが隠すことでもない。
「うーん、いつだったかな。大学卒業して1年くらいか。仕事し始めて忙しくなってすれ違っちゃって、別れたのが最後かな。」
「それって女性ですよね?」
「はぁ~?!何いっちゃってくれてんの?俺はいたってノーマルだよ。」
「そうですよねぇ。」
「あぁ、あの噂か。俺とお前ができてるってやつか?そんなのお前が一番わかってるだろ。」
「そうなんですけど…。社さん、恋人作ってください。今すぐ。時間がないって言うなら、俺一人で現場行きますから。」
「お前なぁ、作ろうと思ってできるもんじゃないよ。それに何でお前の噂を払拭するために俺が恋人作んなきゃいけないんだよ。そんなまわりくどいこと言う前にとっとと告ればいいだろ。」
「……」
正論過ぎて蓮は何も言い返せないところに社は追い討ちをかける。
「フフン、いいこと教えてやろうか?その噂最近変わってきてるの知らないだろう?お前の相手、最近は俺じゃなくて貴島になってるぞ。女の子大好き貴島をその道に引き込んだって。恐るべし敦賀蓮ってな。」
「なっ、なんでですか?!」
「何でも何も。最近お前ら共演もしてないのに結構つるんでるだろ、それでだよ。なっ、だから外堀埋めるより早く本丸を落とせよ。」
明けましておめでとうございます
そしてそして、前回から1年!!!
Σ( ̄ロ ̄lll)
なんてことでしょう。
もう自分でビックリしてます。
もう少し更新できるよう頑張ります。
終わらせますよ~。
たぶん、きっと……