明太山葵様 アメンバー200名様突破記念リクです。

しかも、「蓮と奏江が恋人役で共演した時のキョーコの反応がみたい!」というアバウトなもの...。

えぇ、それ以外の設定は本当に丸投げだったのですよ。

そんなリクに快く応えていただいたものが、このお話です!!



明太山葵様 ぺんぎんの戯言ブログ











<想いと痛みの狭間で>

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「「敦賀さん、おはようございます」」

仲良く揃って挨拶をしてくるキョーコと奏江に蓮も丁寧にお辞儀を返した。

「おはよう。二人とも今日もよろしくね」

微笑みながら返すと一人は固まり、一人は表面上にこやかに笑ってお辞儀をしてきた。

今回のドラマでエリート医師役の主役をはる蓮とその恋人で女医役に奏江、そして重要な準主役のナースにキョーコが選ばれていたのだ。どうせならキョーコが恋人役の方がよかったのに・・・・という本音は隠しておく。

着替えに行った二人を見送りながら、社は横で本当に仲がいいな、とつぶやいた。

「ええ、本当に妬ける位仲がいいですよね」
「おいおい、公私混同しない! まあ、仕方ない部分もあるけど、おまえの場合は危なすぎるからな」
「危ないって・・・・何気に酷いですよね、社さん」
「・・・・今までの自分の所業を思い出して、まだそう言えるのかな? 蓮くん?」
「・・・・黙秘権を行使します・・・・」

そう、このドラマの配役が決まった時点で社長に抗議をしに行ったのだった。

「なんで琴南さんが俺の彼女役なんですかっ!」
「なんでって、わかるだろう。今のおまえが最上君相手に恋人役を大人しくできるとは思えないからだ。おまえは誰から見ても駄々漏れだからな」

呆れ半分、ため息を吐かれながら言われると思い当たる事がありすぎて笑えない。

「なっ! だからって・・・・」
「だから役所を変えて貰った。最上君が他の男との葛藤を演じて、それをお前は黙って見ていられるのか? 乗り込んで行くだろう。ん?何か反論は?」
「くっ・・・・」

同じドラマに出演はしていても、一緒のシーンが数えるほどしかないのだ。
恋愛を絡ませつつも医療メインのドラマ。難病を抱えた少年役には上杉飛鷹が選ばれており、その少年の面倒を始終見ているナースがキョーコなのだ。

いくら年下とはいえ、いくら芸歴が長いとはいえ、自分以外の男が自分のできたばかり、それも片想い歴の長い彼女とべったり一緒なのははっきり言って不愉快だ。
でも他の男に心を揺らす恋人役を演じられるのも、リアルすぎて笑えない。

恋人になる前にこのドラマの話が来ていた。でもその時はキョーコにもオファーが来てるとだけ聞いて、子細を聞かずに一緒にいれるとOKしてしまった自分にダメだししたい今日この頃なのだった。

*****

それでも撮影は進んでいく。

キョーコは撮影風景を見ながら、奏江を羨ましいと思っていた。
自分だとあんなに恋人以外に心奪われる葛藤なんて演技できそうにない。
それに・・・・最近、鍵が外れてからどこか感情の揺らぎがセーブできない。
モー子さんの切ない演技を見ていたいのに、見ていたくない。その時後ろからナース服を引っ張られた。

「おい、京子。あそこ行って見ないか?」
「飛鷹くん、そうだね」

奏江の演技の向こうでは蓮が自分の恋人の心の揺らぎに心痛に顔が歪む、そういうシーンだった。
あんなに切なそうな、それでいて自分の事だけを考えてくれない彼女に対する顔。
あまりにも迫真の表情で、本当に奏江が好きになってしまったんじゃないか・・・・埒もない事を考えてしまっていた。
胸が痛い。と、目の前にハンカチが出てきた。

「なあ、お前とアイツって付き合ってるんだろう?」
「なっ!・・・・そ、そうだけど・・・・そうだと思う・・・・けど・・・・」

ちょっとセットから外れた階段の踊り場から、セット全体が見渡せておもしろい場所だと気付いたのは飛鷹だった。
それから時間がある時にはここで全体を掴むためにも、そしてお互いの演技の打ち合わせにと一緒に来ていた。

こちらから見えても下からは見えない、ちょっとした空間は秘密の基地のようだった。
だからそんな場所でズバリ図星を付かれて、真っ赤になってしまった。

「そんなウブでよくあんな男と付き合えるな。俺はアイツに殺されそうな目で見られててこえーよ」
「えっ、そんな事が? いつ?」
「お前と演技してる時もビシビシ視線が飛んでくるし」
「・・・・気付かなかった」
「お前・・・・大物だな~」
「だって今みたいなシーンが気になっちゃって、もしかしたらモ・・・・琴南さんの事が好きなんじゃないかとか思っちゃったりして・・・・」

また涙腺が緩んでくる。一度鍵を外され溢れだした気持ちは今更元に戻す事ができずに、すぐに涙と一緒に溢れて来てしまう。

告白されて頷いて、いきなり深いキスに気絶してから2週間。その間、この現場以外で逢えない状態に、毎日の電話で『好きだ』『逢いたい』『愛してる』と囁かれても、今一つ現実味が薄れてきてしまっている。

あれは夢でこれが現実なんじゃないのかしら。
こんな事で親友をなくしたくない。
でも溢れる気持ちも抑えが効かない。
せっかく取り戻した想いは心の中で荒れ狂って自分自身を、そして敦賀さんを信じる事が難しくなる程追い込まれていた。こんな心の痛さをあのバカには感じなかったのに。

「お前、バカだろう?」
「だから・・・・飛鷹くん、そうズバズバと・・・・」
「俺の方がずっと不安なんだよ」
「えっ?」
「奏江がアイツに落ちるんじゃないかと思って・・・・アイツだけじゃない。俺がもうちょっと大人になるまで、待ってて欲しいんだ」
「飛鷹くんて・・・・顔に似合わず情熱的だね」
「顔に似合わずっていうなっ!」

最初恥ずかしげだった飛鷹君も、最近では熱い視線でモー子さんを一途に想い続けている。
モー子さんも飛鷹君といる時にはそう悪い顔はしてないどころか、可愛い顔をしてる事がある。

二人でそんなお互いの相手の話をしながら泣き笑いしている所が、私より28センチ目線が高くなると見えるとは思いもしなかった。